遅ればせながら韓国に行ってみようかな、と思った時に、一番最初に浮かんできたのは、『縄文聖地巡礼』坂本龍一、中沢新一、木楽舎の以下の言葉でした。
《いまの芸能界を見ると、日韓がひとつの世界になりつつありますが、芸能界で起こることは、経済や政治の世界で起こることの先鞭をつけていますから、おそらくこれからの未来的な経済圏として、朝鮮半島の南部と日本は一体となっていくのではないでしょうか》(p.56)
ということで、以下、ランダムに。
[寒すぎ]
今年はラニーニャ現象が発生しているということで、日本でも厳しい寒さが報告されていましたが、いやー、韓国はシャレになりませんでした。
なにせ、初日の最低気温はマイナス15度ですよ。さらに雪。
あらかじめ「かなり寒いのでヒートテックの上下は忘れずに持ってきてください」とアドバイスをいただいたのですが、ヒートテックがなかったら、軽く死んでましたね。
外を歩いても、10分ぐらいで耳が痛くなるほどの寒さというのは初めて経験しました。
マイナス15度って、北海道あたりのスキー場ぐらいでしか経験できない寒さですもんね。
ご参考のために報告しておきますと、一番寒いと思った時には、ヒートテックの上にカシミアのタートルネック、綿のシャツ、カシミアの大きめなセーターを着て、さらにダウンを羽織って、ゴアテックスのパーカーで風を防ぎました。
もちろん手袋は欠かせません。
ずっと縮み上がっていたのですが、それに比べると、韓国の人たちは寒さに強い…。マイナス10度で雪も降っているに、ランチ時にはサラリーマンがコートも着ないで、手袋もはめずに店を求めて歩いている。
パワーありすぎ…。
にしても、雪も本州のベトッとした湿気の多い雪とは大違いでした。丸く握っても、パラパラとまとまらないほど。
シベリアから、乾ききった大地を渡ってきた冷気が降らせる雪とは、こういうものか、と実感しました。北海道の"アスピリンスノー"ともちょっと違うようなような気もするし、いやー、雪ひとつとっても、こんなに近いのに違うのか、と。
つか、日本海のありがたさを実感しましたよ。マイナス40度クラスの大寒波が襲ってきても、凍らない日本海で暖められてしまうわけですから(もっとも日本海側には豪雪をもたらしますが)。
[寒い中で営業する露店凄すぎ]
明洞でも、仁寺洞(インサドン)でも、南大門でも、東大門でも、とにかく道の真ん中は露天だらけ。
中には、若い男の子たちが仲間でやっているような店もあって、たくましいな、と思いました。
こうやって原始資本を蓄積して、将来、頑張るための基礎をつくっているのかな、と。
さらに、アーケードの屋根は付いているけど、基本は吹きっさらしの広蔵市場でも、ずらっとスンデやトッポッキ、ビビンバの屋台が並んでいました。
ご案内していただいたhisaさんの教え子の方と一緒に、こうしたところで一回ぐらい喰おうかとも思いましたが、どうしても寒さが…ということで断念。
しかし、不思議だったのが、暖かいお酒が置いてないこと…。
寒いときには冷たい冷麺や、冷たい焼酎の方が健康にいいとも言われたのですが、根っからの蒲柳の質なので、情けないことに思わず「オデンで熱燗飲ませてくれるような日本食の店行きましょう」と日和ったことは、ちょっと我ながら情けなかったですw
後になって考えみると、昭和の時代には、日本のサラリーマンも吹きっさらしの屋台でオデンをつっついたり、ラーメンをすすっていたりしたんですよね。
日本では、そうしたパワーは失われてしまったな、と…。
[兵役とか集合住宅とか]
2日目にご案内いただたジャヒョンさんは兵役を済ませたばかりとのことでしたが、月給は日本円で8000円ぐらいとのこと。
いやー、素晴らしすぎるというか、いくら衣食住は提供されているとはいっても…としばし考えさせられました。つか、自分にはとてもできませんw
ちなみに、韓国の男性は40歳まで一年に一回は軍隊に戻って訓練を受けるそうですがが、ジャヒョンさんはそのお世話をするというのが兵役期間中の仕事の内容だったとのこと。
それと感心したのが市内の治安の良さだったのですが、これに一役買っていそうなのが、義務警察官。これは兵役期間を警察部隊で勤務する警察官とのことで、5~6人がワンパックとなって、パトロールをしている姿をよく見かけました。
これって若い人だから、単独行動などでムチャをやらせないようにするためなのかな、と思いつつ、2年間、毎月8000円の給料で治安維持を補強できるというのは、国家財政的には随分、効率がいいんじゃないかな、と思いました。
効率の良さということでは、集合住宅の多さ、デカさにも驚かされます。
金浦空港に降り立つ前から外を見ていたのですが、やたら高層住宅が立ち並んでいて、「エヴァの第三新東京市かよ」と思うほど。
いろいろお聞きすると、上下水道など社会インフラを集中的に整備するためじゃないのか、とのこと。
しかし、日本みたいな本当に一戸建ての平屋がズラッと並ぶみたいな風景が少ないんですよねぇ。
残念ながら、ぼくの撮った写真には、いいのがなかったので、詳しくはこちらの「韓国は団地天国だった」をご覧ください。
[ソウルの交通事情]
ざっくり大阪の環状線の中ぐらいにアッパータウンもダウンタウンも集まっているという感じでしょうか。
基本、だいたい歩いて行けます。
だからなのかもしれないけど、タクシーは安い。
金浦空港から2万ウォン(約1500円)ぐらいでしょうか。
だから、ソウル市内はタクシーで観光してしまえばいいのかもしれませんが、それでは、あまりに上っ面な旅になってしまうので、地下鉄を利用しました。
交通カードを買えば、初乗りは900ウォン(70円)でかなりのところまでいけます。
あまり詳しくないのですが、1号線~9号線が韓国鉄道公社、ソウルメトロなどによって運営されており、会社は別なんですが、東京のメトロと都営みたいに別料金ということではなく、安く利用できます。
ソウルの街中にはあまり日本語は氾濫していないのですが、交通カードのチャージなどでは、日本語を指定すると、わかりやすく案内してくれます。
ちなみに、韓国の大学は中心部に近い方から偏差値がグラデーションしているそうです。
空港とソウルを結ぶ鉄道のA'REXは仁川~金浦が開業していて、今回、金浦~ソウルまで伸びたというので、さっそく帰りに乗ってみました。
仁川までノンストップのエクスプレスは日本円で1000円(所用時間43分)ぐらいですが、鈍行だと300円(53分)。 金浦空港までだと、100円で27分。安いです。
車両も新しくキレイですし、次は行き帰りともこれかな。
ちなみに、韓国の鉄道は全て標準軌。植民地時代の日本の鉄道官僚たちが「ひゃっほう!」という感じで、夢の標準軌の鉄道網をつくっていた姿を思い浮かべてしまいました。とにかく、日本の狭軌が中心鉄道システムと比べると、車両が大きい。でも、ちょっと揺れるかな…。
[初めて良い高麗青磁を堪能]
高麗青磁と李朝白磁では、学生の頃から李朝白磁が圧倒的に好きでした。青山の骨董通りにあった李陶に飾ってあった10万円ぐらいの茶碗が欲しかったんですけど、今回、見られたのは、それとは1000倍ぐらい違うレベルの焼き物でした。
最初に訪れたのはサムソンのLeeum三星美術館。
場所は漢江鎮なので、明洞でブランチをとったあと、地下鉄に乗って、途中、三角地で乗り換えて漢江鎮に。三角地というのは韓国語の発音も「さんかくち」と聞こえるので、乗り換えでも不安なかったですね。
それと、教えていただいたiPhoneの韓国地下鉄案内アプリ「Jihachul」も便利でした。これ、韓国に旅行する方は必需品でしょうね。
ところで漢江鎮で降りたのですが、Leeum三星美術館の場所が案内に書いてない…。この後いった国立中央博物館も書いてなかったし、ちょっと不思議。なんでなんすかね…。
ま、とりあえず、分かりやすかったのでサクッと着いて、入場料は常設展だけだと1万ウォン。これに日本語解説もバッチリな音声ガイドが2000ウォン(ただしパスポートとか預けなければなりません)を付けても日本円で1000円ぐらい。
ぼくは青磁というのは、なんか色が貧乏臭くて嫌いだったんですが、ここの名品を見て不明を恥じました。なんつうか明るい澄んだヒスイ色。華やかで安定感もある。独特の水差の素晴らしさ!。
もちろん白磁も良かったですよ。姿、色、佇まい。全ていい。つか、いいのを触りたい…。まあ、かなわぬ夢ですが…。Leeumのミュージーアムショップはたいしたことなかったけど、建物はなかなかカッコ良かったですよ。サムソンの韓国文化保護に対する責任感みたいなのを感じさせるような気合いの入った美術館でした。
ということで、こんどは漢江鎮から、やはり三角地で乗り換えて二村へ向かい国立中央博物館でも焼き物を堪能しました。
Leeumは写真撮影不可でしたが、国立中央博物館ではフラッシュ焚かなければOKということらしいです。
[徳寿宮]
徳寿宮は大韓帝国を宣布した高宋が、日本からの圧力を逃れるために景福宮から移ったところ。
1907年に強制退去させられた後も、1909年に韓国初の西洋風建築である石造殿を建築するなど、1919年まで暮らしたそうです。
近代化を孤独の中で目指していたんだろうなぁ、と。
あまり韓国の歴史に詳しくないのでよくわからないのですが、「西郷、大久保」のような側近がいなかったのかな、と。
あるいは、そうした有能な側近団というか、分厚い武士層みたいなのがいないと、孤独にやるしかなかったのかな、みたいなことを、中和殿を取り囲む西洋風の建築を見ながら思いました。
すぐ側にあるソウル市立美術館にも行ってみましたよ。
ここは日本統治下の裁判所。
重厚なファサードをカメラに収めたいと思ったけど、シャガール展の巨大ポスターで埋め尽くされて残念な結果に。
しかし、なかなかいい建物でした。
建築家は日本では難しい「横に広い」外観を実現したかったんだろうな、と思います。
[一人飯はつらい韓国]
なんでも、韓国では家族、友人らと飯を食うというのが基本だそうで、ひとり旅の飯は、けっこう限定されます。
そんな中でも美味しいと感じたのが、明洞餃子のカルックス(韓国風うどん)とマンドゥ(餃子)。
韓国のお店は、場所プラス売り物をそのまま店の名前にしているようなところが多いと感じましたが、何店もチェーン展開しているここも、まさにそんなお店。
お昼過ぎに入ったのですが、満員。
地元の方の比率も多いと感じましたね。
餅米のようなご飯と、庶民的なキムチも美味しかった。
味に慣れてないのかもしれませんが、旨味調味料ビシバシ系みたいな感じのここのキムチが一番美味しいと感じました。
もうひとつは、これも有名店ですが、古宮のビビンパ。
いただいたのは石焼ビビンパ。
隣の中高年の韓国人サラリーマンも同じオーダー。
いつも感心するとともに、驚くのが素早く持ってこられるキムチなどの小皿。ここではスープも含めて6皿並べられました。
ビビンパが到着して写真撮っていると、隣のリーマンがスプーンでスープをすくって、ババンピの中に投入している。
さっそくマネをしてまぜます。
おもむろにいただくとんまい!
これ発見でした。
まだ、書くかもしれませんが、とりあえず、こんなところで!
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