税制改正大綱と政府税調
商売柄、多少、関連する部分などは関心を持って論議の過程などを追っていたのですが、今回の税制改正大綱ほど、論議の過程がオープンになったものはありませんし(なにせネット中継もありましたし)、さらに速記録もサイトでオープンされるているので、議論を整理しながら追いかけることができます。
政治の最大の眼目は集めた税金をどのように分配するか、ということですが、どんな部分から税を取り、またどのような活動に優遇措置を与えるか、という方向が見えるということでも税制改正論議は重要です。
そうした大切な論議が、ほとんどオープンされているのに、この間のインターネットの論客といわれるような方々のサイトを見てもその扱いは軽く、いつもはそういった方々が批判するようなマスコミの論調に乗って、民主党の小沢幹事長がらみのタメにするような論議ばっかりしているようで「なんかなぁ」と思っていました。ぼくみたいな小物が言うのもなんなんですが、ちょっと一般紙の報道が劣化している、と感じると同時に、ポリシーウォッチをしているというような方も、こんなにオープンになっているに、もっと論議をしたらどうか、と思いました。
政府税調でも蓮舫さんみたいなキャラが浮上すれば、そこから議論も広がっていったかもしれませんが、それにしても、これだけ面白い論議がオープンになっているのに、それを肴に蘊蓄を傾けない手はないと思います。ということで、圧倒的に力不足ですが、休みなので、勉強がてら議事録のポイントをおさらいしてみました。
議論は膨大なので、高校無償化に限って、15日の議事録と資料から見てみたいと思います。
文部科学省による「特定扶養控除(16歳以上19歳未満)の見直し(試算)」をみると、所得税の一般の扶養控除は38万円。それに対して特定扶養控除は、この16歳から22歳までに25万円の上乗せをして、トータルで63万円という控除を付けてきた、と。今回提案したのは上乗せをした25万円分について縮減をしたいということ。地方税である住民税の扶養控除一般では33万円だったが、これが45万円にかさ上げをしている部分を今回縮減していく、という内容です。
トータルで国税が1000億、地方税は350億円の増税になるが、高校の無償化との差し引きになって、負担が減じられていくというのがポイントで、資料の表をみると、その縮減額は150万円では9万4300円。250万円、500万円のそれぞれの世帯で8万1800円、5万6800円ということで、徐々に逓減。1500万円のクラスになると2万4300円、2000万円になると6800円という形で調整されていく、と。大学生の子どもを持つ家庭に対しては、これまでとおり63万円の控除を維持していくので、今回の論議は高等学校の子どもにのみ限った形で特定扶養控除の調整をすることになるわけです。
中川文部科学副大臣の論議を整理すると、高校無償化は、従来の自民党型のいわゆる社会保障的な授業料減免ということの延長線上ではない、と。子ども手当と同じ考え方で、社会全体で子どもを養育していくということ、それから、教育をしていくということを支えていく、そういう社会システムをつくっていくんだという理念に基づいて、統一してシステム化されたものとして提案されている、と。
しかし、財源問題が出てきた、と。
まず、所得制限は「社会全体で子どもを養育していく」という基本原則が崩れてしまうし、「高校の無償化に伴って、少しでも圧縮すると、若干、可処分所得が結果として減ることになりますから、そういう提案をしたところ、それは全国から随分お便りを、高校生を養育されておられる親御さんからいただきまして、まさにお金が一番かかっているときではなかろうかという御指摘もあります」(中川文部科学副大臣)ということで、排除する、と。
そんなんで、よくよく考えると、特定扶養控除を全て廃止するのではなくて、縮減する形で何らかの調整ができるのではないか、という方向が出てきた、と。
ということで、資料の説明に入るのですが「本来なら文部科学省の立場で言えば、黙ってお金だけ付けてくれという立場なんですけれども、しかし、財源ということを考えていき、あるいはトータルな制度改正の流れということを考えていくと、やはり、今、踏み切るときであろうかというふうに思うんです」(同)ということも語っており、ちゃんと査定大臣しているな、という感じを受けます。
また、山田農林水産副大臣からの「できれば250万円まで所得控除の縮減をしないで、1500万円とか2000万円の方に負担を厚くするという方法での縮減というものはできないものか」という提案に関しての峰崎財務副大臣による「おそらく、所得税のところの欄が、非常に所得の低い人が1万9000円で、上の方は15万2000円の見直し後の便益というものはおそらく、ここでは累進性がきいてくるんです」という答えも明快だと感じました。
最終的には「菅会長代行にもこういった情報を正しく伝えて、きちんと議論をし、その調整に委ねながら、後日、検討結果を報告したいと思っております」(峰崎財務副大臣)ということで、お開きになり、その後の折衝で公立高の生徒から授業料を徴収しないことが合意されたようですが、こうした細かな論議は、自民党時代はインナーと呼ばれる長老たちが密室でやっていました。
といいますか、この論議で重要だと思ったのは「こうやって詰めていくんだ」という形が示されたことだと思います。
原口総務大臣が8日の会合の冒頭、「1回自由を経験した国民は、自由を手放すことはない。1回自らの権利を学んだ人は、その権利を手放すことはない。それが近代の解放の道筋だ」「私たちは今回、政権交代でそれを経験しているわけです。まさに税という形で、それを国民にしっかりと届けようではありませんか」と語っています。
今後、政権が自民党に戻ることもあるかもしれませんが、こうした論議が密室で行われるようになることだけにはしてもらいたくないし、そういった意味からも、小沢幹事長の豪腕ぶりだとか、鳩山首相のリーダーシップとか、そんなワイドショー的な議論ばかりではなく税調の論議に少しでも関心が集まればいいな、と感じています。

























































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