経済・政治・国際

January 08, 2015

Je suis Charlie

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December 23, 2009

税制改正大綱と政府税調

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 2010年度税制改正大綱がまとまりました。

 商売柄、多少、関連する部分などは関心を持って論議の過程などを追っていたのですが、今回の税制改正大綱ほど、論議の過程がオープンになったものはありませんし(なにせネット中継もありましたし)、さらに速記録もサイトでオープンされるているので、議論を整理しながら追いかけることができます。

 政治の最大の眼目は集めた税金をどのように分配するか、ということですが、どんな部分から税を取り、またどのような活動に優遇措置を与えるか、という方向が見えるということでも税制改正論議は重要です。

 そうした大切な論議が、ほとんどオープンされているのに、この間のインターネットの論客といわれるような方々のサイトを見てもその扱いは軽く、いつもはそういった方々が批判するようなマスコミの論調に乗って、民主党の小沢幹事長がらみのタメにするような論議ばっかりしているようで「なんかなぁ」と思っていました。ぼくみたいな小物が言うのもなんなんですが、ちょっと一般紙の報道が劣化している、と感じると同時に、ポリシーウォッチをしているというような方も、こんなにオープンになっているに、もっと論議をしたらどうか、と思いました。

 政府税調でも蓮舫さんみたいなキャラが浮上すれば、そこから議論も広がっていったかもしれませんが、それにしても、これだけ面白い論議がオープンになっているのに、それを肴に蘊蓄を傾けない手はないと思います。ということで、圧倒的に力不足ですが、休みなので、勉強がてら議事録のポイントをおさらいしてみました。

 議論は膨大なので、高校無償化に限って、15日の議事録と資料から見てみたいと思います。

 制度設計と議論の前提は当日の資料一覧に掲載されています。

 文部科学省による「特定扶養控除(16歳以上19歳未満)の見直し(試算)」をみると、所得税の一般の扶養控除は38万円。それに対して特定扶養控除は、この16歳から22歳までに25万円の上乗せをして、トータルで63万円という控除を付けてきた、と。今回提案したのは上乗せをした25万円分について縮減をしたいということ。地方税である住民税の扶養控除一般では33万円だったが、これが45万円にかさ上げをしている部分を今回縮減していく、という内容です。

 トータルで国税が1000億、地方税は350億円の増税になるが、高校の無償化との差し引きになって、負担が減じられていくというのがポイントで、資料の表をみると、その縮減額は150万円では9万4300円。250万円、500万円のそれぞれの世帯で8万1800円、5万6800円ということで、徐々に逓減。1500万円のクラスになると2万4300円、2000万円になると6800円という形で調整されていく、と。大学生の子どもを持つ家庭に対しては、これまでとおり63万円の控除を維持していくので、今回の論議は高等学校の子どもにのみ限った形で特定扶養控除の調整をすることになるわけです。

 中川文部科学副大臣の論議を整理すると、高校無償化は、従来の自民党型のいわゆる社会保障的な授業料減免ということの延長線上ではない、と。子ども手当と同じ考え方で、社会全体で子どもを養育していくということ、それから、教育をしていくということを支えていく、そういう社会システムをつくっていくんだという理念に基づいて、統一してシステム化されたものとして提案されている、と。

 しかし、財源問題が出てきた、と。

 まず、所得制限は「社会全体で子どもを養育していく」という基本原則が崩れてしまうし、「高校の無償化に伴って、少しでも圧縮すると、若干、可処分所得が結果として減ることになりますから、そういう提案をしたところ、それは全国から随分お便りを、高校生を養育されておられる親御さんからいただきまして、まさにお金が一番かかっているときではなかろうかという御指摘もあります」(中川文部科学副大臣)ということで、排除する、と。

 そんなんで、よくよく考えると、特定扶養控除を全て廃止するのではなくて、縮減する形で何らかの調整ができるのではないか、という方向が出てきた、と。

 ということで、資料の説明に入るのですが「本来なら文部科学省の立場で言えば、黙ってお金だけ付けてくれという立場なんですけれども、しかし、財源ということを考えていき、あるいはトータルな制度改正の流れということを考えていくと、やはり、今、踏み切るときであろうかというふうに思うんです」(同)ということも語っており、ちゃんと査定大臣しているな、という感じを受けます。

 また、山田農林水産副大臣からの「できれば250万円まで所得控除の縮減をしないで、1500万円とか2000万円の方に負担を厚くするという方法での縮減というものはできないものか」という提案に関しての峰崎財務副大臣による「おそらく、所得税のところの欄が、非常に所得の低い人が1万9000円で、上の方は15万2000円の見直し後の便益というものはおそらく、ここでは累進性がきいてくるんです」という答えも明快だと感じました。

 最終的には「菅会長代行にもこういった情報を正しく伝えて、きちんと議論をし、その調整に委ねながら、後日、検討結果を報告したいと思っております」(峰崎財務副大臣)ということで、お開きになり、その後の折衝で公立高の生徒から授業料を徴収しないことが合意されたようですが、こうした細かな論議は、自民党時代はインナーと呼ばれる長老たちが密室でやっていました。

 といいますか、この論議で重要だと思ったのは「こうやって詰めていくんだ」という形が示されたことだと思います。

 原口総務大臣が8日の会合の冒頭、「1回自由を経験した国民は、自由を手放すことはない。1回自らの権利を学んだ人は、その権利を手放すことはない。それが近代の解放の道筋だ」「私たちは今回、政権交代でそれを経験しているわけです。まさに税という形で、それを国民にしっかりと届けようではありませんか」と語っています。

 今後、政権が自民党に戻ることもあるかもしれませんが、こうした論議が密室で行われるようになることだけにはしてもらいたくないし、そういった意味からも、小沢幹事長の豪腕ぶりだとか、鳩山首相のリーダーシップとか、そんなワイドショー的な議論ばかりではなく税調の論議に少しでも関心が集まればいいな、と感じています。

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January 14, 2009

ビッグスリーがChapter 11 ?

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 今日のビジネス・アイで早大教授というか元ミスター円の榊原英資さんが「ビッグスリーは生き残れるか」と題して、連邦破産法11条の発動は不可避と書いていました。

 ちょっと調べてみると連邦破産法11条の適用を受けたのはクライスラー、ユナイテッド航空、アメリカン航空、ノースウエスト航空、グローバル・クロッシング、旧ワールドコム、XOコミュニケーションズ、Circuit City、リーマン・ブラザーズなど死屍累々ですね。

 クライスラーは申請するとすれば二度目になるんですか。

 現経営陣が残るとなると、単なる安易な債務棒引きになりそうですが、まあ、仕方ないかもしれませんね。

 榊原さんは「ディーラーなどとの法律関係を一度切ってからでないと、公的支援は難しい」と書いてありますが、それだけではなく、労働組合との関係や、生産・開発体制などを見直さないと支援しても難しい気がします。

 だいたいクライスラーなんかはダイムラーが入ってもダメだったんですからねぇ。

 閑話休題ですが、ビジネス・アイは昔の日本工業新聞と比べて進歩しましたね。

 サンケイの媒体はだいたい見るのも不愉快なのですが、ビジネス・アイはマシな気がします。

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December 20, 2008

『裏窓』とGM

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 GMの株価が急落した10月、ヒッチコックの『裏窓』を見直しました。

 自宅療養しているジェームズ・ステュアート扮するカメラマン(一眼レフはエグザクタを使用)を世話する通いの看護婦役がセルマ・リッター。その彼女が、物語の冒頭、大恐慌を予想するなんて簡単だった、といっていたんですね。

 「だって(当時から通いナースしていた)GMの社長が、毎日、神経性の下痢でトイレに10回も駆け込んでいたのを見たんですもん」みたいな話だったんですが、今回、数兆円の債務超過になっているRick Wagonerのお腹の具合はどうなんでしょうね。

 『裏窓』のセルマ・リッターはOverproductsが原因だと言っていましたが、今回はローンの破綻なんでしょうね。先日も、ある経営者たちの集まりで話を聞いていたら「自動車メーカーもあかんな。アメリカではもうローンでクルマ買えなくなってきているらしいから。結局、アメリカ政府のやってることは、ドルを印刷しまくって不良債権を買い取ることだからゼロ金利にして、インフレ押さえるしかないんだろな」みたいなことを言っていましたが、本当に100年に1回感が高まってきました。

 今が誰も経験したことのない時期だというのは、アメリカがドルを印刷しまくり、その一方でゼロ金利を行うという、普段は誰も分からないような数式を扱っている人々の行動からすれば、乱暴すぎること強引に進めようとしているように感じます。

 しかも、恐ろしいのは、周りの国々が黙ってみているしかない、ということ。

 インフレに出るか、デフレに出るか。

 個人がどうやって生き延びて資産を守るか。

 真剣に考えなければならないと感じます。

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July 06, 2008

デリバティブは救い

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 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)であるレオ・メラメド名誉会長のインタビューが7/5(sat)の日経朝刊に掲載されています。会社でとっている方は、月曜日でも読んでみてください。

 メラメド名誉会長はポーランド生まれのユダヤ人。生まれは1932年。1970年代に通貨・証券の先物取引を整えて「デリバティブの生みの親」と呼ばれています。同時に日本との関係も深く、リトアニアの杉原千畝さんによる所謂"命のビザ"で日本に出国できた一人でもあります。ネットで拾ったサンケイ新聞の記事によるとグリーンスパンFRB議長は「もしも、杉原千畝がいなかったら、メラメドも、金融先物取引も、デリバティブも生まれておらず、1980年代後半に米国で経済恐慌が発生していたかもしれない」と語っていたとのこと。

 さて、日経の記事ですが、サブプライムローン問題の発生を機に「デリバティブ(金融派生商品)悪玉説」がまことしやかに流されていることに反発したインタビューです。

 こうしたデリバティブ悪玉説にメラメド名誉会長は「デリバティブはもはや市場経済の根幹だ。売買を増やして流動性を高め、価格形成の透明性を高くする機能がある。株式や債券など現物の取引だけでは売買が限られる」と真っ向から批判を加えます。さらに「デリバティブ取引には損失ヘッジ、価格形成機能など様々なメリットがある。通貨先物が存在しなかったら、為替相場は今以上に激しく上下に振れるだろうし、(日本企業をはじめとする)企業は売買決済が難しくなる」とまで語ります。

 ここらあたりは1985年のプラザ合意の後、一気に円高が進んだ時に、当時の盛田ソニー会長が「円高でもいいから、とにかく安定してくれないと決済ができない」とことあるごとに訴えていたことを思い出します。プラザ合意の意味というのは、宮沢元首相もどう評価していいかわからない、と自伝の中で語っていましたが、もしかして、変動相場制の舵取りを先物に任せるしかない、というのが本質的な"合意"だったのかな、なんてことも思ったりします。そうなると世界の財務担当者は一気にその存在価値をなくすわけで、大蔵のトップであり続けた宮沢さんが評価できないと最後まで語っていたのは、そんな意味もあったりして…。

 サブプライムローン問題に関しては「(証券化商品など)一連の信用創造の過程で情報開示がなっていなかった点が問題だった」「格付け会社にも問題があった。格付けの条件となる経済データは日々変わっていくのに、更新が不徹底だった」「『欲』に目がくらみ、金融商品の価格形成の透明性確保を怠った業者が悪い」と情報開示の徹底を求めます。

 なんか、風向きとしてはスケープゴートが格付け会社に行きそうな感じもしているので、格付会社への言及は納得的です。

 また、原油を始めとする商品市場の高騰に関しては「今回の原油価格の高騰も石油輸出国機構(OPEC)という供給規制の非合理生を突いた結果だ」としており、穀物相場の高騰に関しては「(年金基金などの機関投資家は)穀物スワップと呼ばれる一種のデリハティブを証券会社から買う一方で、証券会社はヘッジ目的で商品先物を買う。これが最近の商品先物高騰につながった」と分析します。

 このインタビュー中、メラルドさんは「ロング(長期)の米国債をショート(空売り)した」と記者は書いていますが、ここは「ロング(買い)の米国債をショート(空売り)した」と書かないとな…。

 とにかく、構造改革イコール格差社会だから悪でスケープゴートをファンドやデリバティブというシステムなんかに求めるような単式簿記的なメチャクチャな発想が一般紙にも目立つような中で、個人的にはタイムリーなインタビューを読ませてもらった気がします。

 まあ、ぼくは絶対に信用取引はしませんが「杉原氏は私に人生のヘッジ(リスク対策)を与えてくれたと感謝している」というメラルドさんの「信用危機はインフレを呼んだ。低金利で流動性が過剰にある」という投資判断は参考にしないと…。

 『エスケープ・トゥ・ザ・フューチャーズ -ホロコーストからシカゴ先物市場へ』も読んでみようかな…。

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February 17, 2008

田中角栄がいない不幸

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 自民党の主張と重なってしまうので、こうしたことを書くのはあまり気が進まなかったのですが、今の民主党が揮発油税(ガソリン)の暫定税率撤廃と地方財政の立て直しを主張している論拠が、日曜日朝の番組を見ても、こういってはなんですけど白痴的だと思ったので、あまりこうした問題では書かないのですがチラッと書いてみます。

 細かな数字をあげると誰も読んでくれないと思いますので、ざっくり書きますが、道路関連の税収は国が3.5兆円、地方が2兆円です。そして、国の中心は揮発油税3兆円、地方の中心は軽油引取税1兆円です。わわかりやすく言うと国の中心はフツーの乗用車に使用するガソリンにかかり、地方はトラックが使用する軽油にかかります。

 地方は自動車取得税などを加えて合計約2兆円の税収があり、それに独自の予算をほぼ同額つけて4兆円を道路に使っています。

 つまり「ガソリン国会で地方分権が問われている」というような言いぐさは、真っ赤なウソなんでよね。地方財政を問題にするならトラック事業者が主に負担している軽油引取税を論議の対象にしなければなりません。

 もし、民主党案のようにガソリンも軽油も暫定税率を全廃すると、軽油引取税の税収はほぼ半分の5000億円となります。地方自治体としてはほぼ決まった予算を執行しようとなると、あと5000億円を負担しなければならなくなりますが、これはちょっと不可能なんではないでしょうか。

 道路予算を削ると建設やメンテナンスの事業を縮小しなければならなりません。結果、土木・建設業界の不況が深刻化します。

 小泉改革で約600万人いるといわれた建設労働者は100万人減ったと言われます。これがさらに減るとなると、地方は生活保護の負担をさらに抱えなければならなくなります。失業率も高くなり、日本売りが加速するかもしれません。また、地方社会のモラルハザードの崩壊も心配されます。

 だいたい、なんで軽油引取税は地方財源なんでしょうか?

 それは戦後直後、まったく整備されていなかった地方の道路を走るためにはトルクの強いディーゼルエンジンでなければならなかったからです。もともとディーゼルエンジンはルドルフ・ディーゼル博士が戦車を駆動するために開発したのですが、エネルギー転換率が80パーセントを超える素晴らしい内燃機関です。日本ではポピュリストそのものといった感じの某東京都知事のおかげですっかり評判を落としましたが、問題はエンジンではなく、硫黄分などを漉していなかった石油元売各社の怠慢でススが出たということなんです。

 田中角栄さんは、こうした税の根本を押さえていたと思います。いまさらながら彼みたいな地に足のついた勉強家がいないということを嘆くというのは寂しいことです。

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August 28, 2006

北越TOBのこと

 チラッと他に書いたのですが、王子製紙と北越製紙のTOBはなかなか見所がありました。攻める王子、守る北越。そして北越を援護するのが昔、王子に切り捨てられた三菱商事であるというのも因果応報めいた感じもしますし、さらにはもっと長い歴史もあるらしいんですね。どうやら王子のTOBが不成立になることが決定的になったので、チラッと地元の経営者に聞いた話をご紹介してみます。

 その経営者は王子vs北越の話を河合継之助と戊申戦争から始めるわけです。

1868 戊辰戦争により長岡城と城下町が焼失。

1870 三根山藩から米百俵が贈られる

 もうおなじみの小泉「米百俵」の話ですね。その「米百俵」で小林虎三郎が建てた学校を北越製紙の創業者、田村文四郎が出たかどうかはわかりませんが、少なくとも、多くの関係者が出たことはは間違いない、というんですわ。で、1906年、その紙商・田村家を継いだ田村文四郎はイネワラを原料とした段ボール生産を志し、1907年、北越製紙を創設したというんですね。

 製紙業、製鉄業は物流業ともいわれていまして、大量の原料イナワラを運ぶ信濃川船運が子会社としてつくられます(現在の北越水運)。この会社が川、運河、用水路などを通して集めたイナワラを工場に運んだ、というわけです。まさに、地元密着。捨てていたものを多少なりともカネに代えてあげたわけですからねぇ。雇用も生み出したわけですし。さぞや感謝されたことでしょう。

 しかし、1964年に発生した新潟地震で北越製紙の長岡工場は壊滅的打撃を受けます。労組も王子TOBに反対するメッセージの中に「新潟地震以来の経営陣との良好な関係に基づく、組合員の高い意識と勤労意欲が北越の競争力の源泉」と強調していましたが、労使にとって、新潟地震はそれほど大きな事件だったというんです。そして、長銀に融資させ、電源開発からトップを送り込むなどの再建策をとりまとめたのが、翌65年に自民党幹事長となった田中角栄元首相だったそうです。

 今後、どうなるかわかりませんが、これだけの地元密着型の、しかも長い歴史を持ち、戊辰戦争、新潟地震などの人災、天災を乗りこえた記憶が刻み込まれた会社にTOBかけるというのは、ちょっとムリスジだったのかな、と思います。どんな場合でも、歴史への深い知識というのは大切にしなければならないと思うのです。

 もちろん「理性的なものは現実的なもの」であると思いますから、この先、今回のTOBはなかったということにして、両社が歩み寄ることもかんがえられるかもしれませんが。

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April 05, 2006

市場しかないのか…

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 結局、いまの経済学者の人たちの言い分は、「市場経済の他に、どんなモデルがあるの?」ということにつきるのだと思う。

 そんなクリアカットな主張を繰り広げる人たちを、半分は「冗談じゃねぇよな…」とは思いつつも、どこかしら少なくとも個人的に許容できるような云い方をしてくれる人を探していることも事実。あるいはかえって、思いっきり云い倒してくれるような人の方がスッパリ切られて気持ちいいかもしれない。

 小宮隆太郎さんもそんなひとりだ。御著書は『現代日本経済―マクロ的展開と国際経済関係』ぐらいしか読んでいないが、その切れ味するどい市場経済至上主義っぷりは、見ていて逆に気持ちいい。

 今日の日経でも、やってくれている。「ひところ台頭した成長反対の考え方は間違っている」「最も裕福な日本で成長反対を唱える人には、『あなたは給料を半分にして貧しい国々の人に分配するのですか』と反論したい」「ルールを伴う自由な競争のほかに、信頼できるシステムがあるのか、市場批判者には教えてほしい」「中長期的に見て、所得分布が不平等化しているのか立証は難しい」「子育ては一種の外部経済の効果を持つという認識が、政府にも企業にも国民にも必要だ」。

 ハイハイ。

 ということで(まあ、直接的な関係はないけど)、所得倍増政策がなぜ生まれたかを描く『危機の宰相』沢木耕太郎を読んでます。

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February 03, 2006

Jacques Lefranc を支持する

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 France Soir紙は大衆的な保守系の新聞だと思うけど、そこの編集長がエジプト系のオーナーから解雇されたそうだ。

 ターバンを巻いたムハンマドの頭を爆弾の形に描いたデンマークの新聞がイスラム諸国から批難を浴びているのに対し、ソワール紙が「我々には神を戯画化する権利がある」の見出しを付け、「怒るなよ、ぼくらはみんなここ(新聞)で風刺されてるんだ」とイエス、仏陀、ソクラテスから諭されている漫画を掲載したことが問題だという。

 ということで、こんなんで反発するイスラム諸国はアカンな、と。

 解雇されたJacques Lefrancをアタシは支持します。

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February 28, 2005

モノレールに見るJR東日本の先祖返り

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 今日は東京流通センターまで用があって浜松町からモノレールに乗った。モノレールは眺めが素晴らしいけど、ちょうど佳境に入っていた本を持っていたので読むのに没頭…していうるうちにアナウンスがおかしいのに気づく。

 「次は羽田空港第1ビル駅」。

 んなアホな。あまりにも熱中しすぎて乗り過ごしてしまったんだろうか?いや、外を見ても大井競馬場前の近く。「案内のテープの故障かな。すぐに訂正のアナウンスがあるだろう」と思っていると、競馬場を素通りする!んなことがあってたまるか!と思ったら、東京モノレールは確か快速運転を始めたみたいなニュースの断片がアタマに浮かんできた。

 結局、約束の時間からは15分も遅れてしまう。平身低頭していると、相手先でも「間違う人多いんですよ」といってくれる。

 東京モノレールは数年前、日立グループからJR東日本へと経営権が移った。日立とすれば、車両をつくっただけだったのに、最初の運営会社がコケた責任を負わされ続けるのはヤだったんだろうし、本職の京急相手に羽田ダービーを勝ち抜くのは難しいと思ったのだろうし、経営資源をコアな部分に集中させたい、という思惑があったんだろうと思う。まあ、それは仕方ない。本業の東日本にまかせた方が、もし顧客サービスがあがれば、長い目でみても利用者にとっても安心だ。

 調べてみると浜松町から羽田空港第1ビル駅までは快速列車で17分(普通列車なら21分)、第2ビル駅までなら快速列車で19分(同23分)とのこと。平日の運転本数では480本のうち快速は49本。つまり10本のうち1本がアタリというわけだが、さして時間的なメリットはないということもわかる。

 快速の運転開始は04年8月8日のダイヤ改正からだが、普通電車の追い抜きを行わない、スジつぶしの運行となっている。どういうことかというと、本来なら、前にもう一本、普通の各駅停車の列車を入れられるのに、それをつぶして、2本分のダイヤの時間を確保して「なんちゃって快速」を運行しているわけだ。

 車両も新しくしたみたいだし(目的はコストダウンだろう)、運行コストもスジつぶしによって1割下げつつ「快速運転開始しました」なんて感じのゴマカシのサービスアップでお茶を濁し、客に対する周知は徹底せずに、SUICAの通し割引も行わないし、ホームが狭く屋根も殆どない駅はほったらかし。

 国鉄がJRとなってもうすぐ19年。JR東日本は、すっかり顧客のことなんか忘れた企業に先祖返りしつつあるようだ。

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