音楽

January 14, 2012

Icon2とS-Xでサウンド環境を改善

Nuforce_icon2_sx

 米Amazonに注文していたNuforceのIcon2とS-Xが届いたので、さっそく梱包をといてセッティングしました。

 アンプのIcon2は想像していたとおりの小ささでしたが、スピーカーのS-Xは思ったよりも大きかったかな。自宅のデスクスペースはなり広めにとってあるのですが、これが会社のグレーデスクだとちょっと…という感じでしょうか。

 セッティングとはいっても、Icon2を縦置き用のスタンドにさし、電源ケーブルをつなぎ(ちなみにアース付の三つ叉です)、USBケーブルをパソコンにつなぐだけなのですが、普通のオーディオと違ってくるのがスピーカーとの接続。

 なにせ、LANケーブルでつなぐんですよ。 本体のICON2側の出力はRJ45。アンプ側には普通のオーディオシステムに使われるパッシブ型のスピーカ端子につなげられるバナナプラグが付いていますが、円高だしということで購入してみた専用スピーカのS-XにはLANケーブルが付いているので、それで繋ぎました。

 今後、スピーカをコントロールするために、こうしたLANケーブルで接続するシステムは多くなってくるんじゃないですかね(ちなみにバカ高いケーブルをありがたがるような信仰は持っておりませんw)。

 いうことで、USBケーブルをMacにつないで、SYSTEMからサウンドをIcon2に選択すれば、スイッチオンするだけ。

Nuforce_sx_lan

 Icon2の取扱説明書は驚くほどの簡潔さで、イラストなし。

 まあ、ここだろと思った上のつまみを回すと電源が入り、そのままスピーカのボリュームにもなる、というつくり。

 下の、もうひとつついているつまみには○、○○、○○○という表示があるだけ。

 これだけはわからなかったので取説を読んでみると、下のつまみはセレクタで○がステレオミニジャック、○○はRCA、○○○はUSBとなります。

 まあ、取説読んだのはここだけですが、ちなみに普通のパッシブスピーカにつなぐバナナケーブルにも日本のメーカーのように+-とか表示されていません。赤は+、白や青や黒などは-というを知らないと悩むかも。まあ、こうした突き放したところがいいと思うんですけどね。

 ということで音を出しますが、最初に聴いたのは、エミルー・ハリス。彼女のソプラノがどのぐらい美しく聞こえるかな、みたいなのを個人的なリファレンスにしているから。

 コンピュータから、たとえUSB DACを経由して音を出しても、S/N比が低かったり、ダイナミック型のスピーカだと、どうしてもくぐもるんですが、そうしたガッカリ感は少なくともなかったかな。

 よく、反応のいいスピーカを称して「ボーカルの口の唇の形が見えるようだ」なんていいます。まあ、そこまでは言いませんが、十分クリアです。解像力があるっつうのか。

Icon2_sx_lan

 もちろん書斎にはブックシェルフ型のスピーカを中心としたオーディオのシステムも入れていますが、なんつうか、1枚のCDを聴いては変えるというのがだんだんおっくうになってきたと感じています。

 これは、CDが普及して、それまで、せいぜい30分ぐらいだったレコードのA面とB面をひっくりかえす作業がおっくうになったとのと同じかな、と。

 だから、iTunesからずっと聴きながら本を読んだり、テキストを書いたりするというのは、結局、音楽を聴く量は増えるんじゃないかなと思っているわけです。

 どこで書いていたのは引けないんですが、安部公房さんが「ぼくは音楽の良き利用者である」なんてことを書いていて、アーティストの方々には大変申し訳ないのですが、「利用する」には、非常にいい環境が整ってきたんじゃないのかな、と。

 ということで、次はポリーニのバッハ平均律とか聴いてみましたが、そんなに違和感はありませんでした。旅行中には、これを良くiPhoneやiPodで聴いているんですが、それを思えば十分です。

 フルオーケストラは厳しいですが、室内楽なんかを夜、ひとり静かに聴くなんていうのもいけると思います。

 ただ、専用サブウーファーW-1が推奨されているように低音は弱いですね。だから、例えばキックのきついFatboy Slimなんかは厳しいかな。キックの強い音ならアクテイブスピーカーで聴いた方がいいかも。

 ということで、ハイレゾの音源なんかも探して聴いてみます。

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January 08, 2012

Icon2とS-Xでハイレゾことはじめ

Icon2

 Computer Musicの出力はBoseのMicro Music Monitorにして聴いているんですが、少しはMacからの音を改善しようということで、USB DACでも買うかな、と思い立ち、いろいろ調べてみたんですが、これがいいか、と思ったのがNuforce Icon2。

 比較したのはオンキヨー D/AコンバーターONKYO DAC-1000 DAC-1000-Sあたりですが、デザインがあまりにも昔のオーディオっぽかったし、大きいのでIcon2に。

 いずれはハイレゾにもいきたいと思っているので32kHz/44.1kHz/48kHz/96kHzという16-24bitに対応しているし、オールインワンだし、小さいし、まあまあデザインいいし、みたいな。

 それに黄金の耳など持ってない単なるMusic Loverには送料含めて3万弱のDACで十分かな、と(昔、秋葉のハイエンド・オーディオ屋さんで、いま使っているシステム訊かれて答えたら「ああ、ミュージック・ラバー」ですねとバカにされたのはまだ根に持っていますw)。

 ということでスピーカーは通常のアンプ(Nait2)に繋いでいるLS 3/5aに、もう一本、スピーカケーブル足して繋いでしまうという、オーディオマニアからは怒られそうなシステムにするつもりでした。つまり、普通にCD聞くときとPCっつうかMacから聞くときはちゃんとどちらかは切って別々に出力させる、と。

 いろいろ調べると、ハイレゾのオーディオっつうのは、まだマニア向けっつうか、お仕着せのを拒否するとハンダ仕事とかやることになるっつうのが、いいのかな。Icon2に付属しているケーブルのアンプ側はネットワークケーブル用のRJ45、スピーカー側はバナナ端子に固定されちゃっているつくり。しかも、付属のスピーカーケーブルの赤側は+青側が-なんだけど、+-とか書いていみたいなところが、なんともユーザフレンドリーじゃなくっていいw

 ということで、例えば、スピーカ側でバイワイヤリングしようと思うと4つのバナナ端子は出せないし、小生のように、勝手にスピーカーの入力端子から2つの出力入れちゃおうという時には不便。でも、こういう時に、例えばバナナのメスになるプラグをつけてしまえばいい。LINNのLSP1とか。でも、4個で¥3,150もする。となると秋葉のパーツ屋でバナナのメスを買ってきてハンダ付けしてしまう、というのが正しい発想となるかな、と。

Nuforce_sx

 とかなんとか考えているうちに、専用スピーカのS-Xもいってしまいました(あ、色はどちらも黒にしました)。

 というのも、Icon-2のスピーカ出力端子がRJ45にしている理由のひとつがクロスオーバーネットワークの仕組みにあって、それがスピーカー側ではなく、アンプ側のIcon2に内蔵されていることで「もしかもダテじゃない」みたいなこともわかったら。

 S-XはやはりRJ45の口を持っていて、付属しているスピーカケーブルはRJ-45接続になる、と。なんでもCAT5の配線のうち6本はオーディオ用ですが、残りはS-Xとの通信用とのことで、まるでネットワーク接続w

 ふたつあわせてAmazon USから送ってもらって520$。いまのレートだと4万円するかしないか。安い。

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July 02, 2010

My Song Book

 ここの左側にいつも表示していたSong Bookですが、いろいろ考えた末、やめることにしました。その欄で取り上げている曲は、基本的にボーッとしているときに口ずさんだ曲だったんです。で、とりあえず、記念に残しておこくとにしました。

 ご覧になりたい方は、以下をクリックしてください。

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May 08, 2010

加藤登紀子 iTunes Originals

Kato_tokiko_itunes_originals

 加藤登紀子さんの歌は子どもの頃から好きでした。

 C・W・ニコルさんがどっかで語っていたのですが、加藤さんの歌声は原野で聴いても、都会の雑踏の中で聴いても響く、と。

 どんなシチュエーションにも負けないといいますか、しなやかに自立している感じがします。

 iTunes Originalsはミュージシャンがそれぞれの曲についてコメントを付けて聞かせる企画で、結構、好き。

 いろいろ持っていますが、加藤さんはポール・サイモンと同じぐらい、いろいろ語っています。

 それは語るべきことを持っているからなんじゃないですかね。

 最初の曲は、藤本敏夫反帝全学連委員長の子供を産んだ時、獄中にいた彼がどんなことを考えたのかと想像して書いた『君が生まれたあの日』。

 藤本さんは内ゲバにイヤ気がさして、運動から身を引いた人で、加藤さんとは72年に獄中結婚しています。

 でも、この曲が実際にできあがったのは藤本さんが死んだ後のこと。

 話を聴いていて、加藤さんというのは強い人だなぁ、と改めて思いました。

 『紅の豚』のジーナとして唄った『さくらんぼの実る頃(Le temps des cerises)』は、今ではご存じの方が一番多い曲かもしれませんが、これはパリ・コミューンで虐殺された人たちを、コミューンの参加者だったジャン=バティスト・クレマンが追悼した曲だというのも語りたかったんだろうな、と思います。

 5月はさくらんぼの実る頃であると同時に、パリ=コミューンがドイツとフランスが野合した軍隊によって崩壊しつつあった頃。

 加藤登紀子さんは、フィリピン革命の一周年でも歌っているし、フランス革命200年でも現地で歌っているし、宮崎アニメではパリ・コミューン由来の曲を歌うし、リベラル・レフトという立ち位置をうまくオブラートに包んで、遠くから語っていると思う。

 フィリピン革命1周年のコンサートでは、直前に挨拶したアキノ大統領のジェッヘリが離陸する爆音も入っているし、フィリビンの人たちがタガログ語で一緒に唄っている音も入っています。

 音源はカセットだそうで、もちろんHiFiじゃないけど、そんなこと関係ないほどの臨場感を感じました。

 文句があるんなら、こういった時に、こういったところで歌ってから言ってこい!という自信も感じられます。

 こうした曲に共感できるというのはありがたいことだと思っていますし、女性というのは強いな、負けるな、と思います。

 海外で似ている人を探せば、ジョニ・ミッチェルですかね。

 でも、ジョニより歌は遙かに上手いと思う。

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February 15, 2010

Karajan/BPO

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 最近、CD屋さんに行くと、カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Karajan/BPO)のCDを探すようにしています。

 ぼくは、中学校ぐらいからベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Boehm/WPO)でクラシックを覚えたと思っていまして(どれだけ理解できているかはおぼつかないのですが)、ライバルであったKarajan/BPOをなんとなく敬遠していました。

 これって、例えばいったん巨人ファンになったら阪神が嫌いになったり、シティに忠誠を誓ったらユナイテッドには見向きもしないというような心持ちと同じではないかと思うのですが、とにかく、そうやって何十年を過ごしてきても一向に不自由は感じませんでした。

 カラヤンとベームというのは何もかも正反対ですよね。容貌も棒の振りっぷりも録音も。

 まあ、そんなんで、レコードで買ったのは、オーディオチェック用にということで、当時、世界最高音質と言われたR・シュトラウスのツァラトゥストラ(1974年版)、CDで買ったのは企画がいいなと思ったアダージョ・カラヤンだけでした。

 で、そんな状態が変ったのは、ボックスのブラームスの交響曲全集を聴いてから。特に2番と4番なんですが、とにかく明快だと感じました。

 後は、もうドイツ・グラムフォン(DG)のボックスものを見つけては買いまくり。なんせ、9枚組のブルックナー全集でも、確か3000円台だと思いましたから、タダみたいなもの。

 ユーロ安ということで、昔は高嶺の花だったCDも輸入の1枚モノなら890円ぐらいで、ありがたい。

 ということで、だいぶ、たまりましたので、あまり信用ならないとは思いますが、個人的に良かったというか、隠れた名盤みたいなのをご紹介したいと思います。

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 アルテュール・オネゲル(Arthur Honegger)の交響曲2番、3番『典礼風』。
 『典礼風』は第2次世界大戦の犠牲者への追悼作という、とてもカラヤンが録音しそうにもない曲ですが、ドラマチックなストリングスを聴かせてくれます。
 なんつうか聴き所を提示してくれているような感じ。

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 ドミトリイ・ショスタコーヴィチ(Dmitrii Shostakovich)の交響曲10番。
 これも20世紀の作品シリーズとして発売されていたんでしょうかね?カラヤンが唯一、残したショスタコーヴィッチの作品が10番です。第2楽章でガツーンと圧倒し、4楽章でも妙な解釈を加えることなく、暴走気味に勝利に向かってBPOを疾走させます。カラヤンはショスタコーヴィチに、ヒトラーとスターリンという独裁者に翻弄された者同士という経験を深いところで共有し、そうした中でも表現活動を行っていくということは、こういうことでもあるんだ、と自信を持って示したという感じも受けます。

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 シェーンベルク(Arnold Schoenberg)の『浄夜』。
 ベームは現代音楽をあまり演ってくれませんので、そっちの方向はブーレーズを中心に聴いていたんですが、まあ、無理してといいますか頑張って聴いていた部分もあったと思います。しかし、カラヤンの解釈は単純な「美しさ」を提示することでした。それと同時に、なんつうかミニマルミュージックみたいに音が凍りつくような瞬間をも表現しているように感じます。

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 プロコフィエフ(Sergei Prokofievの)交響曲第5番。
 5番はop.100とあるようにプロコフィエフの作品番号100番です。ということで、どこか余裕のある印象のプロコフィエフが、妙に気張ってる感じがするのですが、それもまた、面白い。さらに、最後のフィナーレの盛り上げっぷりなんかは、BPOの厚みのあるストリングスと強烈な弦楽器がピッタリとからみあって、カラヤンがイケイケで押しまくっている印象。

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 メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn)の交響曲第3番『スコットランド』、第4番『イタリア』、フィンガルの洞窟。
 有名な『イタリア』はこれぞレガート奏法、レガート三昧という感じです。ベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたということで、相当、自信を持った録音なんじゃないでしょうかね。ノー天気に明るくはないけど、それを色彩豊かなサウンドで上手に包んでいる、という感じでしょうか。第三楽章の盛り上がりっぷりといったら!

 マーラーの5番、9番(82年のLive)などについては、ぼくなんかが書く必要はないと思いますので、割愛させていただきますが、ぜひ、お求めください。

 まだ、ニールセンの『不滅』とか見つけていませんし、これからも、どんどん買っていきたいと思っています。

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March 19, 2009

ブラームスはお好き?

Brahms

 『ブラームスはお好き』といわれても、いい加減なクラファンである小生には交響曲1番ぐらいしか好きな曲がありませんでした。

 ブラームスは巨大で、本格的で、簡単には好きだと言えないような感じがして。立ち向かう必要があるようなブラームスは避けていたんですよ。

 でも、先日、久々にタワーレコードでCDを物色して、ポリーニ+イタリアSQでピアノ五重奏曲ヘ短調を聴いた時に「いい曲だな」と思って、とりあえず、室内楽をじっくりいってみようと思ったのが集中的に聴こうと思ったキッカケ。ちょうどブタペスト四重奏団のブラームス室内楽全集がタワーレコードの企画した復活モノが出ていて、しかも確か2800円ぐらいだったので本当にラッキーでした。

 室内楽はどんな保守的な作曲家でも前衛っぽくなるところがあるんですが、クラリネット五重奏曲のデヴィッド・オッペンハイムのクラリネットの不安定な音は、意外にもマイケル・ナイマンの曲みたいに聞えたのが新鮮でした。ピアノ五重奏曲ヘ短調もゼルキン+ブタペストSQだと不安感を前面に出している感じ。ゼルキンなんて単なるお爺さんだと思っていたんですが、ゼルキンとともにブラームスの一面を新たに発見できたような気がしました。

 ということで管弦楽も集中的に聴いてみようということで、愛するレニー/WPOの管弦楽全集を集中的にいきました。意外にも4番とか明るいな、と。特に第一楽章。第二楽章、よくわからないのですがフリギア旋法という古めかしい手法がいい感じ。大学祝典序曲も悲劇的序曲もいいなぁ…と思っていたんですが、やっぱり交響曲第三番の第三楽章はいいですわな。

 これはサガンの『プラームスはお好き? Aimez-vous Brahms? 』を原作にした映画『さよならをもう一度 』でも効果的に使われていました。

 甘いんですよね。

 メロディが。

 ということで、さらに声楽まで行ったんです。『ドイツ・レクイエム』。

 恩師であるシューマンと母親の死に際して、ペトロの第一の手紙1:24を中心とした歌曲をつくろうと思ったのがキッカケらしいんですが、ペトロの第一の手紙なんてあまり真剣に読まれないようなところをもってくるのがさすがブラームス。渋い。つか、渋すぎ。

 「人は皆、草のようで」は新共同訳でも調子のいいところ

 「人は皆、草のようで、その華やかさはすべて、草の花のようだ。草は枯れ、花は散る」

 というイザヤ書の40:4-8からのやや自由な引用です。

 でも、ここで「人」と訳されているギリシア語のσαρξ(サルクス)はブラームスが使っているルター訳のドイツ語ではFleischとなっています。英語ではFresh。モロ「肉」。ヨーロッパの人たちは、こんなところを「肉である人は全て草のようだ」なんていう訳でも、立派に(?)詩情を感じているのだとしたら、なんつうか凄すぎるというか、ちょっとね…みたいな気分もするんですが、まあ、いいわな、と。イザヤ40:6-7は新共同訳でも「肉なる者は皆、草に等しい。永らえても、すべては野の花のようなもの。草は枯れ、花はしぼむ。主の風が吹きつけたのだ。この民は草に等しい」と、より「肉」が強調されています。ヘブライ語「バーサール」が使われているところ。ヘブライ語になると、もっと、本当に直接的に「肉」なんですけどねぇ…。

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January 03, 2009

ベルリン・フィルのジルヴェスター

 録画してあった2008年12月31日のジルヴェスター・コンサートを観ました。

 今年のテーマは「アメリカ」。

 オバマの当選を祝し、アメリカの単独行動主義からの脱皮を期待しての企画なんですかねぇ(ちなみに2007年はロシア・プロでした)。

 アメリカの現代曲が中心ということで、声楽が多く含まれていたのですが、MCを兼ねてのバリトンにはサリドマイドの影響で生まれつき手足が短いというハンディキャップを抱えるトーマス・クヴァストホフを、ソプラノには南アフリカ出身の黒人歌手ポリーヌ・マレファンヌを起用。考えてみれば、コンサート・マスターが安永徹さんなんですから、文化的多元主義のためのジルヴェスターという感じも受けました。

 ウィーン・フィルのニューイヤーでは没後200年ということかハイドンの曲を演ったのですが、その遅々とした歩みっぷりとは好対照。

 まあ、こうしたふたつのオーケストラが存在しているというのがスゴイことなのかもしれません。

 サイモン・ラトルの最後のメッセージ「音楽が全てを救えるとは思いませんが、ひとつの答えにはなるかもしれません」というのも良かったですね。

 個人的にはプログラムに愛するレニーの曲がひとつぐらい入っていてもよかったんじゃないかと思いましたが、02年にはバーンスタインが「ウエスト・サイド物語」の前に初演したミュージカル「ワンダフル・タウン」から大量に演っていたので、今回は抑えたんでしょうか。

 ジルヴェスターはドイツ語で大晦日の意味ですが、元々は聖シルベストロ1世教皇(Sancto Silvestro, ドイツ語ではder heilige Silvester)が335年12月31日に崩御したことから来ているみたいですね。今回、初めて知りました。

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May 20, 2008

OlympusのLS-10を購入

Olympus_ls10

 昔、Sonyの「カセットデンスケ」に憧れていました。

 デンスケというのはポータブル録音機。最初はスイス製のNAGRAのようなオープンリールが主流でしたが、メディアをカセットテープにしてハイアマチュア向けに発売したのがソニーの「カセットデンスケ」。その初代機がTC-2850SD。これにパラボラ集音器(SONY PBR-330)をつけた無指向性マイクをつけて、野外で自然の音を録ってみたい…と。

 今はなき雑誌『FM FAN』に掲載されていた広告で、フラミンゴの大群を前に、パラボラ集音器を両手にかざして生録している写真がありまして、随分高いものでしたが子供心に憧れたものでした。

 そんな生録の夢は一度、DATの時に呼び覚まされたのですが、なんかテープというメディアが…と思っているうちに規格自体が萎んでいってしまいました。そのDATの次に来たのがリニアPCMレコーダー。

 これなら持ち運べるというか、わずか100g程度の重さですし、それなのに高性能マイクは内蔵されているは、サンプリングレートは96kHzまで対応しているというのでコーフンしてしまいました(まあ、実際は44.1k/16bitぐらいでしか録らないでしょうが)。

 ということで、さっそくサーチしたところ、第一候補にあがったのがOlympusのLS-10。次はサンヨーのICR-PS1000M。ローランドのR-09HRとソニーのPCM-D50は大きいかな、と(Sony PCM-D1はさすがに高いし)。

 ということでしばし悩んで、オリンパスのLS-10にしました。メディアは余っているSDカードは使えるし、内蔵マイクも程度が良さそうだし、ノイズも少なそうだし軽量。バランスが取れている感じがします。

 ということで、さっそく、いろいろ録っているんですが、飲み屋さんで常連の方が弾いているアコースティックギターの音を拾ったら、けっこう良いんでビックリしています(44.1k/16bit)。

「LS100004.WAV」をダウンロード

「LS100015.WAV」をダウンロード

「LS100018.WAV」をダウンロード

「LS100019.WAV」をダウンロード

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April 19, 2008

Born to run 30年ぶりの解読

Born_to_run

 恥ずかしながらブルース・スプリングスティーンの”明日なき暴走”は結構、聴いていました。流行った直後というより、何年もたって大学に入ったはいいけど目標を失ってヤサぐれていた頃でしょうかね…。ぼくは安部公房さんではありませんが、当時から音楽の良き利用者でありまして、高いレートの雀荘にフリーで打ちに行く前に景気づけというか気合いを注入するために聴いていました。こうしたギャンブルの前に気合いを入れるのには、これかショスタコーヴッチの五番の第四楽章ですね、聴いたのは(もちろん愛するレニーのLive盤で)。

 それはいいんですが、どうしても意味がとれなかったところあったんすよ。それは3番というか、メロディがちょっと変わるところ。

Beyond the Palace hemi-powered drones scream down the boulevard

 このhemi-poweredがどうしても意味とれませんでした。

 当時はもっとダメな辞書使っていましたが今のリーダースあたりでも、hemi-poweredなんて載ってません。接頭語では〝半〟という意味なので、例えばBruce Springsteen & The E Street Band LIVE 1975-85の対訳でも「宮殿の向こうでなよなよしたのらくら者たちが大通りを叫んでいく」とかわけ分らない日本語が並べられています。

 インターネットを捜しても、意外と自分の邦訳を載せている人は少なく「宮殿の向こうの大通りを怠け者たちが叫んでいく」というのがあるぐらい。

 でね、フト思いついたんですわ。

 これって、クライスラーのバラクーダの「ヘミ・エンジン」搭載車じゃないの、と。3週間ぐらい前に読んだ『いよいよ自動車ロン』福野礼一郎、双葉文庫にヘミって言葉があったな、と…。

Hemi_powered_cuda

 バラクーダの「ヘミ・エンジン」搭載車は425馬力を発生させる当時としてはモンスターマシン。ここでクライスラーと書くのは気分が出ないのかもしれません。福野礼一郎さんにならってモーパー(Mopar)と呼んだ方がいいかも。モーパーとはクライスラーの販売代理店「クライスラー・モーター・パーク」の略だそうです。で、モーパーのヘミ・エンジン搭載バラクーダはヘミ・クーダと呼ばれていたらしい。

Hemipowered

 「ヘミ・エンジン」とは「ヘミ・スフェリカル・ヘッド(Hemi-spherical=半円球形燃焼室)にして排気/吸気を拡大したエンジン」だ、と。

 さらにNew JerseyにはNew palaceというハイウェイの出口もあるらしい。

 そうなると、ここは

「ハイウェイの向こうでは、ヘミ・クーダの爆音が道を切り裂いている」ぐらいじゃないかな、と。

 '70ヘミ・クーダは映画『バニシングポイント』にも出ているそうで、ちょうどブルース・スプリングスティーンがニュージャージーでヨタッていた頃の風景に重なるかな、と。

 "Mopars in Music and Song"というサイトに"Born to run"が入っていたので、たぶん正解だと思うんですが、改めて考えてみると、ブルース・スプリングスティーンにはダッジが似合うのかもしれませんね。

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December 30, 2007

アルヘリッチ、ポリーニ、ブーレーズ

Martha_argerich_shostakovich_piano_

 冬休みに入り、ようやく体も休めることができるようになってきました。

 ということで、久々にタワー・レコードに。

 ジャズ、ロック、ポビュラー系からクラシックも室内楽ぐらいまでなら、携帯性とのかねあいを考えればNapsterかiTUNESで十分じゃないかと思いますが、大編成のものになりますと圧縮されていると辛い感じもしますので、CDでも買おう、ということになります。

 ということで、買ってきたのは3枚。

 まず手にしたのはアルヘリッチがショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番をルガーノ・フェスティヴァルで演ったライヴ(オフショアのカンピオーネが対岸にあるっつうか、カンピオーネで開かれているんでしょうかね…)。彼女にとっては久々の協奏曲録音。

 ピアノ協奏曲第1番もいいのですが、初めて聴く2台のピアノのためのコンチェルティーノ、ピアノ五重奏曲はいい曲ですねぇ。ぼくの勉強が足りないのかもしれませんが、ほんとショスタコーヴィッチって名曲揃い。

 アルヘリッチもちゃんと勉強してますって感じが奔放そうに弾いていても出ているのがいい感じ。豊かな黒髪が白くなってしまっても、音は透明で繊細。

Boulez_mahler8

 レコ芸の大賞をとったブーレーズのマーラー交響曲全集の掉尾をかざる8番も買ってきました。

 あまり熱心なマーラー聴きではないのですが、決定版というのをあまり聴いたことのなかった8番の豪華絢爛さ、独特のリズム感なんかを統一感をもって飽きさせずに聴かせてくれたかな、という印象。

Pollini_beethovet_piano_sonatasop_2

 後はポリーニのベートベンのピアノソナタ。1975年からスタートしたソナタ集ですがいつ、コンプリートされるのでしょうか。

 ポリーニはクラシックを聴き始めた頃に最初に大好きになったピアニストですので、今でも安心して聴けます。録音も音が粒だっていい感じ。

 といいますか、アルリッチもポリーニもブーレーズも聴きはじめの頃はまだまだ若手だったですよね…。年の瀬に歳を感じつつ、聴いています。

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