『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識 』鎌田浩毅、蜷川雅晴
『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識 』鎌田浩毅、蜷川雅晴、ブルーバックス
昨今の相次ぐ地震に、不安を覚えている方は少なくないと思います。そんな今こそ手に取ってほしいのが本書です。共通テストで地学を選択した自分にとって、現在の履修率がわずか1%という事実は衝撃でしたが、本書は「試験のための科目」を超えた、生き延びるための知恵も授けてくれます。
【2030年代に訪れる「西日本大震災」】
鎌田先生のアウトリーチ的な著書はこれまでにもいくつか読んできましたが、本書では、過去の発生間隔や周期との兼ね合いから、2030年から40年ごろには南海トラフ地震が発生し、富士山の噴火も誘発される可能性があると明確に書かれており、ショッキングでした。しかも、東海・東南海・南海の各トラフが連動する、「西日本大震災」と呼んだほうがよさそうな規模となり、東日本大震災よりも被害額などは一桁大きくなるとのこと。
東日本大震災で列島が5メートルも動いてしまったため、日本列島では地震が多発するようになっている、という説明も納得できました。M3~6規模の内陸地震が、災害前の約5倍に増加しているそうです。
ちなみにトラフ(trough)とは、海底にある深さ6000メートル未満の、浅くて幅の広い「溝状の地形」のことを指し、プレートが沈み込むことで大規模な海溝型地震が発生する場所です。
【マクロな視点で見る、地球の温暖化と氷期】
この序章は実際に京大で講義を受けているように聴きやすいのですが、この後は書き手が変わったのか、やや硬い感じになります。地層や岩石の成り立ちから気象・海象、さらには銀河系やビッグバンまで幅広く説明してくれますが、風や地磁気などの項目は、イメージしにくく、理解するのがやや難しく感じました。
縦揺れ(P波)が先に来て、大きな横揺れ(S波)が後から来るとか、地殻とマントルの境目のモホロビチッチ不連続面なども思い出し、懐かしい気持ちになりました。海面の高さは、地層の重さと軽さによる重力の影響を受け、最も低いインド洋と、高いインドネシアあたりでは何十メートルも違うというのには驚きでした。まさに地学は宇宙から地層、地殻まで掘り下げることのできるロマンあふれる科目だな、と。
最後のあたりで興味深かったのは、時間軸の捉え方です。現在進行形の「温暖化」を認めつつも、地質学的な数万年単位の視点で見れば、地球は「氷期」へと向かっている。こうした複眼的な視点を得られるのも、地学を学ぶ醍醐味だと言えるでしょう。
最後は、代ゼミのカリスマ講師が関わっているだけあって、「高校地学のエッセンス」で締めくくられます。ジェット気流、季節風の変化が海面温度に影響を与え、エルニーニョの原因になるというあたりも面白く、様々な現象が重なっているんだな、と改めて思いました。
[目次]
序章 日本列島と巨大災害
なぜ日本列島には地震が多い?/南海トラフ巨大地震のメカニズム/誘発される「富士山噴火」/「次の大震災」の被害予測/盲点だった日本海側の防災対策
第1章 地球の姿としくみ
地球はどんな形をしているか/地球の中身はどうなっている?/地球内部で何が起きているか/地磁気とはなにか/プレートテクトニクス革命/プレートが覆う地球/地震と断層/地震はどこで起きるか/火山のはたらき
第2章 46億年の地球史
地層のなりたち/地層からたどる地球の歴史/地球と生命の誕生/生物の陸上進出/陸上生物の繁栄/地質からみた日本列島/日本列島の歴史
第3章 地球をめぐる大気と海洋
大気圏/雲はなぜできるのか?/大気の状態はどのように決まるか/地球をとりまくエネルギー/風の吹き方/大気の大循環/日本の天気/気候変動はなぜ起きる?/地球を揺るがす環境問題
第4章 はてしなき宇宙の構造
太陽系の天体/地球の自転と公転/惑星の運動/太陽/恒星までの距離はどう測る?/なぜ恒星はカラフルなのか/星団/銀河系/宇宙はどのように誕生した?
おわりに 高校地学のエッセンス
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