『菅義偉 官邸の決断』菅義偉
『菅義偉 官邸の決断』菅義偉、ダイヤモンド
2023年から週刊ダイヤモンドで連載されていた、約8年にわたる内閣官房長官と首相として過ごした総理官邸での日々を振り返った本。首相経験者の回顧録は読み物として面白い本が多く大好きなジャンルなんですが、これは歴代首相のオーラルヒストリーを含めた回顧録の中で一番面白くなかったかな。
もちろんアベノミクスを安倍首相と二人三脚で進めたことは偉大な実績だと思います。何しろ《安倍政権が発足するまでは、有効求人倍率が0・5倍を超えることすらほとんどない状態が続いていた。それが安倍政権発足後は順調に増えて、16年6月には史上初めて1倍を超え、働きたい人が働ける環境をつくり出すことができた》んですから(k.764、Kはkindle番号)。
歴代首相には、どこか余裕というか人間的な深みを感じさせる部分があると思うんですが、そうしたものがあまりなく、菅さんは何が好きで嫌いなのかなんていうこともあまりよくわからないし、外国要人とのこぼれ話なんかもない。
今の話題とリンクするので面白かったのは総理に就任した当時のトランプ大統領からは電話会談で「24時間、いつでも電話してほしい」と伝えられたことですかね。「いつでも電話してほしい」というのは高市首相だけじゃなかったんだ、とw
あとは、安倍首相との関係で自分のことを秀吉に対する秀長のようにとらえ、2026年の大河ドラマを楽しみにしていると書いているぐらいかな…。でも、それって深みを感じる話しではないし…。
あるのは、課題とそれの対処だけ。まあ、それでもいいんですけどね…。あと、好感持てるのは常に西暦で書いていること。アホな右翼っぽく元号を硬直的に使わないことかな。
菅さんが嫌ったのは縦割り省庁と古い慣行だな、というのはよくわかります。
2019年の台風19号では大規模な洪水が予想されていましたが、これに備えて利水容量の事前放流を実施し、水位を低下させるとで、ダムへの流入量ピーク時に洪水調節容量を超える量の貯留が可能となったんですが《19年当時、日本に1470あるダムの合計容量のうち、水害対策に使えるのは、国土交通省が所管する「多目的ダム」のみ。ダム全体の約3割に当たる570のダムにとどまっていたのだ。では残りの900ものダムはなぜ水害対策に使えないのか。それらは経済産業省が所管する電力用のダムや農林水産省が所管する農業用水用のダムといった「利水ダム」だからだ。経産省や農水省には「水害対策は国交省の仕事」という考えがあり、自らが所管するダムが水害対策に利用できるという発想に至らなかったのだ。これこそ「縦割り」行政の弊害というほかない》(k.131)と。
また、農協改革の発端については《農協の実態には世間が驚くこととなった。例えば、農協が多くの農家の要望を取りまとめて農薬を一括購入しているにもかかわらず、実に市場価格の2倍以上の値段で売られているといったことが確認された。農家を第一に考えるべき農協が自身の利益を優先していた実態が、この農薬販売の慣行に象徴的に表れていたのである》(k.563)みたいなのはよくわかるのですが…。
[目次]
はじめに
官房長官編
第1章 危機管理の要諦
大規模風水害をダム放水で減災
アルジェリア邦人人質事件の衝撃
誤解流布で猛反発された「特定秘密保護法」
安倍政権「最大の危機」となった平和安全法制
「熊本地震の初動対応」の成果と課題
第2章 産業を生かす
訪日外国人4000万人の道を開いた「観光立国」政策
全国に眠る観光資源を掘り起こせ
60年ぶりの農協大改革
TPP交渉の舞台裏を明かそう
第3章 国家安全保障
沖縄基地問題 解決に向けた大きな一歩
紛糾する沖縄県議会
国際的な観光地への飛躍
尽きることのない拉致問題解決への思い
第4章 国民目線の政策
携帯料金「4割値下げ」発言の舞台裏
「夢の新薬」オプジーボの薬価引き下げ
寄付総額1兆円に達したふるさと納税制度
現場の悲鳴がきっかけとなった外国人材の拡大策
金融改革で激変した投資マインド
第5章 時代に選ばれた保守政権の使命
天皇陛下の「生前退位」
21世紀にふさわしい未来志向の「安倍談話」
先送りされてきた「アイヌ新法」
第6章 新型コロナ対応Ⅰ、そして首相へ
未曽有の感染症との闘い
コロナ感染防止と経済再開の両立
空白の許されないコロナ対応と安倍総理退陣
総理編
第7章 新型コロナ対応Ⅱ
首相就任とコロナワクチン「1日100万回」宣言
コロナワクチン争奪戦と「ワクチン外交」
世界が注目した「孤独・孤立問題」への対処
第8章 100年後を見据えて
縦割り打破の象徴、経済安全保障政策
カーボンニュートラルの実現へ
トップダウンだからできたデジタル庁創設
少子化問題解消に応える不妊治療の保険適用
原爆「黒い雨訴訟」の上告取りやめ
原発処理水の海洋放出を強く決断
第9章 国際社会と共に
東南アジア歴訪とインド太平洋構想
日米首脳会談で再確認した信頼関係
東京五輪「開催支持」確約得たG7
「無観客開催」となった東京五輪
おわりに
書き下ろし後記「しかるべきときに決断を下す」ことがリーダーの要諦である
資料編
演説・スピーチ
総裁選出馬会見
第203回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
第75回国連総会における菅内閣総理大臣一般討論演説
第204回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説
令和2年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
内閣総辞職に当たっての内閣総理大臣談話
安倍元総理国葬 弔辞
年表
菅内閣 閣僚等名簿
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