『源氏物語を読む』高木和子
『源氏物語を読む』高木和子、岩波新書
『源氏物語』は与謝野晶子訳で桐壺と若紫、若菜ぐらいしかまともに読んだこともないので、全体の流れみたいなのを知るためにAudible版で「聴いて」みました。
厳密にはどうかわからいのですが、なんかレヴィ=ストロースの交叉いとこ婚のような関係性の中で不義が繰り返される構造、光源氏の皇統が続かない仕掛け、サイドストーリーの玉鬘十帖とエピローグである宇治十帖の役割、コメディリリーフのような末摘花、夕顔、六条御息所など怨霊の通奏低音などがよく理解できました。思いが遂げられないからそれに代わる存在を求め、それがまた悲劇をもたらすという長編化の流れというか。
[目次]
Ⅰ 誕生から青春
一 両親の悲恋と美しき若君 桐壺(きりつぼ)巻
二 色好みの主人公 帚木(ははきぎ)・空蝉(うつせみ)・夕顔(ゆうがお)巻
三 憧れの人とゆかりの少女 若紫(わかむらさき)・末摘花(すえつむはな)巻
四 不義の子の誕生 紅葉賀(もみじのが)・花宴(はなのえん)巻
Ⅱ 試練と復帰
一 御代替わりの後 葵(あおい)・賢木(さかき)・花散里(はなちるさと)巻
二 不遇の時代 須磨(すま)・明石(あかし)巻
三 待つ者と離反する者 澪標(みおつくし)・蓬生(よもぎう)・関屋(せきや)巻
四 権勢基盤の確立 絵合(えあわせ)・松風(まつかぜ)・薄雲(うすぐも)・朝顔(あさがお)巻
Ⅲ 栄華の達成
一 幼馴染の恋 少女(おとめ)巻
二 新たなる女主人公 玉鬘(たまかずら)・初音(はつね)・胡蝶(こちょう)巻
三 翻弄される人々 蛍(ほたる)・常夏(とこなつ)・篝火(かがりび)巻
四 玉鬘との別れ 野分(のわき)・行幸(みゆき)・藤袴(ふじばかま)・真木柱(まきばしら)巻
五 六条院の栄華 梅枝(うめがえ)・藤裏葉(ふじのうらば)巻
Ⅳ 憂愁の晩年
一 若い妻の出現 若菜上(わかなのじょう)・若菜下(わかなのげ)巻
二 柏木の煩悶と死 柏木(かしわぎ)・横笛(よこぶえ)・鈴虫(すずむし)巻
三 まめ人の恋の悲喜劇 夕霧(ゆうぎり)巻
四 紫上の死と哀傷 御法(みのり)・幻(まぼろし)巻
Ⅴ 次世代の人々
一 光源氏没後の人々 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)・紅梅(こうばい)・竹河(たけかわ)巻
二 八宮の姫君たち 橋姫(はしひめ)・椎本(しいがもと)・総角(あげまき)巻
三 中の君へ、そして浮舟へ 早蕨(さわらび)・宿木(やどりぎ)・東屋(あずまや)巻
四 薫と匂宮、揺れる浮舟 浮舟(うきふね)・蜻蛉(かげろう)巻
五 浮舟の出家 手習(てならい)・夢浮橋(ゆめのうきはし)巻
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