『陸・海・空 究極のブリーフィング 宇露戦争、台湾、ウサデン、防衛費、安全保障の行方』
『陸・海・空 究極のブリーフィング 宇露戦争、台湾、ウサデン、防衛費、安全保障の行方』小川清史、伊藤俊幸、小野田治その他
Youtubeの番組の書籍化第2弾で、今回も面白く読ませてもらいました。番組で足りなかったところの補足、その後の展開も含めての解説など、神ならぬ身の解説者にとって、そうした加筆は当然だと思います。
個人的に面白かったのは「第3章 ウサデン(宇宙・サイバー・電磁波)という戦場」。ウサデンというかにも日本的な四文字略語には笑ってしまったんですが、
■宇宙の目
■ロシアの電子戦にやられた2014年のウクライナ
■2022年、ロシアの電子戦の状況
■日本政府の防衛装備品の輸出規制緩和方針
■QUAD首脳会談とバイデンの台湾有事発言
■自衛隊トップのNATO参謀長会議出席
というコンテンツは情報満載でした。宇宙を戦場にしてしまうと世界大戦につながってしまうので、ロシアが行うとしていたのは「宇宙から得られる情報の弱体化」という指摘はなるほどな、と。欧米は武器輸出のために専門省庁を持ち第三国に渡らないように管理しているとかも。あともQUADは外務省が仕切っている枠組みなのでNATOのような同盟ではない、みたいな視点も自衛隊出身者ならではだな、と。また、自衛隊トップのNATO参謀長会議出席は、NATOが冷戦後取り組んできた一民族・一国家とはなってないことで発生する民族問題の解決のためにも重要だとか。
「第4章 防衛政策の展開」では、《予算要求をする人と戦争の準備をする人がほぼ重なって、予算要求の一番忙しい概算要求の時期は訓練演習ができない》という問題があるというのは、現場経験者ならではの指摘だな、と。
「第6章 第4次台湾危機と安倍元総理の功績」では、プーチンがキレたのはウクライナ国内にNATO軍が入って合同演習をしたからという指摘とともに、《この状況を台湾に当てはめてみると、非常に危険な状況になる》としてペロシ下院議長の訪台は問題だった、と発言しているあたりはバランスがとれているな、と感じました。
「補章 『トップガン・マーベリック』と次世代戦闘機」では、空母艦載機は1機種だとエンジントラブルなどが起きたら全機出動できなくなるので必ず2機種以上つくるのが決まりになっている、というあたりもなるほどな、と。
[主な目次]
第1章 プーチンは核を使うのか
■ロシアの核に対するアメリカの態度
■アメリカの核状況の中国への影響
■日本の防衛体制の諸問題
第2章 宇露戦争、約100日のエンドステート、優勢、劣勢の見方
■軍人なら絶対にしない、ロシア軍のバカげた作戦
■アメリカのエンドステート
■優秀な火力が必要な理由
第3章 ウサデン(宇宙・サイバー・電磁波)という戦場
■ロシアの電子戦にやられた2014年のウクライナ
■日本政府の防衛装備品の輸出規制緩和方針
■QUAD首脳会談とバイデンの台湾有事発言
■自衛隊トップのNATO参謀長会議出席
第4章 防衛政策の展開
■防衛費倍増方針にまつわる問題
■自衛隊統合司令部の新設について
第5章 インテリジェンス、兵器備蓄、ランチェスターの第二法則
■ウクライナ侵攻と台湾有事
第6章 第4次台湾危機と安倍元総理の功績
■見逃された最高指揮官としての憲法改正
■政権を潰す覚悟で成し遂げた平和安全法制
■アメリカの有識者のイメージを払拭した講演
■災害派遣で見た安倍元総理のリーダーシップ
■見逃された最高指揮官としての憲法改正
補章 『トップガン・マーベリック』と次世代戦闘機
■どうなる日本の次世代戦闘機
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