『国商 最後のフィクサー葛西敬之』
『国商 最後のフィクサー葛西敬之』森功、講談社
あまり読んだ本に関しては文句を言わないようにしているんですが、これはちょっと…と思うところがあって、どこまで取材というか下調べをしているのか前半の国鉄改革からJR発足にかけての4章ぐらいまで読んで疑問に思ったので、それ以降は読んでいません。
間違いなのは例えば信州大学へ講義に行った際に投げつけられたのが「生卵」としているあたり(p.107)。ちょっと調べれば写真写りのためにペンキが中心だったことはわかるハズなのに、伝聞をそのまま載せていて、校閲のチェックもできていないところ。
当時、まだ小此木彦三郎代議士の陣笠議員だった菅義偉さんのことをやたら暗躍っぽく描いていたりしているあたりもリアルタイムでの取材などはもとより求めていませんが、あまりにも牽強付会。
さらに、JR東日本社長を巡る杉浦国鉄総裁と、実質的に国鉄改革を仕切った住田正二運輸経済研究センター会長の対立に長い頁を割いていますが、誰も「東は住田」と思っていて、杉浦さんにそんな野心があったとはと驚いたぐらいのエピソードだったので、これも当時のことは知らないのかな、と。
組合問題についても「そういう見方があるのかw」的なところも散見されて、後半を読む気がなくなりました。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『言語ゲームの練習問題』(2023.03.13)
- 『安倍晋三 回顧録』安倍晋三、橋本五郎、尾山宏、北村滋、中央公論新社(2023.02.26)
- 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』(2023.02.02)
- 『戒厳令下のチンチロリン』藤代三郎(2023.02.02)
- 『陸・海・空 究極のブリーフィング 宇露戦争、台湾、ウサデン、防衛費、安全保障の行方』(2023.02.02)
Comments