« 『歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」』 | Main | 『歴史総合 近代から現代へ』山川出版社 »

September 29, 2022

『同志少女よ、敵を撃て』

Little-girl

『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬、早川書房

 これまでAudibleはジムのエアロバイクなど有酸素運動している時に、退屈しのぎと英語のサビ落としを目的に、英語のノンフィクションや人文系の本を聴いていたんですが、サブスクが安く提示されたので入ってみると、こうした本はほとんど対象になっておらず、すぐにやめようと思ったものの、三か月縛り…。失敗したと思った時に見つけたのが『少女同士よ、敵を撃て』。

 話題になっていた本なので「ま、いっか」と聴いてみたらなかなか面白かったという。

 ロシアとウクライナの関係、ナチス・ドイツとソ連の攻防、世界で初めて女性を攻撃部隊に使った赤軍、それでも残る女性差別(特に退役後)、赤軍と政治将校の関係、ソ連とベラルーシ、タジク人との関係、赤軍のドイツ人婦女子への暴行などの要素がしっかり有機的に結びついていて、フィクションらしいケレン味もありすぎという気もしないでもありませんが、文句をいっちゃいけないレベル。

 全ての章が面白く、昔の日本人作家ならラストに向かって息切れしてしまうのに、ちゃんと盛り上げていく力量は大したもんだと。

 特に印象に残ったのは伝説の女性スナイパー、リュドミラ・パヴリチェンコが狙撃手達に講演を行った場面を含む「第五章 決戦に向かう日々」。主人公セラフィマはここでジューコフ元帥に続き、リュドミラとも直接会って言葉を交わすのですが、戦後はどう生きたらいいのかという問いに愛する人を見つけるか、生き甲斐となるような趣味を持てという納得のいかない答えの背景には…というあたりはなかなか読ませて(聴かせて)もらいました。

 さっそく元となったスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』をチョイス。寝る時にはいまのウクライナにも想いを馳せながら聴いてみようと思います。

[目次]
第一章 イワノフスカヤ村
第二章 魔女の巣
第三章 ウラヌス作戦
第四章 ヴォルガの向こうに我らの土地なし
第五章 決戦に向かう日々
第六章 要塞都市ケーニヒスベルグ
エピローグ

|

« 『歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」』 | Main | 『歴史総合 近代から現代へ』山川出版社 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 『歴史像を伝える 「歴史叙述」と「歴史実践」』 | Main | 『歴史総合 近代から現代へ』山川出版社 »