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May 03, 2021

『『熈代勝覧』の日本橋』小林忠、小林弘、小学館

Kidai-shouran

 『新説の日本史』に紹介されていた資料の中で、すぐに手元におきたいとおもったのが『熈代勝覧』。

 こんなに生々とした江戸の姿が1995年に再発見されるなんて…と改めて驚きます。前書きでも触れられていますが1995年に中国美術収集家が親戚宅の屋根裏で発見し、ベルリン東洋美術館に他の収集品と共に寄託、以降中国美術として保管されていたのが、発見・寄贈したキュステル氏の死去にともなう遺品整理が行われた際、日本美術の学芸員が日本の作品と確認、この本の著者でもある小林忠先生に連絡をとって…という経緯があったそうです。

 『熈代勝覧』の「熈」は清の康熙帝の熙の異字体なので、中国ものと思われてたんでしょうか。ドイツの方にしてみたら、東洋は皆んな似ていると感じるでしょうし、日本の江戸時代イメージも定着していないんでしょうね。やはり彼らにとっては「東の方」というおおまかなくくりなんですか(SNSでのやりとりの中で、アラジンのランプの挿絵で、まるで花魁な女性の出るのもあったとかいう話しも教えてもらいました)。

 それにしても『熈代勝覧』は化成文化華やかなりし頃を伝える素晴らしい作品です。

 特に気に入ったのは後半、日本橋のたもとを描いたあたり。ここらへんには酒の立売りも出ていたようで繁盛ぶりがイキイキと描かれています。解説によると「昼も過ぎれば、お武家も商人もほとんど仕事は終わり。昼間から酒でも飲むかと天下泰平」とのこと。それを考えると、緊急事態宣言にともなう「禁酒法」はお江戸の方とも思えないお触れだな、と感じます。

 落語は談志師匠ではないですが、江戸の風が吹いているようでないと聞いてる価値は半減しますが、「番屋はこんな感じだったのか」とか江戸の風景を想像するのにも良い感じの絵図です。

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