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May 27, 2021

『連星からみた宇宙』

Rensei

『連星からみた宇宙 超新星からブラックホール、重力波まで』鳴沢真也、ブルーバックス

 《夜空に輝く星の半分は「連星」であるという事実は、不思議とあまり知られていない-中略-じつは北極星も、3つの星が回りあっている「3重連星」だ》という紹介文にそそられて読みましたが、昔のブルーバックスとは桁違いの分かりやすい文章と、それを視覚的に助けてくれるイラストで新しい宇宙論をワクワクしながら読み進めることがでました。

 最初に驚いたのが恒星はだいたい連星で、われわれの太陽の兄弟星みたいな星もあることが報告されている、ということ。太陽から110光年にある七等星「HD 162826」は年齢、質量、半径、表面温度、化学組成がほとんど同じだそうです。太陽系に一番近いのは約4光年先にあるケンタウルス座アルファ星ですが《この星は3重連星ですので、もしも太陽とも重力的に結びついているならば、4重連星》ということも考えられる、と。

 しかし、多重連星はあるにしても《多重連星はかならず「2つの星だけが近くにある」ということです。別の言い方をすると「3つ以上の星が接近していることはない」ということ》《3つの星がもし近づくと、お互いの間で働く重力が複雑になって、公転軌道が安定しません。そのために、3つの星のうちの1つがやがて遠くに弾き飛ばされたり、他の星と衝突したりしてしまいます。3つの星が重力的に安定して回りあうには、2つの星が連星として近くを回りあい、もう1つは連星から遠く離れたところを回るという形にならざるをえない》というあたりも面白い。

 連星のつくられ方は4つが考えられるとのこと
①主星から伴星が飛び出してできた(親子説)
②1つの星が分裂してできた(分裂説)
③別の場所で生まれた伴星を主星がつかまえた(捕獲説、他人説)
④同じ場所で同時に生まれた星が連星になった(双子説)

Rensei-irast

 恒星は《分子雲コアの中で、2つ(以上)の星が「双子」のように同時に生まれ、それがそのまま連星になったと推測できるのです。「はじめに」で書いた「連星でなければ、星ではない」の表現は、星の誕生の時点では誇張ではなさそう》です。

 中には《非常におかしな連星が「赤い新星」を生むことがあるという話をしました。これは、じつは共通外層天体でのことでした。この天体の場合、中に取り込まれた小さなB星が共通外層の中を公転するうち、ガスとの摩擦で公転のエネルギーを失い、らせんを描きながら中心部の大きなA星のコアに向かって落下》したような連星in連星もある、と。なんというセンス・オブ・ワンダー!

 また、恒星の多くが連星であるということは、新星にも深く関係するのですが、新星にも様々な種類があることもよく理解できました。《「肉眼新星」は、平均的には数年で1つくらいは出現します。過去 80 年ほどの間でもっとも明るくなった新星は、じつは1975年に日本の高校生が肉眼で発見したもの》だそうです。

 また、白色矮星の激しい爆発の結果生じるIa型超新星は白色矮星の質量が均一であるため、ピークの明るさが一定しているし、非常に明るく光るので遠い銀河でも観測できるため、「標準光源」となる、と。この非常に明るく、超遠方の銀河で発生しても地球で観測できるものが「Ia型超新星」で、これによって、遠方の銀河の後退速度を測ることができ、宇宙が膨張速度も分かった、と。これによって、現在のダークエネルギー研究が発達していった、ということで、宇宙論自体も連星研究から発達していった様子が、素人でも僅かながら理解することができました。

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