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October 08, 2020

加藤洋子先生の本など読んだことのない、基礎的な教養に欠ける恥ずかしい官僚たちへのブックガイド

Showashi

 加藤さんは『戦争の論理』のあとがきで印象的なエピソードの対比を教えてくれています。日米開戦が不可避となった1941年9月6日の御前会議で昭和天皇が「四方の海」の和歌を披露したのに対し、キューバ危機の時のケネディ大統領は第一次世界大戦の最初の1ヵ月を描いたタックマンの『八月の砲声』を引用して戦争回避の必要性を訴えました。

 学術会議の任命を拒否したような官僚は、きっと歴史小説や大河ドラマぐらいしか読んだり見たりしていないから、加藤先生の業績など読んでいないと思いますので、せめて以下のブックガイドでも読んで不勉強を恥じてもらいたいと思います。

 また、日本学術会議のあり方みたいなところの議論にもっていくムキもありますが、ああいった組織に、カネを出さなくても良いという判断というか、気に入らないのにはカネを出さないというのは、国民政党としての自由民主党の自己否定になるのではないでしょうか。

 器が首相として小さいとか言う問題ではなく、器が地方議員レベル。

 国民国家が価値源泉だと思うなら、長年研鑽してきた研究者に報いるのは当たり前。本当に評価を下げたと思います。

(1)『戦争の論理 日露戦争から太平洋戦争まで』加藤陽子、勁草書房
http://pata.air-nifty.com/pata/2009/10/post-a3f7.html

(2)『天皇と軍隊の近代史』加藤陽子、勁草書房
http://pata.air-nifty.com/pata/2020/02/post-1013b4.html

(3)『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子、朝日出版社
http://pata.air-nifty.com/pata/2009/09/post-f00c.html

(4)『満州事変から日中戦争へ』加藤陽子、岩波書店

http://pata.air-nifty.com/pata/2007/06/post_692b.html

(5)『昭和天皇と戦争の世紀』加藤陽子、講談社
http://pata.air-nifty.com/pata/2011/09/post-fb34.html

(6)『戦争を読む』加藤陽子、勁草書房
http://pata.air-nifty.com/pata/2009/10/post-5036.html

(7)『天皇はいかに受け継がれたか: 天皇の身体と皇位継承』加藤陽子責任編集、歴史学研究会編、績文堂出版
http://pata.air-nifty.com/pata/2019/04/post-967dae.html

(8)『あの戦争になぜ負けたのか』半藤一利、中西輝政、福田和也、保阪正康、戸高一成、加藤陽子(著)、文春新書
http://pata.air-nifty.com/pata/2007/07/post_2a1f.html

(9)『昭和史裁判』半藤一利、加藤陽子、文芸春秋
http://pata.air-nifty.com/pata/2011/09/post-bd0a.html

(10)『戦争と日本人 テロリズムの子どもたちへ』加藤陽子、佐高信、角川ONEテーマ21
この本だけは独立して書くのを忘れていたみたいなので、チラッと紹介。この本の問題意識は、以前の日本は世界全体の8割ぐらいの発展途上国を搾取すればよかったけど、グローバル化によって国の中で2割の富裕層が8割の低所得者層を搾取するしかなくなった、ということ。原敬が19歳の少年に暗殺された時、大杉栄は「やったのは子供なのだね」とつぶやいたが、去年の尖閣事件で騒いだ日本人も、協調路線を唱える人々を中国に屈したと非難しまくった点で似ている、と。原敬だけでなく、満州事変を日中間の二国間交渉で解決しようとした犬養毅や浜口雄幸、高橋是清、井上準之助なども「子ども」に殺されたわけで〈天をめぐらす器をもった回天の政治家が、「子ども」たちに暗殺されてしまうことなど一切ないように願いたい〉としています。

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