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December 23, 2018

『アリー/スター誕生』

『アリー/スター誕生』を初日に観たんですが素晴らしかったです!

ガガ子はマドンナが手にできなかった映画界での地位を手に入れ、ブラッドリー・クーパーはイーストウッドの後継者になりそうな感じ。

『ハング・オーバー』から大好きだったけど、ブラッドリー・クーパーがこんなに凄い映画人になるとは思わなかった。ガガ子も本当に可愛いんですよね。

安心して観ていられたというか「どうせこれはエフェクトかけているんでしょ、はいはい」みたいな感じがなく、スクリーンに没入できた。

クーパーは役者出身だけあって、撮影対象の人物が良く浮き上がるローアングルからのボディショットが多くて、それが芝居を引き立たせていました。

最後のシークエンスの長回しはその集大成。やったな、という感じ。

だから長回しのボディショットの後、クレジットに移る前の本当のラスト・ショットの俯瞰が効くんだな…。

お見事!

ロングドレスを逆光で背後から撮って、長回しに入って、最後の最後に…という計算されつくし、誰にでも印象付けられるカットで締めくくるとは、本当に素晴らしい!

往年の名画を観ているようでした。

例えば、途中でガガ子が自分のことを「鼻が大きいの」と語るのは76年のバーブラ・ストライザンドへの、ロングドレスは54年のジュディ・ガーランドへのオマージュとはっきり分かります。

レコーディング・スタジオでの初録音の際のヘッドフォンの使い方も、ブラッドリー・クーパーはきちんと76年作品をオマージュしている。『アリー/スター誕生』はなんて、映画的に由緒正しい作品なのか。

ガガ子の起用といい、ブラッドリー・クーパーは制約の中で自由にやっている感じ。素晴らしい!ガガ子のお父さん役は、実際のガガ子のお父さんみたいな感じ(スマスマに一緒に出てたw)。いかにも、イタリア系という感じの軽さで、しかも家族を愛し、同じイタリア系のシナトラを愛している、みたいな。そういう設定の仕方がんまい。

ブラッドリー・クーパーは『アメリカン・スナイパー』でクリント・イーストウッドから「主演/監督」のポジションを継承したのかもしれません。

次世代のイーストウッドはクーパーなのかもしれません。リメイクというのは勝負してないかもしれないけど、今の時代なら仕方ないかも。

Greatest Showmanについて宝塚の演出家、上田久美子先生がVRというか体験型アドベンチャーのように感動を強要させられるとか言ってたけど、それとは真逆の『アリー/スター誕生』の感想を聞きたいと思いました。

音楽についていえば、『アメリカン・スナイパー』で奥さんを口説く時に「カントリー・ミュージックは好きか」という台詞があったんですけど、ブラッドリー・クーパーはアイデンティティーとしてカントリーをリスペクトしている感じ。

ブラッドリー・クーパー、イイ奴だな、と。

ブラッドリークーパーは『ハング・オーバー』の中で、とりあえず、物語を前進させていくでしょ?自分では解決できずに、最後は人の力を頼むんだけど、そんな役がピッタリ合っていて、本当に好き。

いつの間にか、あんな大スターにして、監督、プロデューサーにもなっていて、凄いな、と。

ブラッドリー・クーパーは「クーパーといえばゲイリー・クーパー」という芸名クーパーの頂点を、久々に更新してトップになったかもw

セルフ・プロデュースのんまさは、イーストウッドと違い、さすが政治学で有名なジョージタウン大学を卒業しているという感じがしますw

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