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March 09, 2018

『ナポレオン』

Napoleon_2

『ナポレオン』杉本淑彦、岩波新書

 なぜかバカ売れしている岩波文化の象徴のような『君たちはどう生きるか』に便乗してきたのかな、と一瞬思うほど岩波新書の新刊に『ナポレオン』が登場(『君たちはどう生きるか』を読んだことのある方には、なんでそう思ったかわかると思います)。マンガのように一気読みしてしまいました。

 ナポレオンの父はコルシカ独立派から転向したことで貴族となったという経歴を持ち、そのことにナポレオンはコンプレックスを持っていたとか、応用数学が得意だから弾道計算の必要な砲兵科に進んだとか、なるほどな、と。

 ジョセフィーヌは英雄としてのナポレオンをアピールするために有名画家に肖像画を依頼するなどで内助の功を発揮するのですが、一番有名なダヴィッドの肖像画『グラン・サン・ベルナール峠を越えるナポレオン』のサン・ベルナールは、英語読みでは「セント・バーナード」なのかと知る。

 本当のアルプス越えはラバに乗っていたらしいんですが、ダヴィッドの肖像画では、急斜面を馬が後ろ脚で立ち、岩にはハンニバル、カール大帝と並んでボナパルトの名前を刻むなど「徹頭徹尾、格好良くナポレオンを描いている」、と(p.147)。

Napoleon_bernard300

 また、イギリス経済に打撃を与えるために行った大陸封鎖は、かえってイギリスにアメリカとの交易を促して成長させてしまったとか。

  ナポレオンが派遣した遠征軍を撃退したハイチの黒人たちは、1804年、独立を成し遂げ、それによってナポレオンはルイジアナを売却するというつながりも。

 にしても、ハプスブルク贔屓からすると、ナポレオン強すぎて嫌い。しかし、ナポレオン率いるフランス軍に簡単に負けても、王妃を差し出して懐柔して、ナポレオンより100年以上、帝国を維持するのは流石といかいいようがないかも。「戦争は他の国にまかせ、幸福なオーストリーは結婚を」という有名な話しを思い出す。

 皇帝となって正妻、ジョセフィーヌに世継ぎを求めたナポレオンにはその時点で庶子が2人いたが、自らの法典で庶子の相続権を制限されていたので、ハプスブルク家のマリー=ルイーズと結婚、皇太子を得ることになります。

 東洋的には後宮をつくれば…と思うが、昔からの王権神授の伝統で、教会が祝福した結婚じゃないと厳しかったのかな、と。

 花組公演『カリスタの風に吹かれて』は、ほぼナポレオンがフランス革命前期において出身地コルシカ島に戻って果たした役割を元にしていることがよく分かる。フランス革命好きの宝塚ファンにはお勧めというか、宝塚にフランス革命の種は尽きない感じ。

 エルバ島に流されることが決まった時、いったん自殺を図っているというのは知らなかったな。

 本とは関係ない話しですが、ナポレオンのエルバ島脱出も2月26日だったとか。 あと、 ナポレオン3世、ボナパルト家の血筋ではないって結果がDNA鑑定によって出てしまったとのこと。ジョセフィーヌもナポレオンの不倫しまくりだからさもありなんだけど、全く似てなかったからな…。

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