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December 17, 2017

『ギリシア人の物語III 新しき力』

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 『ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず』の初版は1992/7/1でした。

 やがて刊行ペースが遅れていったけど、だんだん年末に出すパターンが定着していったと思います。毎年、年末は肩の凝らない塩野さんの歴史物を読むのが好きでした。

 『ローマ人の物語』が完結した後に出したのは『ローマなき後の地中海世界』。ブローデル『地中海』をパクったとしか思えないこの上下二冊には少しガッカリしましたが、『地中海』の副読本だと思って読めば楽しかった。

 『十字軍物語』五巻は戦記モノとして読めば面白かったし、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』二巻は正直、勉強させてもらいました。

 『ギリシア人の物語 III』はどうやら著者の長編最後の作品となりそうで、寂しい限り。

 『ローマ人の物語』では圧倒的にカエサルの二巻が面白かったのですが、最後はアレキサンダー大王が主役。英雄大好きな塩野さんだけに楽しみです。

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 塩野さんの歴史物は宗教史としても読めると思います。アレキサンダーとその後継者がヘレニズム世界をつくり、そこでユダヤ教が「一国救済主義」の限界を迎え、キリスト教がローマ帝国を内部から侵食し、ヨーロッパはキリスト教共同体となって停滞。やがて勃興したイスラム教相手に十字軍という愚行までしでかしますが、ルネッサンスを先取りしたような皇帝フリードリッヒ二世などの現世勢力によって克服されていく、みたいな。

  『ギリシャ人の物語 III』では最後に『グラツィエ・ミッレ」と読者への感謝を述べて、50年に渡る「歴史エッセイ」の筆を置いています。

  《書き続けてこれたのは、私の作品を買って読むことで、私が仕事をつづける環境を整えてくれた読者がいたから》


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