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October 16, 2017

『小説フランス革命』第2部(単行本7巻 ジロンド派の興亡)

 フランス革命は明治維新と同じようにというか、大国の革命らしく左右にぶれまくりながらジグザグ進みます。バスティーユ陥落、ルイ16世処刑、テルミドール反動、ナポレオンの破竹の進撃という世界史的な事件が続きますが、その間にも議会での論争や、民衆蜂起、対外戦争とよくこんなことが同時期に起こるな、というぐらいの事件続き。

 フランス革命は大きくみれば、イギリスと比べてやや遅れて育ったブルジョワたちが貴族たちの支配する封建制を終わらせ自由経済圏をフランス全土につくったものの、内外の左右の勢力に対抗するため、まずロベスピエールを使って内部の極端な勢力を粛正し、その後、ナポレオンの軍事力に頼って対外戦争に勝利した、という図式だと思います。

 ということで前回は第1部(単行本1~6巻)をダイジェストしたんですが、第2部は話しがさらに複雑になってくるので、忘れないうちにまとめようかな、と。

 7巻の『ジロンド派の興亡』で描かれているのは1792年1月から8月初旬まで。

 保守的なブルジョアジーは自由主義的貴族と同盟して、立憲王制で革命を終結させようとしたのがフイヤン派で、参政権も収入により、能動的市民と受動的市民に分けて統治しようとしていた、と(1789年から1792年8月までは妥協的な立憲王制で推移していました)。

 これに対して、急進的なブルジョアジーの集まりだったジャコバン・クラブは受動的市民に格下げされた民衆や農民と同盟して王制を廃止し、共和制を確立しようとしていた、と。

 しかし、問題を複雑にしたのは対外戦争をめぐるネジレ現象。

 フイヤン派は反戦、ジャコバンは好戦派なんですね。なぜかというと、フイヤン派はフランス国内を安定的に維持したいから。それに対してジャコバンは党派的に対抗するために主戦論で応じるわけです。

 さらに、実はルイ16世も実は主戦派で、内心ではフランスが負けて、オーストリア軍がパリに迫った段階でマリー・アントワネットの兄弟である皇帝と和議を結び、一気に旧体制を回復しようとしていた、と。このため、ジャコバン・クラブをけしかけて、開戦させるわけです。

 こうした中でロベスピエールは孤立し、納税額による能動的市民と受動的市民の差別と制限選挙法を廃止し、男子だけとはいえ普通選挙の実現に向けて地道に努力を続けます。

 ということで、後は順番に。

 パリでは砂糖の不足が発生しますが、これはカリブ海の植民地、サン・ドマング島で奴隷が叛乱を起こしたため。人権宣言は様々な影響を与えていくわけです(p.46)。また、パンなど他の食品も値上がりしていきます。こうした中で、価格統制を求めてエタンプでは暴動も発生。市長シモノーは惨殺されます。

 このエタンプから暴動参加者への情状酌量を求めて、ジャコバン・クラブにやってきたのがドリヴィエ神父(p.94)。遅塚忠躬『ロベスピエールとドリヴィエ』のもう一人の主人公ですが、やってきたのがジロンド派によるオーストリアへの最後通牒の直後の4/27というのですから。ロベスピエールはジャコバン・クラブの中でも反戦の立場をとっていて、いよいよジロンド派(ワインで有名なボルドー地方などがあるとろこ)との対決姿勢を強め、自由主義に対して社会的な公平さも必要であることを知る、と。

 ルイ16世は開明的な国王で、イギリス海軍に対抗するためシェルブールに海軍基地を建設していましたが、そこで覚えめでたかったデュムーリエを外務大臣に選び(立憲君主制ですから)、対外戦争に向けて着々と準備を進めます(p.72-)。そのデュムーリエの推薦で、なんとフイヤン派ではなくジロンド派が抜擢されるようになります。国王の目的は内閣が勝手に暴走したことによる自国の敗北ですから、内政的にはフイヤン派より進歩的なジャコバンのジロンド派でもかまわなかった、と。

 ジャコバン・クラブは僧院を改装して作られましたが、その中でジロンド派はより高級なサロンを好みました。ジロンド派のサロンの女王として有名なのがロラン夫人。

 せっかく自分のサロンに集まるジロンド派で内閣がつくられ、オーストリアに宣戦布告したものの、フランスは連戦連敗。この窮地はマリー・アントワネットらがオーストリアと通じているからではないか、ということで、なんと一時は大臣まで上りつめた夫や、本来は敵対していたダントンを使った市民蜂起を6/20に起こし、拒否権を連発してジロンド派内閣の思い通りに動かないルイ16世を拉致しようとします。

 "Ah, ca ira !"を歌いながらティルリー王宮に侵入したパリの貧民、サンキュロットの暴徒たち。そうした事態に、なんとルイ16世は民衆を諭して失敗に終わらせたのです。

 しかし、一気に回復した王の人気は、フランス国王一家に危害を加える企てがあった場合、同盟諸王は軍事制圧するというブラウンシュヴァイク宣言が出されて急降下。

 蜂起に失敗したダントンらは一時、地下に潜りますが、ふたたび8/10に蜂起を仕掛けます。

 こうした中、ロベスピエールはジロンド派のペティオンの自重を求められ快諾するも、直後に銃による暗殺未遂に見舞われます(p.275)。

 ダントンらはロベスピエールに蜂起への参加を求めるものの、後見のデュプレイに自重を求められ、デュプレイ宅の地下にこもる、というあたりでこの巻は終了。

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