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October 21, 2017

『暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』

Timosy_bousei

『暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』ティモシー・スナイダー、慶應義塾大学出版会、池田年穂訳

 『赤い大公』『ブラッドランド』『ブラックアース』の著者であるティモシー・スナイダーは16年11月8日にドナルド・トランプがアメリカ大統領に当選した週間後の11月16日、自身のFaceBook上に「こんにちの状況にふさわしい20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン」を載せました。

 スナイダー教授は東欧近現代史の研究者。その彼が、「歴史は繰り返す」ことに危機感を抱き、ポピュリズム、権威主義的政権に立ち向かうためのマニュアルとして20のレッスンは緊急に書かれたもので、本書『暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』慶應義塾大学出版会、池田年穂訳はそれに肉付きさせたもの。

 《20世紀のヨーロッパ史が私たちに教えてくれるものは何かと言えば、社会が破綻するのも、民主制が崩壊するのも、道義が地に墜ちるのも、普通の男たちが銃を構えて死の穴の縁に立つのも、何もかもありうるのだということです》とプロローグが書かれていますが、スターリングラードで退却したら自軍の機関銃の餌食になる状況で絶望的な突撃を命じられ、双方に約200万人の死傷者を出した凄惨な市街戦が繰り広げられてから、まだ70年しかたっていないし、ユダヤ人虐殺からも70年たっていないのですから。

 20のレッスンは以下の通り。

 投票前にご参考にしてください。

1)忖度による服従はするな
2)組織や制度を守れ
3)一党独裁国家に気をつけよ
4)シンボルに責任を持て
5)職業倫理を忘れるな
6)準軍事組織には気をつけよ
7)武器を携行するに際しては思慮深くあれ
8)自分の意志を貫け
9)自分の言葉を大切にしよう
10)真実があるのを信ぜよ
11)自分で調べよ
12)アイコンタクトとちょっとした会話を怠るな
13)「リアル」な世界で政治を実践しよう
14)きちんとした私生活をもとう
15)大義名分には寄付せよ
16)他の国の仲間から学べ
17)危険な言葉には耳をそばだてよ
18)想定外のことが起きても平静さを保て
19)愛国者(ペイトリオット)たれ
20)勇気をふりしぼれ

 例えば

1)忖度による服従はするな
 人々は驚くほど、新しい状況下での新しい規則を受けいれやすく、ナチスが政権を取ったあとは忖度による服従がみられた、と。オーストリア侵攻後、オーストリアの役人も一般人も、ヒトラーの意を忖度し、率先してユダヤ人への侮辱と財産没収をはじめたそうです。人間って醜いですよね。

3)一党独裁国家に気をつけよ
「不断の警戒は自由の代償だ」

4)シンボルに責任を持て
スターリンは富農を豚の姿に描かせ、ドイツではナチスがユダヤ人の家や商店にペンキで「ユダヤ人」の印をつけはじめたところからボイコット→虐殺への暴走がはじまった。

11)自分で調べよ
ジャーナリストの倫理に固執する人間たちの仕事は、そうでない人間たちの仕事とは質が違う。価値あるものには代価が支払われるべき。

18)想定外のことが起きても平静さを保て
プーチンはテロの脅威を口実とするトリックでのし上がった。

 というようなことだ、と。

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