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October 20, 2017

『小説フランス革命』第2部(単行本 12巻 革命の終焉)

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 フランス革命はテルミドールの反動までは、常に左が右を倒してききました。しかし、遅塚忠躬にいわせると平原派であるブルジョワがロベスピエールを使って、封建主義に戻そうとする王党派と極端な左派を打倒し、最後に「走狗煮た」とも見えます(それでも、最後にはナポレオンの武力に頼らざるを得なくなるわけですが)。

 実際、サン・ジュスト、ルバらと共にロベスピエールは穏健派(右派)であるダントンらと、極左とも言うべき激昂派とエベール派をギロチン台に送った後、急速に求心力を失います。左右を切ってダイナミクスを失ったという力学だけでなく、対外戦争が好転して、危機的な状況から脱したということも影響していました。独裁は危機だから許されたのに、ロベスピエールたちは、「まだまだ」と油断していたのかも。

 サン・ジュストは若いから根回しが下手ということがあったんでしょうかね。また、ロベスピエールにも慢心があったのでしょうか。対立を深める公安委員会と保安委員会との妥協点を探る動きは、ことごとく失敗するわけです。

 7月26日(テルミドール=熱月8日)、ロベスピエールは苛立って国民公会で「静粛されなければならない議員がいる」と演説、全ての議員が動揺することになります。こんなこと言わなければいいのに。

 翌7月27日(テルミドール=熱月9日)、それでもサン・ジュストは保安委員会との妥協を図る演説をすることで妥協を図ろうとしますが、事前に保安委員会に演説原稿をみせるという約束を破ってしまいます。

 議会は混乱。しかし、ロベスピエール派は議長に発言を封じられ、「暴君を倒せ!」という野次と怒涛の中で、ロベスピエール、クートン、サン・ジュスト、ルバ、オーギュスタン・ロベスピエール(ロベスピエール弟)を逮捕する決議が通過。

 国民衛兵隊長アンリオが200人の砲兵隊を連れてくるなど、いったんはパリ市らの手によってロベスピエールらの身柄は解放されたものの、ロベスピエールは蜂起の先頭に立つことを拒否。

 なんなんでしょうかね。この期に及んでの逡巡は。独裁者と呼ばれたくなかったにしても、破滅が予想される中で最後まで煮え切らない態度を取る理由は。政争に疲れ果てていたのかもしれませんが。

 実際、ロベスピエールは実際の蜂起に加わったこともないし、権力奪取後も「精神的な蜂起、道徳的な暴動」「徳の政治」を目指すという観念的な方向に行ってしまうんです。

 ロベスピエール支持派は彼らをいったんは奪い返したものの、本人が煮え切らない態度のままでいたため、やがて動きは急速に萎み、蜂起した側が逮捕されることに。小説では、ロペピエールは自殺未遂をした、という設定になってますが、まあ、撃たれたというよりいいかも。

 2部の後半ではエベール派について、色々、考えていたんですが、風刺漫画の「シャルリー・エブド」が下品で卑猥なのは、フランス革命当時のエベールから連綿と引き継がれて、折に触れて復活した結辞にfoutre(Merdeより汚い言葉)を使う『デュシェーヌ親父』(Le Pere Duchesne)以来の伝統だったりして、とか思いました。

 正直、あまりの悪文に『小説フランス革命』は途中で放り出していたんです。改めて読んでみようかな、と思ったのは、雪組公演『ひかりふる路 革命家、マクシミリアン・ロベスピエール』が発表されたからです。ベルばらだと、バスティーユの後、すぐにマリー・アントワネットの処刑になってしまうんですが、もちろん、そんなに足早に歴史は進みません。一時期は1791年憲法の立憲君主制ぐらいで落ち着くかと思ったら、そこから一気に左傾し、共和制の成立、王族の処刑、政治的な粛清と進みます。

 『ひかりふる路』はおそらく、佐藤賢一版『小説フランス革命』では2部が舞台となると思いますし、予想ですが、7-10巻ぐらいが中心かな、と。ご参考になれば幸いです。

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