ゴジラという使徒
『シン・ゴジラ』見に行ったら観客たくさんで驚きました。
第一感、これって新世紀エヴァンゲリオンの第六話「決戦、第3新東京市」におけるヤシマ作戦の実写版、みたいな。これは第3新東京市直上を襲った第5使徒ラミエルを撃破するために、葛城ミサト作戦部長が立てた作戦を描いた回です。
『シン・ゴジラ』では長谷川博己が政府のゴジラ対策チームのチーフを演じてましたが、男女を入れ替えて新味を出すのは脚本の基本ですからね。シン・ゴジラ、使徒にN2地雷を使ってちょっと侵攻を遅らせるとかクリソツ
シンジに対して葛城が「葛城さんじゃなくてもミサトでいいわよ」っていうのも石原さとみと同じかな(長谷川博己も竹野内豊も政治家とは見えなかったな。若手の官僚っぽい演技だった。そこは残念)。
『シン・ゴジラ』のタンク車並びは、ヤシマ作戦の電源車っぽいし、電車の使い方なんかも似ていました。ラミエルが近接する敵を自動排除するという設定もシン・ゴジラと同じ。
音楽もエヴァと共通でしたよね。DECISIVE BATTLEはヤシマ作戦のBGMでも使われていましたし。
あと、ゴジラが何回も上陸するのも使徒と同じ。
そこがどこかわからないというのは、初代ゴジラが太平洋戦争の直後の米軍爆撃の圧倒的な非対称性から作られた時からの伝統でしょうが。
アニメと違うから、碇ゲンドウみたいに薄笑いしながらの命令とかはないけど。
家やボートが流されたりするシーンや、生コンポンプ車での注入作業などは東日本大震災の影響でしょうが。
米国、米軍との関係に今更ビックリしたというような愚かな反応はどうでもいいけど、サンプルを米国が回収して破棄したという話し(ラミエルが近接する敵を自動排除するという設定もエヴァにありました)もシン・ゴジラと同じ。ここはミグ25の亡命事件の時に、自衛隊からは官邸より米軍に最初の情報が行ってしまっていて、当時の後藤田官房長官が激怒したという話しを思い出しました。
「この国のいいところは次のリーダーが早く決まるところ」というセリフは、中井久夫先生の『災害がほんとうに襲った時 阪神淡路大震災50日間の記録』から引かれたんじゃないかと思いました。同じ災害をテーマにしていますし。
中井先生によると、ドイツの精神医学全書の「捕虜の精神医学」の項にはシベリアにおけるドイツ軍捕虜に比して日本軍捕虜を恥ずかしくなるほど称えた文献の引用があるんだそうです。いわく、ソ連軍が日本軍捕虜の指揮官を拘引するとただちに次のリーダーが現れた、と。彼を拘引すると次が。将校全員を拘引すると下士官、兵がリーダーとなった、と。こうして日本軍においてはついに組織が崩壊することがなかったがドイツ軍は指揮官を失うと組織は崩壊した、というあたり。
もちろん肯定的に使われていると感じました。
全体的にはとても面白かったです!
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