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May 08, 2016

『十六夜清心』

Kabukiza_201605

 今月の歌舞伎座には最も好きな『花街模様薊色縫 十六夜清心 さともようあざみのいろぬい いざよいせいしん』がかけられています。

 初演は安政の大獄が猖獗を極めていた安政六年。トルストイの『にせ利札』に先立つこと40年あまり前に、めくるめく悪の自己増殖運動をあますところなく描いています。

 序幕で演奏される「梅柳中宵月」(うめやなぎなかもよいづき)も清元の最高傑作になっています。文句が素晴らしい。

♪朧夜に星の影さへ二つ三つ、四つか五つか鐘の音ももしや我身の追手かと、胸に時うつ思ひにて、廓を抜し十六夜が
♪落て行衛も白魚の、船の篝に網よりも、人目厭ふてあと先に、心置く霜川端を、風に追れて来りける
♪嬉や今の人声は、追手ではなかつたさうな、廓を抜てやう/\と、爰まで来たことは来たれども、行先知ぬ夜の道、何処をあてどに行うぞいの
♪暫し佇む上手より梅見帰りの船の唄
♪負んぶ忍ぶなら/\闇の夜は置しやんせ月の雲に障りなく辛気待宵十六夜のうちの首尾はエヽよいとの/\
♪聞く辻占にいそ/\と、雲脚早き雨空も、思ひがけなく吹晴て、見かはす月の顔と顔

 今年は原作の河竹黙阿弥生誕二百年。

 現代劇にも通じるような人間のリアルを描いた十六夜清心ですが、なんと7年ぶりの上演。同じ昼の部に上演される『寺子屋』みたいなのを毎年かけるんだったら、松竹は十六夜清心とか鶴屋南北ものをもっと上演すべきですよね。

 しかも十六夜清心は近松批判にもなっているんです。上方の心中物のようにこってりではなく、さらりとしていて、しかも失敗することもあったんだよ、と。
 平日の昼だったら、余裕で幕見できると思いますんで、騙されたと思ってぜひ。しかもたった1200円!

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