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May 04, 2016

『丸山眞男講義録7』#3

『丸山眞男講義録7』丸山眞男、東京大学出版会

 「第二章 近世儒教の政治思想」「第二節 幕藩体制の統治原理」

 同世代の中では比較的、漢籍をあたっている方だと思ってはいたんですけど、膨大すぎる司馬光の『資治通鑑』は入門書でしか接してないし(しかも気味悪すぎて…)、朱子の『通鑑綱目』はどうやって手に入れていいのかもわからないほどの、お話しにならないレベルだな、と痛感させられました。

 ということですが、享徳の乱(1455、関東)と応仁の乱(1467、関西)以来、約150年続いた戦国時代が大坂夏の陣で終了したことで元和と改元させ、元和偃武を徳川幕府は宣言しました。偃武(えんぶ)は『書経』の「武を偃(ふ)せて文を修む」からとっています。
 
 戦国大名は改易、転封が相次ぎ、あたかも官僚のような役割となっていきます(もちろん例外はありますが)。


 特徴的なのはこうした《幕藩体制の行政組織が、そのまま軍事組織を兼ねていること》。非常時臨戦体制の常時化、総動員体制の日常化によって天下泰平をつくりだしたことだ、と(p.156)。

 その一方で、日常的には「文を修む」ことを武士に求め、儒教主義的な統治方針が打ち出されてゆき、諸藩も藩校をつりはじめます。

 しかし、幕藩体制で儒教は唯一の思想原理とはされなかったし、儒教自体も漢唐の訓詁学から宋の「義理の学」への自己革新も進展していた、と(p.160)。

 また、大領主と農民の間の中間勢力(在地士豪名主層)は家臣団に組み込まれ、藩は領民を直接掌握し、慈恵の対象とした、と。また、身分の細分化も進み、それは秩序感と安定感を与えた、と(p.163-)。

 この象徴が五字七字の教えといわれる「うへをみるな」「みのほどをしれ」(p.166)。

 ここに至り神や仏などの超越的な絶対者は否定されます。そして、一切の価値は「世間」に内在化され、不変理念も君臣・父子・夫婦といった身分関係から離れては考えられない時代となります。そして知行安文と天下泰平は内面的にも凍結された、と(p.167)。

 統治は「万事権現様のお定めの通り」が決まり文句となり、上級権力者も自由勝手な振る舞いは許されず、それはデスポティズムではなかった、と(p.170)

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