« 『日本精神史(上)』 | Main | ときわ食堂のカキフライ定食 »

February 21, 2016

『ピアフ』

Piaf1

 大竹しのぶさんの『ピアフ』は何回も見たいとは思わないけど、再々演の今回、見ておいて本当に良かった、と感じました。

 なんていいますか、大竹しのぶさんの演技は、奇跡を目の前で見せられているようで。

 しかも、最前列で唾が飛んできそうなところで見物できて。目をみはって見つめ続けるしかない舞台で、大竹しのぶさんは、時々、完全にイってるんじゃないかと思う時がありました。

 パンフレットに載っていたジャン・コクトーの「私は彼女ほど魂を倹約しない人を知りません」という言葉に深くうなずきます。にしても、なんていう女性なんでしょうか、ピアフは。実際に近くにいたら、困ってしまうでしょうね…。

 ピアフは神懸かった巫女みたいな存在なのかも。イブ・モンタン、シャルル・アズブール、ジョルジュ・ムスタキなど彼女を通りすぎていった才能豊かな男たちは、彼女の前で等身大の自分をさらけ出さなければならなくなって、結果的に自分を見つめ直して世に出ることができた、みたいな。

 新約聖書の時代にも異言で泣きわめくような女性信徒みたいなのがいたことが使徒行伝などで報告されてまして、そうした困ったちゃんたちはパウロたちカトリカ(普遍のCatholica)教会からは駆逐されたけど、マクベスの魔女たちじゃないけど、やっぱりどこかに残っていたみたいな。

 パンフで親友トワーヌ役の梅沢さんが、ピアフは男を育てるのが偉い、みたいなことを言っているんですが、それに対して、大竹しのぶさんは「私、育てたいとは全然思わない(笑い)」と聞かれてもないことを天然にぶちかましているんですが、まあ、そんなところも凄いな、とw

 ピアフで大竹しのぶさんは、後半、弱っていって車いすに座ることが多くなるんですが、ストールの下には黒の舞台衣装を常に着ていて、何回もそこから不死鳥のように立って歌い出すんですよね。

 ああいうのを見ると、演出とかやりたかなったな…と。

 歌右衛門さんとか古い歌舞伎の人はよく「見物」って言ってたんですけど、ほんと、珍しいもんを見物させてもらった感じ。

 凄かった。

 にしても、『愛の讃歌』は別の方なんですが、『水に流して』は越路吹雪さんとやっていた岩谷時子さんの訳詞なんですね。

 宝塚的には、マレーヌ・ディートリッヒ役の彩輝なおさまも素晴らしかったです。宝塚ならではの華麗な男役が、男まさりのディートリッヒという役を得て輝いていました。

|

« 『日本精神史(上)』 | Main | ときわ食堂のカキフライ定食 »

「文化・芸術」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/63242370

Listed below are links to weblogs that reference 『ピアフ』:

« 『日本精神史(上)』 | Main | ときわ食堂のカキフライ定食 »