« 『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』 | Main | ブーレーズのハルサイ »

January 10, 2016

『立川談志 まくらコレクション 夜明けを待つべし』

Danshi_makura1

『立川談志 まくらコレクション 夜明けを待つべし』立川談志、和田尚久、竹書房

 まだ、談志師匠の本が出るというのは凄いと思います。これはまくら集。『談志が語った“ニッポンの業"』に続く2作目というのも素晴らしい。

「あなた、留守に鰻が来たわよ」
「天気予報が外れたろう」

「信号が赤だぞ」
「女房に言うなよ」

「七番、ショート、下手投げ」

「おまえのとこの縁の下で飼ってた、あの、キリンどうしたんだよ」
「うん、なんか徳利のセーター着るの嫌だって、家出しちゃってねえ」
「どこへいったんだ?」
「書き置きがねえんだよ。なんか、地下鉄の入り口を、くぐったとこまで、見た奴がいるんだけどね」

 などイリュージョン時代のまくらが読めるのは貴重。

 落語に対するこだわりを語るところで《それはね、映画一本とってもね、ワイルダーだって、このワイルダーじゃなきゃだめだと。ルビッチだって、これでなきゃだめだと。ミッチェル・ライゼンはこれだぜと》とミッチェル・ライゼン(Mitchell Leisen)監督が出てきたのには驚きました。

 どなたか覚えています?『遥かなる我が子』(To Each His Own)とか。日本生まれで今年100歳になるオリヴィア・デ・ハヴィランド(風共のメラニー役)がアカデミー賞を獲ったこの作品を監督したのがライゼン。

 ご存じでしょうが、妹もまた日本生まれのジョーン・フォンテイン(『レベッカ』とか)で、彼女はヒッチコック監督作品で唯一、アカデミー主演女優賞を獲った『断崖』がよかった。まあ、アカデミー賞なんてヤボなものはどうでもいいんですが、談志師匠は本当に映画が好きだったんだな、と。

 イリュージョン系でない話しでは、こんなのがよかった。

職業安定所へ男が来て、
「あのー、私、子供が十四人いるんですけどねえ」
「他に出来る仕事は?」

 志ん朝が死んだ直後に《あれ以上、良くなんないよ。文楽師匠や小さん師匠と同じような芸で、ただ威勢がいいってだけの芸だからねえ。「あれ以上よくなんないよ」って言った》と下げておいて、最後には《もし、金を払って落語を聴くとしたら、志ん朝しかいねえな》と付け加えるんですが。

 この後、前に出た『立川談志 まくらコレクション 談志が語った“ニッポンの業"』も読んでいます。

|

« 『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』 | Main | ブーレーズのハルサイ »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/63042522

Listed below are links to weblogs that reference 『立川談志 まくらコレクション 夜明けを待つべし』:

« 『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』 | Main | ブーレーズのハルサイ »