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September 25, 2015

『歌舞伎の愉しみ』

Kabuki_mitsugoro

『歌舞伎の愉しみ』板東三津五郎、長谷部浩、岩波現代文庫

 『踊りの愉しみ』が良かったので『歌舞伎の愉しみ』も読むことに。歌舞伎の芝居だけでなく、歌舞伎舞踊にも頁を割いていて、さすがに踊りの家元。

 でも「第1章 世話物は、21世紀に生き残れるか」は疑問。ぼくはむしろ、時代物、荒物こそ生き残れるのかと思うから。

 勘三郎から観てくれてと言われた『魚屋宗五郎』を談志がつまらないと言ったのは有名な話ですが、髪結新三、め組の喧嘩なんかは十分、筋としても面白いし、落語から取った文七元結や芝浜なんかは、いまでも噺家が客を泣かせているんだから問題はないと思う。世話物は江戸の風を感じさせる脇役が大事だというけど、それも育てるしかないんじゃないかな、と。実際、落語家はやっているわけですし。

 ぼくも談志師匠と同じで『魚屋宗五郎』はまったく面白くないけど、宗五郎がヤケ酒を飲んでいく過程で箏曲の「西行桜」を長唄に直した「西行桜合方」に合わせて酔いが深まっていくというあたりにはハッとしました。新薄雪物語と同様、よほどでない限り見物はしないと思いますが、もし観ることがあったらそこだけは注意してみようと思いました。

 歌舞伎について《何でもやるけど、歌舞伎の品格だけは守るっていう以外に、当てはまる定義がないとぼくは思っています》(p.35)というのはなるほどな、と。

 これは宝塚にも当てはまるかもしれないと思いました。能楽や文楽と違って客商売の商業演劇だから、興行が成り立つように何でもしなければならないが、品格だけはキチンと守る、みたいな。

 同じように宝塚と似ているあたりを感じたのは「お狂言師」のあたり。

 江戸時代、普段は芝居を観にいけない大名家、大奥の方々に「いま、歌舞伎では、こういう演目をやっていますよ」と見せる女性の芸人「お狂言師」がいて、宝塚と同様、女性ばかりで歌舞伎の演目を見せていたそうです。もちろん女性が立役を演じていたそうで、助六も女性が演じていた、と。

 女性ばかりの助六とか観てみたい。つか、さすが初婚が宝塚の寿ひずるさまという三津五郎と思ってしまいました。(p.38-)

 驚いたのは《日本舞踊の場合は、まったく同じ技量であれば、手足の短人のほうが、絶対巧く見えるものです》(p.66)っていうあたり。マジか…みたいな。

 ちょっと宝塚に引きつけすぎて語りますが、宝塚の日本ものの踊りで「袖が落ちている」とかダメ出しするのはよくないのかな…手足が長いから、袖さばきとか大変なのかも。

 歌舞伎の常識で言えば、田舎侍は、廓のような粋を競う場では、侮蔑の対象になるが、仮名手本忠臣蔵があまりにもヒットしたために、赤穂浪士だけは馬鹿にしないようにしたが、鶴屋南北だけは、不破数右衛門を芸者に入れ上げ、無差別殺人を行った罪人に仕立てた(p.147)というあたりもうなりました。

 歌舞伎は今のマンネリを打破するためにも、もっと南北をとりあげたらいいと思います。

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