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July 10, 2015

『「孤独」が人を育てる 小池一夫 名言集』

Koike_kodoku

『「孤独」が人を育てる 小池一夫 名言集』小池一夫、講談社+α新書

 小池一夫さんが毎日Twitterでつぶやく言葉に魅せられているんですが、そうしたものを集めて、さらに書き加えた本。『人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方』も感心したんですが、これも読んでみました。

 タイトルの『「孤独」が人を育てる』というのは、自己承認を不特定多数に求め、ネット上で群れることを目的としたTwitterには相応しくないかもしれませんが、毎回、書かれているのは、「ふりをしない」「仲間がいることと、群れることは違う」「嫌いな人の足を引っ張りはじめたら、人間が腐ってきたということ」など、突き放したようなつぶやきばかり。

 思い出したのは吉本隆明さんの『ひきこもれ ひとりの時間をもつということ』。

 吉本さんは《一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。『分断されない、ひとまとまりの時間』をもつことが必要なのだとぼくは思います。一人でこもって過ごす時間こそが『価値』を生むからです」「『孤独』ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。その上で、どこまで風通しよく生きていけるか》と書いていて、実際、娘さん二人に対しても、女の子には家の手伝いをさせやすいから、なるべく「分断されない、ひとまとまりの時間」を与えるようにしたそうです。

 そうしないと《世の中の職業の大部分は、一度はひきこもって技術や知識を身につけないと一人前になれない》から。

 自分で世の中を渡っていくためには、そうしたスキルをひとりで身につけなければならないというのは、実感として凄く分かります。そうやって自分を確立して、いったん確立してしまった自分はたやすく変えられないから、せめて自分だけでも自分を好きになってやること。これなんじゃないですかね。

  結局《自分の評価は自分でする。人の評価に頼るから、人に嫌われるのが怖くなるのだ》ということなんだと思います。

 《私は「他人に優しく、自分にはもっと優しく」がモットーだ》という言葉や《「自分を蔑まない」この一点で、人生の質が変わる。自分が自分であることを恥じるな。100パーセント恥じるな。1ミリも恥じるな》というあたりも好き。

 《人の悪口をネットに書いて暇潰ししている。その暇潰しは、自分潰しだよ》というのも。

 小池先生はヘーゲルが好きで《教養のない人は小理屈をこね、あらさがしをして得意がる。あらを見つけるのはたやすいが、よい点とその内的必然性を知るのはむずかしいからである》という言葉を引用しています。『法哲学講義』でもヘーゲルは「批判することは、積極的な価値を認めるより、はるかにたやすい」と書いていますが、難癖を付ける前に、孤独に自分と向き合え、ということなんだと思います。

 《表現者として一番恐ろしいには、自分の表現を好きでいてくれる人の事よりも、自分の事が嫌いな人間の存在を、終始考えてしまう癖が付く事である》というのは、プロアマ問わず、モノを書く全ての人に伝えたい言葉。毒にも薬にもならないことを言って、人に難癖を付けるなんていうことは子どもだってできるんですから。
 あと、最近は「ゆとり」を尊重するみたいなことが褒められるようですが、《今日できる事はノッてる今日のうちに済ませることが、時間に追われない日常を送る秘訣だ》なんていのも共感できる。

 《人が何をしたかを忘れてはいけない。しかし、許す。そして、ようやく自分が一歩進める》といのもわかるなぁ。

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