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May 16, 2015

吉田玉男襲名披露の『桂川連理柵』

Yukihime

 吉田玉男襲名披露公演と銘打った5月の文楽公演を見物してきました。

 口上のある昼の部はチケットを押さえることが出来なかったので夜の部へ。

 演目は時代物の義太夫狂言で、戦国時代の動乱に取材した作品『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』と、菅専助の『桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)』。

 雪姫は、歌舞伎の女方の大役とされる「三姫」のひとつ。ぼくの永遠のディーバである歌右衛門さんも雪姫で六代目を襲名しました。歌舞伎では雪姫が裸足にさせられ後ろ手に縛られたまま桜の木にくくりつけられ大きく身を反らせる刹那的なエロティシズムが見所とされますが、正直、それほど印象には残りません。

 後半、此下東吉(このした・とうきち、木下藤吉郎)が桜の木をよじ登って金閣寺の上に幽閉されている将軍の母である慶寿院を助け出す時、大道具全体を上下させることで場面転換が行なわれる大セリが見所なんですが、「ああ、これがオリジナルなのか」という感じ。

 でも、『桂川連理柵』は良かった。十四の娘が幼い頃から好きだった四十過ぎの隣の帯屋の旦那とふとしたことから枕を交わし、やがて腹帯を締めるようになり、帯屋の旦那も二進も三進もいかなくなって心中するというのが大まかな流れ。

 作者は菅専助。

 今月の歌舞伎座では同じ菅専助作の『摂州合邦辻』をやっているし、ほぼ二百五十年を経て、東京の国立劇場と歌舞伎座でふたつの代表作が演じられ、なお客を魅了しているというのはシェークスピア並み。

 菅専助のヒロインは合邦辻では義理の息子を愛するあまり毒を飲ませてめくらにし、桂川では旅先で隣の旦那の布団に潜り込んで子を宿して心中に持ち込み、伊達娘では恋人に逢うために放火するという、とんでもないキャラクターばかり。つか、これぐらいのキャラクター設定しないとインパクトないかもw現代にも通じるヒロイン像の造けいでは、オフィリアが修道女になるかどうかで悩むシェークスピアなんて遥かに及ばないですよ。

 こうなったら八百屋お七の『伊達娘恋緋鹿子』も改めて文楽でも見たい。

 えー、ちなみに新玉男は色っぽい長右衛門を好演、同期の勘十郎のお半、和生の健気なお絹とのコンビがよかったです。

 語りでは嶋大夫が素晴らしかった。

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