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May 08, 2015

今年の團菊祭は菊之助祭!

Dangikusao_201505

 大好きな『摂州合邦辻』を菊之助で見るのは二回目。

 最初は2010年の日生劇場でやった通し狂言

 今回は通常営業の合邦庵室の場だけなので、玉手御前の花道の出の大切さが浮かび上がります。

 ていいますか、歌舞伎は「出」で勝負が決まっちゃいますよね。そこで小屋の空気を変えられるか。

 菊之助は変えていたと思います。

 庵室の門口に立つ姿、そして「かかさん」と訴える声。これで義理の息子に恋した玉手の存在を語ります。指先までも演技をしている。

 しかし、いかに義理とはいえ息子に恋する若い後妻なんていうテーマをよく江戸時代の浄瑠璃作者は考えましたよね。

 ぼくは全ての演目の中で摂州合邦辻が一番好きかも。玉手が本当に息子俊徳丸に恋していたというのは、最期の生き血が三々九度代わりだったと見立てればわかるな、と気付きました。元は文楽だけど、これは歌舞伎だからここまで凄い作品になったと思う。

 これは、前にもチラッと書いたことですが、花道から出る玉手御前は、歌右衛門の型では、黒の着付けの片袖をちぎって被り、顔を隠す風情。しかも、引きちぎった二枚重ねの下は燃えるような赤というんですから、歌右衛門はヤバイこと考えて役をつくりますよね。暗い情念を衣装で表しているんですから。

 違うのはかぶり方。歌右衛門さんや梅幸、藤十郎はおこそ頭巾のようにすっぽり包みにして、忍者や隠密のようにあごまで隠すように片袖を被っていたんですけど、菊之助さんはふわりと被っています。首筋の美しさに自信を持っているんでしょう。

 日生劇場ではちょっと不満でしたが、裏地の赤が首の両側から見えるようにするという工夫なんだろうな、と思い、いまではこっちの方がいいかも。

 夜の部を見物する時に玉手の舞台写真を買おうと思ったのですが、歌舞伎座って中日すぎないとってないことに気付いたのはすぐに夜の部を見物しにいった時。松竹が映画部門では東宝、舞台部門では宝塚に全く太刀打ち出来ないのは、こうした出来ることをしないやる気のなさだわな…。宝塚とか、どんどん増やしていくのに。まあ人間国宝狙いの爺さん俳優がのさばっているから舞台写真なんて売れないんだろけどw

 それにしても菊之助は夜の部も出ずっぱり。慶安太平記は松平伊豆介で決まるだけだったけど、見物していた白人系の外人も気が狂ったように拍手していたぐらい。カッコ良さは万国共通で分かるのかも。め組の喧嘩でも発端となる島崎楼での台詞回し惚れ惚れしました。

 にしても、海老蔵のドーラン。ひとりだけヌメっと光っている。どんなもの使っているんだろ…と思ったら「ダイヤモンド入りのを上から塗っている」とかいう凄い話しを聞いて、話し半分にしても凄いな、と思いましたw

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