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February 11, 2015

『民主党を見つめ直す 元官房長官・藤村修回想録』

Democrat

『民主党を見つめ直す 元官房長官・藤村修回想録』藤村修(著), 竹中治堅 (編集)、毎日新聞社

 野田内閣の官房長官だった藤村修さんのオーラル・ヒストリー『民主党を見つめ直す』をチラ読みしたら止まらないので、こっちを読むことに。

 野田内閣は民主党保守派の内閣であり、実は菅内閣の政策も日米関係重視、TPP交渉への参加を目指して、社会保障と税の一体改革を追求して消費増税に言及するなど自民党政権の延長線上にあって、野田政権もそれを踏襲したもの、という見取り図を得られたのがありがたかった。

 野田首相、藤村官房長官とも新進党出身の保守政治家で、国会議員としてはいきなり細川政権の与党としてスタートするとともに一度、小沢一郎さんと激しく対立したという経験を持っています。こうした経緯を踏まえれば、野田政権の歩みというのは、よく理解できたかな、と。

 鳩山政権は内閣一元化で党内意見を集約せず、駄々っ子みたいな議員が、強い拒否権を持つ委員会に配属されたので、国会運営がまったく空回りした、と。菅内閣はそれを反省して政策調査会を復活させた、と。でも、政策調査会長が内閣の中にいたために多忙すぎて機能しなかった、というあたりも。

 以下、ランダムに。

 野田内閣ではじめた「各府省連絡会議」は次官が出席し、かつ夜の懇談の場を設けたら「こうしてよその次官と酒を飲んである程度腹を割って話すなんてなかったです」という感想が聞かれるほど、役所の独立性は高く、カンパニーみたいだった、と。確かに局長クラスでも何カ月先まで予定が埋まっているので、内閣人事局みたいなのを作って情報を共有して一元管理した方がいいというのはわかるな、と(p.82)。

 小沢側近だった黄川田徹が、野田政権末期に副大臣辞任を小沢から求められた時「仮説住宅に線香をあげに行くか」と問い、小沢が応じたので、これが最後と辞任に付き合ったというのはなんとも迫力のある話しだな、と(p.137)。

 《議論されて集約されてきたことについて『じゃあ、これとこれ』と最後に決める人だっとのでは。打ち出しをどうするか。常に選挙が頭にあり、それに対してどう有利に打ち出せるかというところを判断する人です。ずっとそうなのではないですか》というのはなるほどの小沢評(p.220)。

 新進党を小沢さんが解党したのは、最後に党首選を争った鹿野道彦さんと票が近かっとのと、公明党が合流しなかったから。公明党は、自民党による創価学会の秋山の喚問に恐れをなし、与党路線をとった、としていますが、ならば、民主党政権の時に喚問やればよかったのに…。

 民主党が一度は政権を取れたのは、小泉さんが社会保障費が国と地方合わせて年間1兆6000~7000億円も自然増する危機を感じて毎年2200億円ずつ削っていった反動があったからなんですが(p.36)、06年の小沢代表時代の政権政策の基本方針は今こそ必要だと感じますよ。

 高校無償化、子ども手当、消費税の全額年金財源化、年金一元化、戸別所得補償制度による格差是正。いい政策は自民党にも受け継がれているし、この程度の所得再分配は絶対に必要だったし、その流れを作ったな、と(p.280-)。

 それまでの民主党は自由主義的な規制緩和を言ってきて、改革を自民党と競うみたいな感じだったんですが、セーフティネットのことを言い出したのはここらあたりからだったな、と。

 自民党は政権維持でまとまっているけど、民主党は《何で集まったのかというと「政権交代」の一言です》(p.309)。細川連立政権も政権交代して選挙制度改革したら方向性を失ったけど、民主党も政権取って児童手当(子ども手当て)と高校無料化やったら迷走しましたね。

 つまりは、自民党の政策が行き詰まりを見せた時に、古い体質の議員を選挙で落として、とりあえず新しい方向に舵を向けるというのが細川連立政権と民主党政権の意義だったのかな、と。

 藤村さんの言葉で印象的なのは《内閣の権力の中枢にして、権力のすごみというものを体験しました。考えたことが、理不尽でなく筋が通っていれば実現できます。自分が発想し、発言し、周りにきちんと理解されれば現実のものになります。一代議士ではそうはいきません。それも、小さい案件だと本当に直ちに実現します》というあたり(p.320)。

 だから逆に政権与党から離党するのが本当にもったいない、一年生から教育しなければいけない、と語っていたけど、確かに意見が通らないとスネる駄々っ子みたいなガキを政治家にしちゃダメだよな…(p.312)。

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