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October 17, 2014

『PUCK(パック)』

Puck_green

 シェイクスピアの「真夏の夜の夢」を脚色したといますか、劇中、もっとも印象的な妖精「PUCK」を主人公に、部隊を1960年代か70年代のイギリスに置き換えて小池修一郎先生得意の潤色をほどこしたミュージカルが『PUCK(パック)』。

 シェークスピアの原作もギリシャ、ローマの神話や古典から取られていて、お馴染みの男女の取り違え、魔法による変身などが物語の核になっています。

 たわいのない話しではありますが、そうした物語の原型みたいな話しの流れの中で、イギリスの階級制、貴族の没落、金融資本の台頭、環境保護の問題などが不思議としっくりと組み合わされ、宝塚的少女を最もピュアな形で体現したような女性主人公のハーミアの夢がかなうという筋立ては、キチンと幸せな気分にさせてもらえます。宝塚は主演が魅力的に描かれていれて、最後がハッピーエンドなら、幸せな気分が帰ることができます。

 トップの龍真咲(まさお)のパック七変化では、屋敷で働くグリーンのドアボーイみたいな制服姿が意外に似合っていて好きです。

 にしても、改めて凄いなと思ったのが、舞台を埋める人の多さ。そして、皆なが衣装を着て小芝居をそこかしこで仕込みながらも、トップの演技を目立たせている努力。感覚で言うと、トップがバーンと台詞を言って決まると、それのリアクションをナイスタイミングで返すみたいなことをずっと続けている感じ。

 台詞を言える子といいますか役名がついているのは今回、41名。ついていないのが43名。出演者の半分以上が台詞も役名もないし、ライトも当てられない端っこに立っていたり、顔をずっと客席とは反対方向に向かせながらも頑張って盛り上げているから、熱気が伝わってくるんだな、と改めて思いました。

 インタビュー番組なんかで、初めてスポットライトを当ててもらった時、台詞をもらえた時、少人数口で踊れた時なんかには本当に嬉しかったと言うのを聞いていましたが、そこまでは本当に長い道のりなんだな、と。同時に、同期生でいい役がついた人なんかには、ものすごく悔しい思いをするというのも見聞きしますが、さもありなん、と。

 ワーキングクラスヒーローのロックスターになるボビー役は、22年前の公演では、研6の天海祐希さんが演じていましたから、今回、研7で抜擢された珠城りょうさんは大きな期待とともに舞台に立っているハズで、だから新人公演でもあえて主演を張らなかったんでしょうか(まあ、キャラクターがタイプではないということもあるんでしょうけれど…)。

 貴族の御曹司ライオネルを演じる凪七瑠海が子供の頃のバイオリニイストになる夢をあきらめ、次には指揮者の道を目指すもそれも諦めて、高校の教師になるあたりを描く流れは、ちょっとジーンとしました。

 ショー『CRYSTAL TAKARAZUKA-イメージの結晶-』は、いきなり舞台降りから始まって、2階席にも年次の若い生徒さんたちが踊りにくるというあたりから盛り上げていこう、という趣向でしたが、ちょっと中だるみもあったな、みたいな。最後は決まってお手振りでお別れというのではなく、踊りながら幕が下がるんですが、もうちょっと最後の踊りをみていたかった。

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