『戦後左翼たちの誕生と衰亡』
『戦後左翼たちの誕生と衰亡 10人からの聞き取り』川上 徹、同時代社
知り合いに勧められて読んで見た本。
なんで元日共の人が新左翼のことを書くんだ…と思ったんですけど、宮崎学さんあたりがJR総連と進めようとしていた海軍反省会にならった「左翼反省会」の流れなんですかね…。途中で著者の総連へのシンパシーも語られていたし、同じ元日共出身の樋口篤三氏がそうしたことを進めていた、みたいなことを書いている割には、聞き取りに元革マルという人は入っていないし、動機も含めてよくわからない感じをを受けました。
ということで、この本は団塊の世代に生まれた元左翼青年たちのその後について、ブント(赤軍派)、社青同解放派、協会派、フロント、第四インター、中核派、日本共産党に所属していた人たちに振り返ってもらった聞き語りとなっています。とはいっても、なんていいますか人数的には構造改革派路線の人たちが中心。元日共の人が聞いているから、そのぐらいのぬるさが適温なのかな…。
印象に残ったのは内ゲバがエスカレートしていった原因について「権力〈警察〉を認めないわけだから、抑止の力は〈当価報復〉という当事者の力ということにならざるをえない」というあたり(p.82)。まあ、なるほどな、と思うと同時にヘーゲルの重視した現実を軽視して、千年王国を夢見たマルクスがいけないのかもしれないとかも考えてしまいました…。
《神話とは、人々の期待が裏切られたとき、想像と実体がかけ離れていることが人々に知られてしまった時、崩れ消えるものである。私の左翼体験はその全過程を目撃したことであった。それにしても歴史は三段跳びのように消えていく》というのが一時はあったという「左翼幻想」の行く末なんですかね(p.158)。
しかし、貧乏が左翼的運動に導いたという体験を今さらいくら語られても、それは戦前の皇道派青年将校の体験談が今となってはあまり意味を持たないのと同じかな。いくら、それが真摯なものであっても。
それと同時に、まあ、このぐらいの歳になると人間は自分のつくった物語を生きていくしかないんだろうな、と…インタビュアーを含めて感じました。
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