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August 20, 2014

『現代美術コレクションの楽しみ』

Moder_art_collection

『現代美術コレクションの楽しみ 商社マン・コレクターからのニューヨーク便り』笹沼俊樹、三元社

 ちょっとNYで画廊巡りでも行くかな、と思っているので、参考として…。

 副題にもあるように著者は商社マンの現代美術コレクター。駐在していたニューヨークでの画廊巡り、「一見さんには売りまへん」という京都人もビックリするような実際に購入できるまでの長い道のりなどが参考になります。

 にしても、伝説の画商ピエール・マティスとの駆け引きはすごい。なにせ、ギャラリーに通い始めて、実際に価格を教えてもらうまで7~8年かかっているんですから。

 それまでは画廊にかかっている画の値段を聞いても「予約済みです」「非常にお高いですよ」「販売済みの絵の価格はお教えできません」とけんもほろろに断られていたという…なんという京都っぽさ。

 ちなみに、このピエール・マティスはアンリ・マティスの二番目の息子。さすがに目が高いというか。著者は最終的には買えたんですが、とにかく売りたくないという人だったみたいです。

 また、ポーラ・クーパー画廊の画商の《「一人のコレクターに、一人の作家の作品をたくさん売ることはしないのよ」。将来、その人が手放す事態も考え、値崩れの原因をつくらないようにするためだ》というのも、なるほどな、と(p.118)。

 また、気に入った画家に「赤を入れて、人が跳躍するイメージで、サイズは40*30インチぐらいで」と指定したコミッション・ワークで注文することも可能なのか、というのも知りました(p.113)。ジョエル・シャピロに実際、制作してもらったんだからたいしたもん。また、立体の作品などは補修やリペイントしてくれるというのも始めて知りました。
 
 主に著者がターゲットにしていたのはデュビュッフェですが、アルフォルメルそのもののような作家なので、人物が描きこまれているポートレートっぽいものだと、市場価格が高くなるというのは面白かったな、と。

 美術の価値そのものよりも、こうした要素で売れていくのか、みたいな。価値という点では、リーマン・ブラザーズのリチャード・ファルドCEOが倒産寸前に売りに出した玄人はだしのコレクションの件も面白かった(p.40-)。なにしろ、アーシル・ゴーキーが4点、ウィレム・デ・クーニングが3点、バーネット・ニューマン5点、アグネス・マーティン4点という具合。

Kooning_woman3

 どんな世界かといいますと、例えば、このクーニングの絵は約140億円(1億3750万ドル)で取引されています。購入したのはヘッジファンドのオーナーです。Willem de Kooning "Woman III"

 リチャード・ファルドのコレクションをみてもニューマンとマーティンは似たようなところあるかな、という感じはしますが(つか、好きですw)、ゴーキーとクーニングとはまるっきり肌合いが違う。自己資産保持のため、アート・コンサルタントに選ばせたのではないか、という見立てにも納得。

 この人たちの中ではアグネス・マーティンが好きですが、作品点数が少なく、需要は高いので、すでに贋作が出回っているとのこと。

Agnes_martin

 すごい世界だな、と。

 現代美術は、まあ、分かってないのかもしれませんが、見物するのは好きで、特に現代美術は、作者の孤独に共感できるかだわなと思っています。

 NYでは、どうせ売ってくれないと思うので、オリジナルポスターでも買いますか…。

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