オルセー美術館展
新国立美術館でオルセー美術館展を見物してきました。
マネ『笛を吹く少年』、ミレー『晩鐘』、モネ『草上の昼食』と3枚も目玉が揃っていたので、混雑を予想していましたが、お盆期間中を狙ったので、人も少なく、ゆっくり廻れたのがよかったです。まあ、ぼくもフランスいったら必ずオルセーは1日かけて廻ることにしていますが、印象派、好きですよね日本人はw
『ニューヨーク美術案内』千住博、野地秩嘉 (著)、光文社新書を読んで「必ず絵は50cmの近さに寄って見ること。それが画家が腕を伸ばして描いている距離だから、画家と同じ視線で見える」ということを教えてもらったので、さっそく『笛を吹く少年』で実践。
絵画集や、実物でも遠くから見ていたら分からない、少年の黒い服が実に細かく立体的に描かれていて「なるほど」と思いました。
荒いタッチのところ、サッと流しているところ、細かく描き込んでいるところなどもよくわかり、「ここを見せたい」という画家たちの意志や息づかいが聞こえてくるような感じがしますね、50cm鑑賞法は!
絵を見るのは好きですが「誰が好きなの?」と聞かれたら、小さい声で「シスレー」と答えることにしています。
無難な風景画の印象派という感じのシスレーですが、空の「まさにこれが空色だよ」という感じと、空を大きくとった安定した構図にホッとさせられます。
いつも一枚だけポストカードを買って帰るのですが、今回はシスレーの『洪水の中の小舟、ポール=マルリー』にしました。
他で印象に残ったのは…。
歴史教科書でよく見るメッソニエ「フランス遠征1814年」は初見。隣で馬に乗っているのは、たぶんジョアシャン・ミュラだと思うのですが、そんなに大きな絵じゃないのに、それが分かるぐらい描きこんでいるとは思わなかったです。
あとはアンリ・ファンタン=ラトゥールの『テーブルの片隅』に描かれているランボーは美少年だわな、とか、マネが死の2年前、梅毒によって左足が壊疽しかけている激痛に耐えながら描いた『ロシュフォールの逃亡』は、そうした激痛からの逃れたいという気分があったのかな、とか思いつつ会場を後にしました。
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