『眠らない男・ナポレオン』
宝塚が100周年に当たって、通常の作品の倍の制作費をかけたといわれる1本立てミユージカル『眠らない男・ナポレオン』を見てきました。
もちろん全席完売。なんとかチケットを手に入れて見ることができ、本当によかったな、と。
今回はお得意の衣装だけでなく、普段は「書き割り」的な背景が多い宝塚の舞台にしてはセットが豪華で、 全曲オリジナルで『ロミオとジュリエット』のジェラール・プレスギュルヴィックに作曲を依頼するなど、破格の内容。
士官学校での雪合戦のエピソードから皇帝退位までを、ハプスブルグ家出身のマリア・ルイーザとの間に生まれたナポレオン2世と後にナポレオンを裏切るマルモンを進行役にして描いていきます。
もちろん宝塚なのでジョセフィーヌとの恋愛を中心軸に据えながら。
スピーディーな場面転換が続き、ナポレオンの生涯を知らないと混乱するかもしれませんが、彼の生涯そのものが大逆転の連続なので「しかし」「しかし」の連続となるのはやむを得ないかもしれません。
教皇ピウス7世が招かれた戴冠式の場面の再現も見事。
6m21cm×9m79cmとルーブルでも最大級のダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』を見た時を思い出し、圧倒されました。
ただ、残念なのはピウス7世が引き連れる従者の振り香炉。
本物の乳香がを炊いて、その香りが客席にも漂うにようにしてもらえれば、視覚・聴覚だけでなく嗅覚でも楽しめたのに…。
今日の日経でも「宝塚100周年」が特集されていましたが、星組トップスター柚希礼音(ゆずき・れおん)が素晴らしかった。
《宝塚歌劇はこれまで海外の人気ミュージカルの潤色を得意としてきたが、今後は海外の団体に上演されるオリジナル作品の制作を目指すという。今作はその第一歩として位置付けられる》そうで、これからが楽しみです。
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