雪組公演『Shall we ダンス?』
東京の宝塚劇場で『Shall We ダンス?』を見物してきました。
小学生の頃、親戚の小母さんに、上月晃さんの引退興行に付き合わされて以来ですから、もう数えるのもやんなっちゃいますが、自腹を切っての観劇は今回が初めて。石川県の商工会議所経由で切符を取ったらしく、途中、まだ角界に入りたてだった七尾市出身の輪島がステージ(確か当時は新宿コマ劇場)に上がるなどの演出を覚えています。
ということですが、よかったなぁ。なんか緊張感のなくなってきている最近の歌舞伎より、舞台に上がっている一人ひとりに一途さを感じます(11月の忠臣蔵なんて「見物は高いカネを払っていることを役者は分かっているのかね」と思いましたもの)。
『Shall we ダンス?』はもちろん映画も観ましたが、宝塚の舞台の方が、よりメッセージがクリアーに伝わってきました。それは、自分から閉ざしている心の扉を開けることが大切、ということかな。どうせ、出来っこないと諦めずに、少し勇気を持って扉を開ければ、そこには新しい世界と出会いがある、みたいな。しかも、誰も傷つけることなく。
ということですが、直接のキッカケは雪組トップスターになったばかりの壮一帆さんを宝塚100周年関連のテレビ番組で見たから。ヅカヲタは布教に熱心な方が多く「壮一帆さんの舞台を見にいくかな…」とつぶやいたとたん、ニューオータニで開かれた「お茶会」への出席手配なんかもしていただいたり、ありがたい限りです。こんなのも少しは心の扉を開けたことになるんでしょうかw
東京宝塚劇場、女性客が多いということでモギリに比較的いい男を配置しているのはさすがだと思いました。また、通りに面している売店から劇場に入れるところの関門には愛想のないでかいガタイの大きいのを配しているのも、さすがだな、とw
席は一階の前から五列目、通路から三番目のSS。もちろん売切れだったので、苦労しました。
2回目の公演は2階の前から4列目の真ん中あたり。
オーケストラピットが見下ろせて、舞台全体が120度ぐらいの角度で見渡すことができる席でした。
18時30分開演。なんでも歌舞伎さ比べるのはいけないけど、歌舞伎の夜の部が16時30分から始まるのは、おかしいと思うんですよね。その点、ちゃんとオフィス帰りにも見られる時間帯にやってくれて嬉しいな、と。
映画では竹中直人が熱演した役を移したドニー役の夢乃聖夏(ゆめの・せいか)さんが素晴らしかった。2回目の時はたまたま竹中直人さんも劇場に来ていて、それをつぶやいたらヅカファンから「ともみん(夢乃聖夏)緊張したでしょうねww」とリプライが返ってきたのですが、前回よりもクネクネと奔放に演じていたのはさすが。
男役2番手の早霧(さぎり)せいなさんが映画では草刈民代が演じたダンス教室の先生として初の女性役を演じたということで、レヴューでも男役トップの壮一帆(そう・かずほ)がグランエトワールのドレス姿を披露したんですかね。
初観劇では近距離から御御足を拝ませていただいたのですが、お茶会で「20kgもあって重いのよ。銀橋の電飾のコードでドレスのひらひらをを引きちぎらないように歩くのは大変」と語っていた苦労はわかりませんでした。2回目に上から見ると、うまく微妙に体重移動しながら銀橋に渡り、足元をキレイに見せつつ歩く姿に感動しました。ゴールドの生地をシャーリングさせている効果も上から堪能。
劇中でもレヴューでも、舞台にあれだけの女性が集まって、あのレベルで群舞できるというのは、宝塚ならではなんでしょうね。
しかし、上からみると銀橋と大階段の細さがわかって、あの上で、まるで平均台のように踊るのは、ものすごい鍛錬なんだろうな、と思いました。
ちなみに写真はレヴューが始まる前の舞台の様子です。
1年に1回、何か新しいことを始めるようにしているのですが、今年は宝塚でしょうか。
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