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February 05, 2014

『本質を見抜く力 環境・食料・エネルギー』

Honshitsu

『本質を見抜く力 環境・食料・エネルギー』竹村公太郎、PHP新書

 ザ建設官僚といった感のある元国交省河川局長の竹村公太郎さんの御著書は『日本史の謎は「地形」で解ける』が面白かったので、栄光学園の先輩という養老孟司さんとの対談も読んでみました。というか、ずっと前に読んでいたのですが、感想を書いていなかったので、改めて書いてみます。

 いま、国交省はコンパクトシティという概念で地方都市を再編しようとしています。これは、多くの過疎の村に送電したり上下水道を引いたりすることは基本的に大きなロスを生むことだから、公共施設を含めて、なるべくコンパクトに住んでもらおうという趣旨だと思います。この本では、特にアメリカでの送電ロスがクローズアップされています。しかし、アメリカでは減価償却済みの古い火力発電所は動かした分だけ儲かる、ということで、なかなか送電ロスを抜本的に改めようという機運が盛り上がらず、二重のロスを生んでいます。Googleのスーマトグリッドなども、根はこうした非効率が問題で、中国なんかもそうなんでしょうね。

 「京都議定書は詐欺にあったようなもの」という印象的な言葉もありますが、温暖化問題で日本がモーセになっても道徳的な圧力にはならないというか、いくら模範的な態度を見せても、それはアメリカと中国の国民の生活パターンを変えるまでにはいたらないのかもしれませんとお二人は嘆息をつきます。だからといってコントロールが効かないままだと、PM2.5のようにいつのまにか影響を受けないとも限りませんが…。

 日本人は細工をしないと『不細工』と言うし、詰め込まないと『つまらない』と言う。細工をして縮めることは日本人の美意識になってしまった、というあたりも本質を突いた言葉だな(p.101)。

 「以前は東京湾全体が定置網みたいなもので、自然に魚が入ってくる豊かな環境がありました」とも語っておられますが、テレビの「ダッシュ海岸」を見てもそう思います(p.146-)。

 戦後の民主主義の最大の問題は市民や作れなかったこと、アジアの社会では全部そう。違う意見の人を外してしまう(p.191)なんていう言葉も深く肯いてしまいます。

 自分の見ている世界がまったく違って見えたという経験がない人が、もう先行きがないと考えて自分をおいこむのが自殺であり、ある意味でものすごく傲慢な態度で、結局は自分のやり方だけが正しいと思っているというあたりも納得的(p.223-)。これはわかるな…ぼくは世界が崩壊したことが三回ぐらいありましたので…。

 あと、ぼくはなんとか基本法とかどうでもいいと思っていたんですけど、河川法の第一条に、河川法の目的として治水と利水に加えて環境の保全という文字が入って河川行政が変わったという竹村元河川局長の言葉を読んで、なるほどな、と考え直しました(p.225-)。

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