« 『聞書きブント一代 』 | Main | 『宝塚読本』中本千晶 »

February 21, 2014

『フットボールde国歌大合唱!』

Football_anthem

『フットボールde国歌大合唱!』いとう やまね、東邦出版

 翻訳本『トッティ王子のちょっぴしおバカな笑い話』、語学本『イタリア語でカルチョ情報をGetしよう!―攻略gazzetta』、家族の中のサッカー選手を描いた『プロフットボーラーの家族の肖像』など独自の視点からのサッカー本を次々に送り出している「いとうやまね」さんの近著は今年からつくられた「サッカー本大賞」の優秀賞を授賞しました。

 ワールドカップ観戦のお供として、試合開始前に歌われる各国国歌を紹介し、その国のかたちまでも描いてくれてます。

 最初のブラジル編から引き込まれます。

 旧宗主国のポルトガル王室は、ナポレオン率いるフランス軍に攻め込まれた際、なんと植民地だったブラジルに逃げて「連合国」にするという選択をします。ナポレオン失脚後、首尾良く王室は復活するのですが、国王は王子を統治者としてブラジルに残し、ふたたび植民地に格を落とします。

 こうした扱いに当然、不満は高まるのですが、なんと、このペドロ王子、ブラジル独立に賛成して皇帝に即位、しまいには自由主義の理想を掲げてポルトガルに帰ってリベラル派の内戦勝利に寄与して死去するという劇的な生涯を送ります。音楽にも造詣が深かったペドロ皇帝ですが、ブラジルが独立宣言をしたイピランガ川の岸辺を歌っているのがブラジルの国歌。《中南米全般に言えることだが、とにかく曲が長い》というコメントも「なるほど」とうなずけます。

 続いてはブラジルが独立の際に戦ったこともあるアルゼンチン。現ローマ教皇フランシスコはCAサン・ロレンツォのインチャ(サポーター)だということはサッカーファンにはよく知られていますが、降格圏内に陥りそうだった試合で10人になりながらも教皇の写真入りのユニで勝利したことから「代表ユニにも法王さまを付けたら、ワールドカップ優勝も夢じゃない」なんて話しが出ていることもコラムで紹介しています。

 さらにイタリア、ドイツと続くのですが、いろんな国で国歌はけっこう変わっているんですよね。国民国家は共同幻想に何か意味を与えようとして、国歌をつくるんだろうな…ということもよく分かる本です。

 歌詞にカタカナで読みを付けてくれているのも素晴らしい。

|

« 『聞書きブント一代 』 | Main | 『宝塚読本』中本千晶 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/59171655

Listed below are links to weblogs that reference 『フットボールde国歌大合唱!』:

« 『聞書きブント一代 』 | Main | 『宝塚読本』中本千晶 »