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December 31, 2013

2013年の一冊は『腎臓のはなし 130グラムの臓器の大きな役割』

Kanzo

 今年読んだ本は70冊と3ケタをかなり下回りました。仕事が忙しくなったのと、経済情報を取るのが忙しかったからもしれません。そして、インターネットの情報が移動中も読めることで読書の時間が削られていきました。情報のフロー化がより一層進んだ気がします。にしても、電子ブックというのはアタマに残りませんな…。

 それはさておき。

 今年得た最大の知見は松元崇内閣府事務次官(財務省出身)による、財政・金融政策からみた日本の近現代史のパースペクティブでした。明治時代は農業中心ということで富は地方にあったけど、それを税金として徴収して産業分野に集中投資することによって、日本の近代化を進めていったという見取り図は、考えてみれば当たり前かもしれませんが、その後、綱渡り状態の財政の中で中国とロシア相手の戦費を生み出さなければならず、日清戦争では勝って賠償金も得たが、より強大なロシアと戦わざるを得なくなり、そこでも講和に持ち込むことはできたものの、財政的には負け戦になった、というのはなるほどな、と。そこに関東大震災、昭和恐慌が続き、財政的には火の車状態になったんですが、それをなんとか持ちこたえさせようとした高橋是清を2.26事件の青年将校たちは諸悪の根源として暗殺してしまいます。しかし、地方の困窮は、初期の明治政府以来の政策であり、その改革に手をつけたものの、結局、放置したのは山縣有朋だった、という見立て。 『持たざる国への道 あの戦争と大日本帝国の破綻』『山縣有朋の挫折―誰がための地方自治改革』『恐慌に立ち向かった男 高橋是清』は日本語で議論しようという人なら、必読書だと思います。それぐらい強固で、広い議論の土台を提供してもらっていると思います。

 岩波から出されていた『橋本龍太郎外交回顧録』『日米同盟 漂流からの脱却』 『沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」』『外交証言録 日米安保・沖縄返還・天安門事件』 『外交証言録 湾岸戦争・普天間問題・イラク戦争』 というオーラルヒトリーによる日本の戦後外交史も集中して読んでみました。そして、それがほぼ日米外交史だということも俯瞰させてもらったな、と感じます。中島敏次郎氏の「対米自主というのはきつい言葉で言えばナンセンスだ」という言葉はクリアカットだなと思いますが、それを本質的に批判するためには、大きな深い議論が必要で、その端緒さえも今はない、と感じています。

 で、今年の一冊は『腎臓のはなし 130グラムの臓器の大きな役割』坂井建雄、中公新書とします。腎臓のフィルター機能は凄すぎる。老廃物はキッチリ流ししつつ、タンパク質などは絶対に排出させない。そして身体全体のホメオタシスを保っている。腎臓はすごく精巧な臓器だというので、いつか入門書を読みたいと思っていたのですが、やっとそんな本に出会えた感じがします。糸球体は非常に壊れやすく再生しないため、それをカバーするために、ものすごく優雅で柔軟な構造を持ってはいるんですが、いったん閾値を超えて壊れたら組織が再生されないために、加速度的に腎臓機能は失われるといいます。そういえば、腎臓病の人って急に悪くなっていく感じが…。ゴッドファーザーPart2でマイケルと敵対するロスが「普通に小便ができるようになれば100万ドルだって惜しくない」と病床で語っていたのが印象に残っています。そして腎臓が悪くなると循環器がすぐにダメになります。《他の臓器が年老いていくまで、腎臓が働いてくれればいいのである。腎臓の機能が五年長持ちしてくれれば、それだけ健康に過ごせる時間が増える》という言葉は拳々服膺しなければ…(p.198)。

『日本の立ち位置を考える』明石康編、岩波書店
 加藤陽子先生の講演、対談が抜群に面白かった。現在、アメリカは中国を第二次大戦前のナチスドイツのように見ている可能性がある、と。中国による海軍力を中心とした中国の軍拡を見過ごしたという反省にたって、アメリカは2020年までに艦艇の6割をアジア太平洋地域に集中させるとともに、160ヵ国が批准していた国連海洋法条約にも参加することを目指している、と。いまのところ、共和党の反対で条約を批准するところまでいってはいないと思いますが、こうした国際的な法の支配の力も借りて、中国が太平洋へと進出する際にも苦言を呈することができるようにする、というのが狙いだろう、と。心配なのはアメリカが日本と似ていること。真珠湾も愚かな攻撃だったが、イラク戦争なども不合理な決定だった、と。

『統合失調症の有為転変』中井久夫、みすず書房
 中井先生は引退なされてご婦人とともに有料老人ホームで暮らしているということで、この本は自身が精神医学と医療で何をやってきたのかということを解き明かしてくれているような本。それはコンラートなど統合失調症の発病の過程に精であった状況に、寛解過程という概念を新しく持ち込んだということなんでしょう。ヒポクラテスの伝統からして、経過観察が大切であり、さらにはウイルス研究者としてやってきた時に培われた実験精神を臨床に持ち込み、寛解過程をグラフなんかで「見える化」した、と。アメリカでロボトミーを大々的に取り入れたフリードマンは、消毒したアイスピックで患者の右の眼窩を突き刺して前頭葉を破壊していた、というのには驚きました(p.93)。また、暗殺されたケネディ兄弟には、家族の恥になるということで、ロボトミー手術を受けさせられた姉妹がいるというのにも衝撃を受けました。まあ、ノーベル医学賞をもらうほどでしたからねぇ…。最後に土居先生たちと精神分析について語る座談会が収められているんですが、フロイトはフォイエルバッハの『キリスト教の本質』に熱をあげていて、実は宗教ではない「魂の癒やしの学」をつくりたかったんじゃないか、というあたりはハッとしました(p.300)。

『「昭和」を送る』中井久夫、みすず書房
 天皇論の中で書かれている「日本の右翼は、南宋の勤王主義から始まる国粋主義という中国な特殊な時代の思想の継続。普通は孝を上に置くが中国は珍しく忠を上に置く。神州という言葉も南宋人が、失った北の領土を指した言葉」「水戸学は明が清朝に滅ぼされて日本に亡命した中国人によって作られた」「日露戦争の最悪の結果は、闘った相手のロシアの膨張主義が伝染ってしまったこと」「応仁の乱で日本の文化はいちど断絶させられているから、それ以前から続いているものには絶対の権威とみなす傾向がある」「日本人にとって天道は畜生道であり、絶対者ではなく、人道こそ重要」「日本には中国のような大家族がないから、一家心中が多い」「開戦にいたったのは、皆が他人をあてにするという甘えの堕落的形態を示し、それが裏切られたと逆恨みした」「昭和天皇の天衣無縫さは、精神の健康を守るためのものだった」「大正天皇が手ものとの品を片端から"つかわして"いたのは、できれば自分の地位をくれてやりたいから」「日本が援蒋ルートを問題にして深入りしていったのは、アメリカがベトナム戦争でホーチミンルートを探して泥沼にはまっていったのと同じ」などがいちいち面白い。膵臓は医学史上、最後に発見された臓器で、東洋医学では発見できず、膵の字は日本の蘭学者が作ったというのもなるほどな、と。

 今年、一番、本を読んでいること自体に没頭できたのは『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』春日太一、PHP新書かな。侍の歩き方が出来てないと半日も黒澤明にダメ出しくう、ある意味、贅沢な日々はもう映画界には期待できないんでしょうね。《とにかく役者は歩き方だ、とくに時代劇の歩き方はこういうもんだと徹底的にそこで意識しました》というんですが(p.62)。にしても、『影武者』のラストでは馬300頭をフラフラの状態にするため、北海道中の獣医100人が集められたけど、何頭も死んで、人も馬の下敷きになって何人も骨折して救急車10台っていうんですから…《あの一週間は今思い出しても身震いします》というのもわかります(p.222-)。五社英雄監督の『人斬り』なんて、三島由紀夫が死ぬ一年前に仲代さんと共演したんですが、他にも勝新、裕次郎などが共演していて、ある意味、すごいカルトムービー。撮影の合間に三島由紀夫と祇園で飲んでるとき、なんでそんなに肉体を鍛えているんだ、と訊いたら「俺は死ぬ時に切腹して死ぬんだ。その時にこの腹筋のところから脂身が出ると、俺の美学に反する」という答えが返ってきたそうです。
 
『さらばガラパゴス政治』野中尚人、日本経済新聞出版社
 著者の言いたいことは、劣った院である参議院がキャスティングボートを握っている環境を変えない限り、またぞろ大揺れがきて「自民党政権は長期化しない」という感じでしょうか。自民党が没落したのは、結局は二世、三世議員がのさばるような《固有のリスクが避けられない業界であるはずの政治が、特殊な安定性を持った結果、内部の運営メカニズムにも独特のパターンか形成されて》しまったからであり、派閥に代わる新しい人材育成のルールなどもつくられていない、と(p.186)。雑誌「選択」のインタビューでは《首相が年代わりだった六年間で日本が失ったものは大きすぎるとして》と語っていますが、本の中では《議院内閣制の先進国では、もう議会の解散をなくそうという方向で議論されている》と書いています。

『みんなの空想地図』今和泉隆行、白水社
 タモリ倶楽部で放送された『地図マニアの最終形 ひとり国土地理院大集合!』には心底驚かされて、まだBlu-rayのHDに保存してありますが、「そういえば都市計画はダ・ヴィンチが最もやりたかった事だ」と気づかせてもらいました。若い作者たちが皆、新興住宅地に住む郊外のサラリーマンの子どもで、乗り物好きというのにも時代を感じます。日本でもモータリゼーションが進んで、マイカーやバスでどこかに行くことで時間をうっちゃるという家族の姿というのが80年代以降は増えていったのかな、なんてことも考えさせられました。

『日本史の謎は地形で解ける』竹村公太郎、PHP文庫
 旧作をまとめて加筆訂正して文庫化した本ですが、国交省の元河川局長による地形をベースにした歴史の見直し提案。家康が移封された時の関東は利根川と荒川が暴れる湿地だった、というんですねが、家康は湿地だった関東平野を利根川の流れを銚子に誘導して、巨大な農地を造成することで、それまでの戦国ゼロサムゲームに決着を付けた、と。吉原を土手八丁の向こうにつくり、それによって日本堤を守るという幕府の知恵、そのオリジナルを提供した信玄の知恵には驚きました。

 『タックス・ヘイブン 逃げていく税金』志賀櫻、岩波新書
 今年は元官僚による啓蒙的な良書が多く出た年じゃないかと思います。この本の著者も元大蔵官僚。官僚は情報の宝庫ですし、中途半端な知識のノンフィクションライターによる突撃取材だけが売り物のような本とは比べものにならないほどの深さがあると思います。いまやタックス・ヘイブンの最大の問題は資金洗浄というよりも、富裕層の課税逃れなのかな、と。最初に示されるグラフは10年度における日本の申告納税者の所得税負担率ですが、1億円を越えると負担率が28.3%から下がりはじめ、100億円ではわずか13.5%に。これは租税回避によるもので、その核心がタックス・ヘイブンだ、というのですから驚きです。いささか冒険小説好きなところはご愛敬。

『カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地形篇』竹内正浩、中公新書
 江戸城のお堀はダムだったとか、徳川家康は万が一、江戸城に攻め上がられた場合に、将軍が甲府城に逃れられるように、甲州街道を尾根伝いにつくり、高低差で敵を撃退できるようにつくったというあたりには、さすが、と思いました(p.41)。幕末に近藤勇は甲府城を押さえるために甲陽鎮撫隊として体よく江戸城から追い出されたんですが、「なんで一大事に甲府城を…」と思っていた長年の謎が解けました。明治の元勲たちが豪邸を競って建てたのは、西南戦争による貨幣価値の下落に対して、不動産へ資産を逃避させたからなのですが、この他の豪邸も関東大震災か太平洋戦争の空襲で灰燼に帰しているのは諸行無常を感じさせます。

『近代技術の日本的展開 蘭癖大名から豊田喜一郎まで』中岡哲郎、朝日選書
 名著『日本近代技術の形成』の続編といいますか、落ち穂拾いのような話しの雑誌連載を一冊にまとめたのが本書。なぜ、日本だけが、いちはやく離陸出来たのか、という問題意識について、本書は《日本の文化的伝統のなかには、海の向こうから来る珍しいもの美しいものに好奇の目をみはり、次にそれを自分で作ろうとする姿勢が体質化されているのではないだろうか》p.5と詩的に謳い上げ、そうしたことを可能にした社会的基盤として、藩を超える蘭癖大名のネットワークを指摘しています(p.10)。《製糸にせよ織物にせよ、農村副業あるいは都市の家内労働として女子の労働力に大きく依存して》いた、ということで、これは産業革命というより後発工業化と呼ぶべきだ、というのが著者の主張(p.108)で、その証拠に日本の鉄道業も北関東や東北といった養蚕、製糸地帯を南北に貫くことで発展していった、と(p.111)。

『戦争の条件』藤原帰一、集英社新書
 「結び」に著者のイラ立ちが素直に語られています(p.185-)。《教育問題と並んで国際問題は素人の発言が専門家と横並びにされる。予備知識がなくても誰でも発言ができ、知識と経験に根ざした分析と知識も経験もない妄言の区別がつかない。さらに教育問題であれば自分が子どもの頃の思い出とか子育ての実際など何らかの経験をもとにして発言されるのに、国際問題の場合は経験さえ関係がない。言いたいことを言えばよく、言ったことは言いっ放しになるわけだ》と。結論は、好戦国家が出てきたら戦争によって排除するしかない、ということでしょうか。

『実録!あるこーる白書』西原理恵子、吾妻ひでお、月乃光司、徳間書店
 今年は吾妻ひでおさんの『アルコール病棟』を読めた年だったんですが、その刊行を前に、アル中の旦那で苦しんだ西原理恵子さんとの対談を出しています。西原さんの《女はね、そこにいるだけで「可愛い」って言われる時代から、いるだけで「うるせえババア」って言われる時代へ、短期間で自分のステージが変わっちゃうんですよ。それで、自ずといろんな引き出しが増えるんです(中略)男の人って、ちっちゃなころからか心が変わらないじゃないですか。だから描くものの引き出しが男の人は狭いと思うんですよ》というあたりは至言。《女の人の感情ってポイントカードなんですよ。急に怒り出すって言うけど、日常な細かいことをずっとカードに判子で押しているんですよ。で、さっきのその一言が50ポイント目だったんですよ。キャッシュバックキャンペーンがはじまるんですよ》というあたりも怖い。

『失踪日記2 アル中病棟』吾妻ひでお、イーストプレス
 アル中の入院生活を描いた作品としては、中島らもさんの『今夜、すべてのバーで』がありますが、一般病棟で療養するという内容なので、離脱症状などから基本的に「閉鎖」される1期目、散歩が認められ、自助グループへの参加が奨励されるなど社会復帰に向けた準備が始まる2期目、外泊も許可されて退院の準備が行われる3期目という約3ヵ月のローテションは描かれてはいません。『アル中病棟』では家族に捨てられて入退院を繰り返す患者や、2割ぐらいしか禁酒が続かない自助グループの硬直した活動内容などを淡々と描きます。吾妻さんが入院していたのは90年代後半ですが、当時すでにアルコール依存症の入院患者が減少し始めていたため、《軽度の精神》の人々と病棟を分け合うようになるのですが、この頃から《気軽に通院治療する方向に変わってきた》ということなのかもしれません(p.172)。

『歌舞伎 家と血と藝』中川右介、講談社現代新書
 歌舞伎とクラシック音楽の愛好者にとって、中川右介さんは、厖大な資料の中から極上のネタを選び出し、新たな興味深いストーリーを紡いでくれる極上のエンターテイメント・ノンフィクション・ライターとなりつつあります。11世仁左衛門がつくった片岡少年俳優養成所から阪東妻三郎や千恵蔵が生まれたなど、いろいろ知らない事実も教わりました。それにしても、歌舞伎役者さんたち井原西鶴並みの性的放蕩を地でいってるというか、誰が誰の子なんだみたいな素晴らしいつながりで、まさに世界でただひとつの世界。14世仁左衛門を追贈された13世片岡我童さんと11世團十郎とのラブラブの関係も含めて凄いねぇ…と改めて思います。3代目家六が息子2代目時蔵が義太夫を習っている女性の元に挨拶に出むいたら、17世勘三郎が生まれてしまい、年の離れた兄となった初代吉右衛門は苦々しく思ったなんていうエピソードは可愛いぐらい。

『国家と音楽家』中川右介、七つ森書館
 レニーが親友ケネディの追悼演奏会で選んだのがマーラーの『復活』だったというのは知りませんでした。国内政策はリベラルだと、対外的にタカ派に動くというオバマとジョンソンは似ていると思いました。

『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国歌プントランド、戦国南部ソマリア』高野秀行、本の雑誌社
 時代がようやく高野秀行さんに追いついてきたというか、時代から逃れて辺境のニッチに彷徨っていた高野さんが、ようやく表舞台で評価されつつあるように感じて素直に嬉しいです。最後に高野さんは、地元のテレビ局の特派員に任命され、晴れてソマリランドとり強い繋がりを持つんですが、ミャンマーのシャン州独立運動に肩入れしたりして、ああ、高野さんは帰属を求めているのかな、と感じました。それにしても、一度、高野さんとは飲みたいな、と思いました。まあ、カートを頬張ってもいいんですがw

『開店休業 吉本隆明』吉本隆明、ハルノ宵子、プレジデント社
 ハルノ宵子さんはすごい書き手が出てきたと感じたのですが、同時に吉本隆明さんは「キリスト故郷で受入れられず」だったのかな、とも思ってしまいました。奥さんにとって《「大衆に寄りそった思想家吉本」的、分かりやすい構図が、買い物カゴをぶら下げた姿で周知となってしまったことが、"はらわた煮えまくりポイント"》だったというんです(p.29)。こうした事情には思いを致すことはできませんでした…。ハルノ宵子さんは『フランシス子へ』のあとがきで《吉本ファン諸氏よ! 私はあなた方とはなんの関係もないのだ》と書いていますが、これは「勝手に妄想を膨らませないでほしい」という意味なんだろうな、と。

『談志が死んだ』立川談四楼、新潮社
 「本書く派」と言われる立川流は、高座では危なっかしいのが多いけど、本では隆盛を誇っています。この著者が立川流創設以前の、落語協会所属時代からの弟子だったから、いくら談志師匠が屹立していたとはいっても、周りには小さん、志ん朝なども揃っていたということで相対化できているんで、読めます。

 『NISAで得したいなら割安株を狙え!』前田昌孝、日本経済新聞出版社は若い人向けの投資入門。ぜひ、余裕資金でトライしてほしいと思います。この世の中、マネーゲームはどのみち避けられませんから。

 『角栄のお庭番 朝賀昭』中澤雄大、講談社は没後20年、未だ刊行が続く角栄本のあるいみ真打ち的な存在。これからは2次資料中心の研究になっていくのかな、と。角栄も遠くなりにけり。

 『フットボール百景』宇都宮徹壱、東邦出版は美しい本でした。

 愛する大竹聡さんですが『ギャンブル酒放浪記』本の雑誌社はインターネットのダダもれだったな、と。宇都宮さんの本を見習ってほしい。

 大竹聡さんは、個人的には現代の山口瞳だと思っているけど、『ひとりフラぶら散歩酒』光文社新書を読むと、使う側の問題が多いかな、と。でも、個人が状況に負けてはいけない。

 『近代秀歌』永田和宏、岩波新書
 普通の人々にも読まれている短歌には「アララギ」が多いのかなと感じるとともに、啄木の圧倒的な存在感というか《過剰なまでに人々の心にベタに訴えかけるような俗性》は凄いな、と思いました。

 『愛しの昭和の計算道具』ドクターアキヤマこと秋山泰伸、東海大学出版会には電卓の時代のありがたさと、それに至るまでの凄い歴史を俯瞰させてもらいました。

 『新宿末廣亭うら、喫茶「楽屋」』石井徹也(著)、石川光子(述) 、アスペクトでは左楽師匠の《「寝床で、ものをねだるのは女郎だ」っておばあさんを叱って、井戸の水を浴びせた》っていう話しも素晴らしい。今なら、ねだられて買えなかったら「甲斐性なし」って男が寝床から出されそうですが…(p.206)。

 『兵士は起つ』杉山隆男著、新潮社・1600円は自衛隊を、自衛隊員の視点から見つめてきた著者が満を持して上梓した、自衛隊員の見た「3・11」だけど地図が欲しかった…。

 最後は今年の一行詩で。

国ありて生くるにあらず散紅葉
大道寺将司『棺一基』から

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