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July 24, 2013

『さらばガラパゴス政治』

Galapagos

『さらばガラパゴス政治』野中尚人、日本経済新聞出版社

 民主党による政権交代の1年前に『自民党政治の終わり』を予言していた野中尚人教授が、参院選を前に出したのが『さらばガラパゴス政治』。

 雑誌「選択」の7月号で「自民党政権は長期化しない」という内容で巻頭インタビューを受けていた野中教授は《民主党は消え去るかもしれないが、現在の自民党は明らかに「右の政党」であることを志向している。やがては政界の中道リベラル勢力が結集して受け皿をつくるだろう。自民党がかつてのような長期政権を続けることはできない》としていますが、その環境的な根拠を明らかにしたのが『さらばガラパゴス政治』。

 かいつまんで書けば今の日本の政治は、政府が無力で、悪しき国会至上主義の元で議会があまりにも強く、その中でも劣った院である参議院がキャスティングボートを握っているため、果断に政策を打ち出せない、と。こうした環境を変えない限り、またぞろ大揺れがきて「自民党政権は長期化しない」という感じでしょうか。

 自民党が没落したのは、結局は二世、三世議員がのさばるような《固有のリスクが避けられない業界であるはずの政治が、特殊な安定性を持った結果、内部の運営メカニズムにも独特のパターンか形成されて》しまったからであり、派閥に代わる新しい人材育成のルールなどもつくられていない、と(p.186)。

 また、インタビューでは《首相が年代わりだった六年間で日本が失ったものは大きすぎるとして》と語っていますが、本の中では《議院内閣制の先進国では、もう議会の解散をなくそうという方向で議論されている》と書いています。

 そして、憲法改正を必要としない政治改革については

1)国家審議への首相・大臣の召還をできるだけひかえて、場合によっては副大臣、政務官で代替えする
2)比較的まともな議論になっている党首討論は定期的に実施する
3)大臣討論も創設し、野党の「影の大臣」と討論する
4)野党は審議拒否という手段を放棄する

 などの処方箋を示しています。

 野中教授の見立てでは、今の小選挙区比例代表並立制は基本的によく機能しており、弊害の大きかった中選挙区に戻る必要はない、と。選挙制度の問題よりも、内閣の権限を強くするとともに、国会の改革が重要ということでしょうか。

 高度成長期以降、中曽根、竹下、小泉などたまにははっきりとしたリーダーは現われるものの、中選挙区は「明確なリーダーの下で責任ある政策遂行の体制を敷くには不向き」であり、イタリアと同様に日本の財政がガタガタなのも、同じ理由からだ、と(p.161)。

 個人的には、国会改革の前に一票の格差是正を早くやってもらいたいと思います。なんで、都会人の一票が地方の住人の1/5程度の重みしかないのか。本当に不愉快でたまりせんから。

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