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June 12, 2013

海老蔵 助六 杮葺落

 助六はそんなに好きな演目でもないので、おめでたい時に、こちらも「おめでたいな」という気持ちになった時に行くことにしていました。

 最近、歌舞伎座で見物した「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」は08年に「歌舞伎座120周年記念」にあわせてかけられた〝還暦助六團十郎〟。この時、市川家でも還暦を迎えた團十郎が挑むのは初めてでした。

 この時の助六の通人里暁は東蔵さん。團十郎さん、海老蔵さんがフランス公演を成功させた直後ということだけあって、ケンカを仕掛けまくる助六を相手に「さすがオペラ座、レジオン・ドヌール勲章」、「どんだけー」に「そんなの関係ねぇ」まで飛び出ました(今回は母役で出ていらっしゃいました)。

 当時も《古くテンポも遅い芝居ですが、こうした自由にやれる部分を残しているのが歌舞伎が長い時間を生き抜き、しかも今だに大盛況となっている秘密なのかな、と。能や狂言、人形浄瑠璃では、ここまで脱線できませんもんね》と書きましたっけ。当て込みやくすぐりで客席を沸かす通人は助六の見所のひとつです。

 次に見たのは10年4月の歌舞伎座さよなら公演。この時の通人里暁は勘三郎さん。驚きましたよ。こんな大物が通人なんですから。勘三郎さんは團十郎相手には「元気に復帰されておめでとうございます」「倅が落ち着かれて、これまたおめでとうございます」、菊五郎には「遅くなりましたが、世界にはばたくしのぶちゃん、おめでとうございます」と笑わせてくれ、花道では「歌舞伎座がなくなっても、歌舞伎はやってます!中村座もよろしく」と去っていきましたっけ。

 今回の杮葺落興業では、もちろん團十郎さんが助六を演る予定でしたが、はかないことになってしまい、市川宗家の長男、海老蔵がつとめました。

 いい。

 本当にカッコいい。花道の「型」を決めるとこでは、パッと白粉が舞うほどの動きの切れのよさ。

 こんなにカッコいい助六は当分、出てこないでしょうね。

 海老蔵が杮葺落で助六やるというのは全ての歌舞伎ファンの夢みたいなところもあって、切符は売り出された瞬間にソールドアウトしてました。

 海老蔵の助六は江戸の華。なんつうか江戸の風がサァッーと小屋全体を吹いていきましたよ。

 そしてお楽しみの通人は三津五郎さん。勘三郎さん並の大物通人です。

 三津五郎の通人は、じぇじぇ!、じぇじぇじぇ!(股を)いつくぐるの?今でしょ!と連発。消臭剤を懐から出してシュッシュッしてから股くぐりをしていました。花道では「せっかくだからつぶやいとかなきゃ…」とスマホを持ち出し、「海老蔵さんのブログもチェック!!」など、楽しませてくれました。

 そして海老蔵に長男が生まれたことを上から見ている團十郎に報告し、その子が助六を演るまでご贔屓に、と去っていきました。

 じぇじぇ!には『大江戸りびんぐでっど』で歌舞伎の狂言作者としてデビューした宮藤官九郎へのオマージュもあるでしょうし、クドカンを歌舞伎に引っ張り込んだ盟友・勘三郎への思いもあるだろうし(しかも、勘三郎はお名残公演で通人やったし)、助六をやった團十郎ともいなくなったし…という思いがこもってたようにも思えました。

 髭の意休はいつもの左團次さんと歌舞伎はずっと続いていくな、と。

 そして助六は悪所で展開される民衆の祝祭劇だな、と。

走り梅雨 海老蔵助六 杮葺落。

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