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May 18, 2013

『近代秀歌』

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『近代秀歌』永田和宏、岩波新書

 《挑戦的な言い方をすれば、あなたが日本人なら、せめてこれくらいの歌は知っておいて欲しいというぎりぎりの100首であると思いたい》というのが本書を編んだモチーフ。

 「やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君」(与謝野晶子)

 「その子二十 櫛にながるる 黒髪の おごりの春の うつくしきかな」(与謝野晶子)

 「なにとなく 君に待たるる ここちして 出でし花野の 夕月夜かな」(与謝野晶子)

 「友がみな 我よりえらく 見ゆる日よ 花を買い来て 妻としたしむ」(石川啄木)

 「東海の 小島の 磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる」(石川啄木)

 「幾山河 越えさり行かば 寂しさの 終てなむ国ぞ 今日も旅ゆく」(若山牧水)

 「白鳥は かなしからずや 空の青 海のあおにも 染まずただよう」(若山牧水)

 「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を 行きし人あり」(釈迢空)

 など誰もが一度は口ずさんでみたことがあるような歌を中心に、与謝野晶子、石川啄木、若山牧水、正岡子規、伊藤左千夫、島木赤彦、斎藤茂吉などから選ばれています。

 「アララギ」が多いのかな。

 それと啄木の圧倒的な存在感というか《過剰なまでに人々の心にベタに訴えかけるような俗性》は凄いな、と思いました。

 先日もインターネット上で「ふるさとの 訛りなつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく」という歌が印象に残っているという地方出身者の方の発言を聞いて、まったくこの歌のことなど忘れていたことを思い出すと同時に、どれだけ啄木の歌は日本人の心の襞に入り込んでいるんだ、と驚きました。

 個人的に好きなのは、老いらくの恋で有名な川田順のこの歌ですが、ゴシックではなかったんで、100首というわけではなかったんですかね。でも、いいの。

 「しらたまの きみが肌はも 月光(つきかげ)の しみとほりてや 今宵冷たき」(川田順)

 身につまされるのはこの歌です。

 「かんがへて 飲みはじめたる 一合の 二合の酒の 夏のゆふぐれ」(若山牧水)

 同じ選者で『現代秀歌』が出るとのこと。楽しみです。

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