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March 31, 2013

『兵士は起つ』

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『兵士は起つ』杉山隆男著、新潮社・1600円

 自衛隊を、自衛隊員の視点から見つめてきた杉山隆男さんが満を持して上梓した、自衛隊員の見た「3・11」。

 突然の揺れで津波に巻き込まれて、自身が九死に一生を得ながらも震災直後から人命救出を行い、生存率が急激に低下する72時間壁がすぎてからは遺体収容を行い、福島第一原発への注水活動にも参加する。

 描かれているのは、躊躇せず、日頃から求められている仕事に出向く自衛隊員の姿であり、《「いつか」が遂にやってきた三月十一日、彼らは戦闘服を着ていても私服でいても、自衛官に任官したときの宣誓の言葉そのまま、〈事に臨んでは危険を顧み〉ない「兵士」であうとしていた》ということなんでしょう(p.41)。

 福島第一原発へのヘリコプターからの注水が、線量の影響から航空機による爆撃に似たような形をとらざるを得なくなっていたことはわかっていましたが、防護服のヘルメットをなんとか工夫しないとマイク越しの会話も難しい状況下で行われていたということは知りませんでした。

 また、地上からの放水車は航空自衛隊所属のもので、戦闘機などが事故を起こした際にも、遠くから放水できるタイプだったというのはなるほどな、と。

 その後も、海水に浸った集落で遺体捜索をしなければならなかった部隊では、釘が容赦なく配給された「胴長」の底から刺さったというのも初めて知りました。

 ただ、地図とかがあれば、個々の「作戦」がどういうものかということは、もっとよく理解できたと思います。それがなかったのは残念。

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