« 世界トライアスロン横浜大会 | Main | 『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』 »

October 06, 2012

『静かなる大恐慌』

Sizuka

『静かなる大恐慌』柴山桂太、集英社新書

 ケインズを読み替えて、ケインズが取り組んだのは19世紀後半から第二次世界大戦前までの第一次グローバル化が、悲惨な2回の世界大戦を引き起こした要因を排除するため、国内の有効需要を作り出す方向に各国を政策転換させた、という内容。

 必ずしもグローバル化は避けて通れない道ではなく、一国の経済崩壊が経済圏全体を揺るがし、国内にも大きな格差を生んで社会が不安定になるような結果になりかねないグローバル化は避けるべきだし、再配分やセーフティネット構築のために、大きな政府を目指すべき、という主張は目新しさを感じます。

 《戦後の「資本主義の黄金時代」とも呼ばれる未曾有の経済成長は「脱グローバル化」の時代に起きたことなのです(p.192)》といわれても、まあ、日本一国の企業に対してでもグローバル化をやめるように行政指導するなり税制を変えようとしても難しいでしょうし、仮に日本で万が一、それが成功したとして、他の国にも同様な政策を行うように説得するのは相当なもんでしょうね。

 ただし《グローバル化や自由化の果てに国家間の対立が深刻化した(p.19)》《国内に資金ののない新興国などは、資金を積極的に集めるため、市場友好的な政策をとろうとします。そうした政策は一方では新興国を中心に急激な成長をもたらしますが、他方で危機が起きたときの資本逃避の谷を深くする(p.32)》《(世界的な不況の)被害が、国家の統治能力の低い新興国へと波及すると、危機はさらに複雑化する(p.41)》《(貿易黒字を寡頭制の維持にあてた重商主義は中国などの)現代の「国家資本主義」とよく似ている(p.92)》というディストピア的な言い方は新鮮です。有効な対処方法がないからといって、現実を放置するというよりは、こうした視点もある、ということを知っておいた方がいいと思うから。

Keyens_imagine

 にしても、たまたま、先日、ケインズの『一般理論』のラストを読み返していて、これはケインズの『イマジン』じゃないかと思ったことがあったんですよね。

 ケインズは最後に書いてます。諸国民が国内政策によって完全雇用を実現できれば、市場獲得競争による戦争は起こらない、と。国際貿易は相互利益の条件のもとで喜んで行われる財貨およびサービスの自由な交換となるだろう、と。

 「これらの思想の実現は夢のような希望であろうか」と。

|

« 世界トライアスロン横浜大会 | Main | 『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/55826037

Listed below are links to weblogs that reference 『静かなる大恐慌』:

« 世界トライアスロン横浜大会 | Main | 『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』 »