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September 28, 2012

『ルリボシカミキリの青』

Ruriboshi_kamikiri
『ルリボシカミキリの青』文春文庫、福岡伸一

 福岡"動的均衡"伸一先生による週刊文春の連載をまとめた一冊。

 ルリボシカミキリをあしらった表紙は素晴らしいデザインだと思いましたが、単行本で買うほどでもないかと棚に戻し、文庫になって、読むがなくなったので購入、通勤の一往復は楽しめました。

 確かに知らない知識に触れさせてくれるのはありがたいし、あとがきの《大気中では、レイリー散乱が生じ、青い光が選択されて私たちに到達する》なんていう文章は、硬質で美しいと思います。

 でも、《少年の心は、虫とか魚とか恐竜とか、そんなウェットなものの方に惹かれるか、あるいは鉄道とかロボットとか銃とか、そんなメカニックなものの方に惹かれるか、かなり早期のうちに分化してしまうような気がするんです。でも、その根っこのところにあるものは同室のもので、それは自然が作り出したものにせよ、人間が作り出したものにせよ、ある種の「デザイン」に対する希求と探求じゃないかと思うんです》というエピローグに再び書いてあるようなことに関しては、いまひとつパンチがないというか、突き放せきれていない、と感じます。まあ、そこら辺が、かえって上品でいいのかもしれませんが。

 最近のご時世を見ていると「天才は遺伝するか」にはうならされました。一流と呼ばれる人は、どんな分野であれ、《一日三時間練習をするとして、一年に一千時間、それを十年にわたってやまず継続する》という努力の上にプロフェッショナルという形質が獲得される、と。議員や企業でも二世、三世が弱く、粘りがないのは、肝心の一万時間の内実が遺伝的には与えられない、というあたり。

 病気にかこつけて重責をほっぽり投げたような過去を持つ元首相が復活なんていう報に接すると、きっとあの政党というのは二世、三世の仲良し倶楽部になってしまったのかな…とも思います。

 昆虫採集はあまり好きではなかったので、『原色日本蝶類図鑑』横山光夫著というバイブルがあることや、地元の渋谷に志賀昆虫普及社という有名なショップがあるというのも知りませんでした。このほか、史上最大の空目「カスケード理論」なんていうあたりも面白かったのかな。

 『動的均衡』と『動的均衡2』も読んでみます。

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