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August 14, 2012

『青い空、白い雲、しゅーっという落語』

Rakugo_horiken

『青い空、白い雲、しゅーっという落語』堀井健一郎、双葉社

 最近、落語をライブで聞きまくって友人から薦められた本。

 落語ブームとはいっても、まだまだ数人しか入らないようなところでやっている噺家もいるし、常席とはいっても、浅草演芸ホールのようにタダ券配っているようなところもあるみたいで、全体的に家内制手工業のようで切ない味わいがあるようです。そうしたところでは、せっかく席に座っても、後ろの小母さんたちに背もたれへ容赦なくS字フックをかけられ、御菓子などが入ったコンビニの袋がぶら下げられていまう、というあたりには笑いました(p.17)。

 喜多八師匠はもうかなり売れていると思うのですが、この本の書かれた当時は(とはいっても09年が初版)、まだ区民ホールの独演会あたりでは、朝に場所取りで広いスペースを確保しなくてはならず、寝坊したりすると、お花のカルチャースクールの方が広いところを取っちゃって、その横の狭い場所で女郎買いの噺なんかをしなくてはならなかったとか(p.56-)。大変だな、と。

 なかには一対一で聴かなきゃならない場面もあって、そうなると逃げだそうにも、モギリが追いかけてきそうで抜け出せないとか、個人的には、そうしたのが苦手なもんで…。実は常席にもまだ行ったことがないのですが、「人が集まってくれない避難所」みたいなのは辛いですし(p.119)。

 談志師匠の話はやっぱり印象的。携帯電話が七回鳴った時でも慌てず《「会場の何かのいやがせか」と言って笑わせ、七分雑談をして、落語に戻った。行き来自在だ。虚構と現実の区別を認めてないのかもしれない》といったあたりは談志論になってます(p.31)。

 長い話は途中で割ることで、翌日も来てもらおうという魂胆が江戸時代からあったというのは、なるほどな、と(p.69)。

 《屈託があるくせに明るい、というのがこぶ平のいいところである》という評には、うなりました(p.93)。仲が良いらしく、最後に付録みたいに付いてくるインタビューの中でも、一番、出来が良い感じ。こぶ平改め林家正蔵は子どもの頃、追っかけをやっていたぐらいの志ん朝のファンで、冬場に「夢金」聞いて外に出たら雪が降ってきて「雪をも降らす噺家になりたいと、そうおもった」たという話に感動(p.227)。最近、テレビで志ん朝の弟子である志ん輔の「夢金」観て感心したので、おお、やっぱり師匠に教わったからなのかな、と思いました。

 インタビュー読んでわかったのは、地方出身の落語家は、地元の後援者が付くから残っているんだなと。

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