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July 22, 2012

『ル・クレジオ、映画を語る』

Le_clezio

『ル・クレジオ、映画を語る』J・M・G・ル・クレジオ著、中地義和訳、河出書房新社・2600円

 夏休みが近くなると建築とか映画に関する肩凝らない本を読みたくなります。

 ということで、ノーベル賞作家による、古典的な映画愛についての本を読んでみました。。

 リュミエールから始まり、その始まりから映画は喜劇だったということで(L'arroseur arrose、水をかけられた水まき人)、チャップリンやハロルド・ロイドが語られます。

 《映画は、もっぱら電気に依存する唯一の芸術》という言い方も、今の時代には、何か特別な意味を持つ言葉のように感じますが(p.28)、ル・クレジオは自宅にパテ社の手回し式映写機を持っていて、そこで、ハロルド・ロイドのを逆再生したりして、映画とは何かを感じていきます。

 ル・クレジオが最高の傑作だとしているのは『猛進ロイド』です。

 《戦争 あのころは映画といえば日本映画だった》という出だしで始まり、丸々、一章を献げられるほど別格的な地位を与えられているのは日本映画です。小津安二郎、溝口健二、黒澤明、市川崑から今村昌平まで「なんでフランス人は、こんなに日本映画が好きなんだと思わずにはいられません。

 その中でも《映画が芸術であることを、私ははじめて理解した》とまで書かれているのが『雨月物語』。これを古いプリントで見たのは十代ですが、彼は《これは、一切のイデオロギーを超えて、それを被った者たち、とくに女性と子供から見た戦争》の映画だと感じます。《映画のブロットが繰り広げられているのは封建時代であるが、真に問題とされているのは現代だ》と(p.67)。

 激賞されているパゾリーニの『アッカトーネ』は観たことないので、機会があれば観てみようかな、と思いますが、彼の映画で感心したものは『奇跡の丘』ぐらいなもんで、どうなんでしょうかね…。

 最後に、註が素晴らしかったことも書いておきたいです。

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