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May 18, 2012

『安藤忠雄 仕事をつくる 私の履歴書』

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『安藤忠雄 仕事をつくる 私の履歴書』安藤忠雄、日本経済新聞出版社

 安藤忠雄さんは大好きな建築家です。

 ということで、これまでもかなり本も読んでいますし、日経に連載していた「私の履歴書」も毎回ではないにしても目は通していたので、この本はわざわざ買うこともないかな…と思っていたんです。

 でも、帰りに読むモノがなくなって、六本木ABCの建築コーナーでパラパラめくっていたら(建築関係の肩の凝らない本を読むことは個人的に大きな喜びとなっています)、光の教会に佇む安藤さんとボノの写真のところに指がとまりました。

 そして、次の文章が目に飛び込んでました(p.100-)。

 2006年冬、ロックグループU2のボノが「光の教会」を見たいと知人と共にアイルランドからやってきた。私はその時、正直ボノという名前は聞いたことがあったぐらいで、彼のことをよく知らなかった。

  光の教会に足を踏み入れ、しずかに腰掛けたボノは「祈ってもいいか?」そして「歌ってもいいか?」とつつましく尋ねた。祈り終えると説教台のほうに歩み、アメージング・グレイスを歌いだした。光の教会の空間はボノの歌声につつみこまれた。居合わせた人たちの目に涙が浮かんだ。私も感動した。(中略)まさに魂に届けられた歌であった。

 ぼくも安藤さんの作品の中で、最高傑作だと思うのは「光の教会」です。

 構想のシンプルさ、そして、光の十字を浮かび上がらせるための構造計算、全体の暗さ、緊張感さえただようインテリアとの統合性。本当に素晴らしいと思います。

 その作品を見に、わざわざアイルランドからやってきたボノも素晴らしいと思うし、いまや親友らしい安藤さんとの出会いの必然性も、なにかに導かれたような感じさえうけます。

 学歴もなく、縁故もないところから、懸命の努力を続けて独学で一級建築士の資格をとって、事務所を立ち上げ、世界でもほぼ最高の建築家となれたのは、必死に生きて、周りの人たちとオープンな関係を築き、その中でチャンスをつかみ取っていったというか「仕事をみずからつくっていった」からに他なりません。

 高度成長期やバブル期には、仕事は湧いてきましたが、もう、そんなことが望めない中で、安藤さんのように、必死に努力して、仕事をつくっていくという姿勢が求められるんだろうな、と思います。

 特に安藤さんが「1980年以降に生まれた若者はダメだ」と切り捨てている世代に読んでもらいたいと思います(p.31)。

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