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May 19, 2012

『走ることについて語るときに僕の語ること』

Murakami_run

『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹、文春文庫

 実は(とはいっても大したことはないのですが)、最近、走り始めています。しかも、毎日、続けて。これまでも走っていた時はあるのですが、基本、あまり面白くないスポーツはやりたくないタチなので、少し膝が痛いとか、気温が下がると走らなくなっていたし、毎日ずっと走るということもありませんでした。

 で、もっぱら健康管理は会社帰りに近くのジムで身体をほぐしていたんですが、どうしても夜だと、その後、飲んでしまうんですよ。ということで「なんもならんなw」と思っていたんですが、朝ランすれば、もう、その日は一日、スポーツをしなくてはという強迫観念から逃れられるし、すぐ飲まないので、多少、効果もでるだろう、と。なんつうかダブルでストレス解消にもなるんじゃないかということで、しばらく続けようと思っているんです。

 ということで、本屋さんを覗いていたら、目に入ったのが、この本。

 村上さんの本は、あまり熱心な読者ではないので、この本も読まないままでしたが、こうなったからには読んでみようじゃないの、ということで購入しました。さらに、この本を読んだのにはランナー系の雑誌があまりにもつまらなかったということも関係しています。何か新しい趣味を始めた時、雑誌を買って読むというのは、新鮮な喜びを倍増してくれるものだと思うのですが、個人的には初めてですね、こんなにガッカリしたのは。「なんだ、インタビューばっかりじゃない」みたいな感じで、何種類か手にとって呆れてしまいました。

 ということで読み始めたんですが、特に気に入ったのは次のフレーズですかね(p.41)。

 レースのタイムが伸びなくなっても、それはまあ仕方あるまい。走りながらふとそう考える。僕はそれなりに年を取ったのだし、時間は取り分をとっていく、誰のせいでもない。それがゲームのルールなのだ。

 村上さんは、ほかのところでも、自分が持っている才能でなんとかやりくりしながら生きていくしかない、みたいなことを書いていて、そこもよかった(p.127)。

 しかし何はともあれ、これが僕の肉体である。限界と傾向を持った、僕の肉体なのだ。顔や才能と同じで、気に入らないところがあっても、ほかに持ち合わせはないから、それで乗り切っていくしかない。(中略)あるだけのもので我慢する。何かがあるだけでもありがたいのだと思う。そんな風に思えるのは、年を取ることの数少ないメリットのひとつだ。

 さらには、知らない情報にも出会えます。

 ウルトラ・マラソン専用シューズというのがあることには本当に驚きました。村上さんもわざわざカッコの中に入れて書いているほど(p.161)。

 (信じていただきたい。そんなものがこの世界にはちゃんと存在するのだ)

 結局、うまくいかないこと、年を取ることは「リアリティー」であって、いかんともしがたい、と。それに対抗するためには、自分の持っているもので、なんとかしなければならない、という諦念は、アンチクライマックスすぎるにせよ、納得いくものだとな、と感じます。

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