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April 17, 2012

『お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」』

Ariyosi

『お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」』有吉弘行、双葉文庫

 テレビで一番好きな番組だったのというか、夢中で見ていた最後の番組は、電波少年でやっていた猿岩石のユーラシア大陸横断だったと思います。

 衝撃的でした。

 子どもの頃、アジアハイウェイが完成して、NHKスペシャルでずっとその道を走るみたいな番組があって、いつか旅してみたいと思ったのですが、その後、沢木耕太郎さんが『深夜特急』を出した頃は、ビルマ政変、バングラディッシュ独立、イラン革命、イラン・イラク戦争と情勢の悪化が続いていて、アジア・ハイウェイは森の中に消えていきました。

 その後、ある程度、状況が好転して、なんと猿岩石は中国からヒッチハイクで旅をスタートさせ、ミャンマーやイランなどでのトラブルはあったものの、見事、ロンドンゴールを果しました。しかも、途中、バイトしながら。沢木さんは、この企画にご立腹だったようですが、ぼくは、ある意味、深夜特急を超えている部分があると思って見ていました。それは、アルバイトをしながら旅を続けていったということ。

 深夜特急でもヒッチハイカー用の安ホテルで英語の案内を書くなどのパイトはやっていましたが、猿岩石の2人がバイトで働いていた時ほどの親密なコミュニケーションはとれていなかったように思います。沢木さんは自分探しに出たんでしょうが、猿岩石の2人は生きて帰るために必死に働いていた、と。後に、2人がお世話になった人たちのところに挨拶しにいくみたいな特別編を見ても、一緒に働いていた人たちの生活が本当にリアルに感じられて凄いなと思っていました。

 ということですが、97年には『白い雲のように』が年間オリコンチャートNo.1にもなり、似非アイドルとして大ブレイクした2人ですが、やがて仕事はなくなり、04年にはコンビも解散。一時期は月収2000万円もあったギャラもほとんどなくなるという転落を経験します。その後、有吉さんは『アメトーーク!』のあだ名命名で復活。2011年には「テレビ番組出演本数ランキング」で出演総本数499本と1位になった、と。

 文庫になってこの本が出ていたのを知ったのですが、この中で有吉さんは、自分は二発屋だけど、お笑いで二発目の花火があがったわけじゃない、と書いてます。最初は似非アイドルとしての一発屋だったので、二発目はお笑いになった、と。お笑いの二発は難しいが、そうしたカラクリがあったんだ、と(p.193)。

 売れなかった時代はカネのなさを嘆くことが多かったのですが、寂しいから人呼び出して街中で酒飲むから風俗行ってしまったので、寂しいから酒飲むのが一番のムダというあたりは深い。しかし、45分コースではなく60分コースを選ぶのが最低限度のプライドだったというのは笑いました。

 売れない時に「いっそ切ってオネエタレントでいくか」と考えたというのもさすが芸人。しかし男には気がないんで宦官系という新ジャンルを開拓できたかもとか凄すぎ。

 また、猿岩石時代のヒッチハイク体験を踏まえた「食い逃げするなら3日以内」「4日目になると、胃酸がもろに胃を刺激してめちゃめちゃ痛い」というあたりも感心しました。

 『猿岩石日記』でも、有吉さんの部分は本当に面白かったのですが、考えてみれば、あの時代は、まだインターネットがそんなに普及していなかったんですよね。今なら、もう自分たちが人気者になったなんていうことがメールでも飛び込んでくるような時代になってしまいましたから、あの企画も、90年代中頃だから出来たんだろうな、と改めて思いました。

 ちなみにタイトルの『お前なんかもう死んでいる』は、サラリーマンなんかが、自分の会社はずっと大丈夫で35年ローンなんかで家買っちゃうような甘えた生き方していると、実は死んでいるんだよ、という意味。もう、世の中、全員が不安定な「1億総芸人時代」がやってきた、という、はじめにも含めて、なかなか面白かったです。

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