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November 06, 2011

『辺境中毒』

Heykou_chudoku

『辺境中毒』高野秀行、集英社文庫

 本の雑誌社から出していてた『辺境の旅はゾウにかぎる』の改訂版。

 ぼくは『酒とつまみ』の対談で初めてこの方を知ったのですが、いやー、いろいろ書いてらっしゃいますね。

 早大探検部出身ということで、最初はUMA(未確認生物)を扱った『幻獣ムベンベを追え』などで有名になられたようですが、とりあえずアジア、アフリカなどの秘境にひょいと行ってしまって、とんでもない目に合ったことを面白おかしく読ませてしまう体力、筆力、ユーモアのセンスは抜群です。

 ミャンマーで航空チケットを買ったら、渡した米ドル札の番号を控えられたという話が最初に出てくるんですが、高野さんは《私は初めて、「あー、お札っていうのは書類の一種なんだ」と実感した。紙に文字や数字が複雑に印刷された、手の込んだ書類なのだ。ある政府のある機関が作成した書類であり、もっと言えばただの紙なのだ》(p.18)ということに想いを致し、こうしたことを発見できるのも、秘境を愛する理由の一つだ、というんです。そして黄金のトライアングルに潜り込み、ゲリラ部隊と一緒にケシからアヘンをつくったりする仕事に就いたりしますが、こうした取引の中心にいるのは中国系だ、なんてことをサラッと書いてしまうんですね(p.25)。なるほどな、と。

 ゾウの乗り心地というのを読ませてもらったのも初めて。なんでも、ものすごく揺れて、20分もするとゾウ酔いになるそうです。また、ゾウに命令するためのかけ声は東南アジアのどこでも同じ「ハオ」という言葉を使うそうで、言語学者の協力を得てその研究なんかもしてしまいます(p.126)。

 ということですが、どうやら、こうした辺境の旅のルーツは、ミャンマーの反政府少数民族の独立運動にかかわっていたらしい、というのもうっすらわかります。ゲリラの長老が「どうしてもっとガンガン戦わないんだ?ショーをやらなきゃお客は来ないぞ」と国際社会の注目を集めるためには派手な戦闘を、とアジ演説をして、それに反発した、なんていうあたり(p.110)。

 こうした自分の旅の話と二本立てになっているのが、「エンタメ・ノンフィクション」と自ら名付けたジャンルのブックガイド(さすが「本の雑誌」から出しただけあります)。

 『秘境駅へ行こう! 』牛山隆信(小学館文庫)、『KAMIKAZE 神風』石丸元章(飛鳥新社) 、『世界屠畜紀行』内澤旬子(解放出版社)、ウナギで唯一採集されていないラビアータを追ってアフリカを研究者がさまよう『アフリカにょろり旅』青山潤(講談社)、岩を主体としたベトナムの盆栽の魅力にとりつかれた『ふしぎ盆栽ホンノンボ』宮田珠己(ポブラ社)なんかはすぐにも読みたくなりました。

 古典ともいえる『世界最悪の旅 スコット南極探検隊』アプスレイ チェリー・ガラードも未読なので、この際、読んでみようかな。

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