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November 23, 2011

『海戦からみた日露戦争』

Nichiro_sea_war

『海戦からみた日露戦争』戸高一成、角川ONEテーマ新書

 海戦からみたシリーズを、さかのぼって読んでいる感じでして、太平洋戦争の前に出たのが日露戦争篇。

 ご存じ『坂の上の雲』のクイマックスとなる日本海海戦の完全勝利を扱っていますが、実際は司馬遼太郎さんが描いたような《東郷長官は半ば神のような無謬の存在であり、泰然とバルチック艦隊を迎え撃ち、絶妙なタイミングで敵前大回頭を行って、必殺の丁字戦法を見事に決めて完全勝利を収め》ということはなく、《東郷や秋山の言動は、数々の失敗や錯誤の連続であったにもかかわらず、他のスタッフの働きや偶然によってその失敗が深刻なものとならず、結果から見れば大勝利となった》ということを、天皇家だけに残された『極秘明治三七・三八海戦史』などの新資料を元に解き明かしていきます。

 そのエッセンスは『徹底検証 日清・日露戦争』文春新書でも披露されていますが、例えば、バルチック艦隊が対馬沖を通るか、津軽海峡を通るかという大問題で、東郷長官が最後まで対馬にこだわることができたのは、東郷ターン&丁字戦法という万人受けするプロモーションまで行って隠そうとした決戦用兵器「連携機雷」によって津軽海峡が封鎖されていたからだ、というタネ明かしもされています(p.140)。

 この連携機雷は航空機の発展によって、敵艦隊の直前を横切るという作戦が不可能になった後も極秘扱いされたそうで、しかも、当日は「天気晴朗なれど浪高し」の状況で、分捕った敵艦をめくらまし的に使って連携機雷をバラ蒔くというような作戦も決行できず、曖昧模糊としたまま、機密として残っていたから、ずっと「必殺の丁字戦法」神話が残ったという感じらしいんです。

 しかし、改めて思うのは、「アメリカ、ロシア、中国、英国、ドイツ、フランスという主要国全部と戦争やった国って日本以外にあるのかな」ということでした。「いやー、ウチらの爺ちゃんたち根性入りすぎっつうか、よく世界の主要国相手にケンカ売りまくったわな」と。

 逆に言えば、外交ヘタすぎw

 しかも《日露戦争後ただちに海軍は来るべき戦争がアメリカとの間にあることを信じ、新たな作戦準備に入る》わけですし(p.169)。

 それと、連合艦隊の終戦に向けた効力は、もちろん日本海大海戦の完全勝利にあったわけですが、それと同時に、南樺太の占領作戦にも参加したことが、かろうじて北緯五十度以南の樺太の割譲という成果をポーツマス条約で勝ち取ったのかな、と。

 続いて、日清戦争篇も読んでみます。

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